本日の会議に付した案件 |
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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佐藤信秋君
自由民主党の佐藤信秋でございます。これまでの御質問をお伺いしながら少し確かめておきたいなと、こういうところがあるものですから質問に立たせていただきました。
輿石先生の御質問にありましたように、昭和二十六年にこの住宅関係の厚生省と国交省の、当時の建設省の、まあデマケといいますかね、参議院の修正によって基本的な考え方ができ上がってきた。そこで今回、厚生労働省と国交省とがお互いに協力し合って高齢者の居住安定を図ろうということにいたしましたと、法律も改正しますと、こういうことでありますが、お手元にお配りした高齢者の住まい、これは社会資本整備審議会で整理されたものだということで出させていただきました。この法律改正を契機に高齢者の居住安定というものが介護の問題も含めてしっかりと進んでいくということが何より大事だと思うんですね。そういう意味では、実は幾つかの面から見ていく必要があるんだろうと思っています。
最初に、お配りしたのはもちろん社会資本整備審議会の資料ですが、現在の高齢者居住、いろんな仕組みが、手段がありますという中で、いかにも分かりづらい。これはやむを得ないというか、そこのところを分かりやすくしていこうというのがまた住宅行政とそれから介護・福祉行政一緒になった意味の一つだとも思っています。したがいまして、こうした分かりづらい体系というものを行く行く整理して、利用者にとって分かりやすいという形にしていかないかぬだろうと。
実はこの中にも、公共賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅と、こうありますけれども、高齢者向けは、この法改正の議論にあるように、高円賃、高専賃、高優賃、で、高専賃の中でも認定の適合の高専賃、四種類ぐらいこの中にあるんだと。そういう中で、利用者がどういうふうな選択していけばいいのか、あるいは計画を立てるサイドはどんなふうな計画を立てて、そして供給する人たちが、それじゃ何をインセンティブにして供給を実際にやっていくのか、そういう点がクリアにしていかないと実際は絵にかいたもちになるだろうというのが実は私が心配しているところではあるんですね。
そういう意味で、最初に計画を立てる側、こういう面からいくと、都道府県の住宅行政部局と厚生労働部局が一緒になって計画立てましょうと、ここまではいいんだけれども、実際にだれも立てたことのない計画を本当に立てようとすると、実はこれは結構難しいよね、私自身はそう思っています。
特に、この介護・生活支援サービスの付いた高齢者の住まい、これを見ても、介護保険三施設約八十三万人と、こうありますが、この中の例えば老人保健施設というのは、住宅というふうに、住まいというふうに考え得るのかと。現状でいえば、多分リハビリが進んで元気になったらというか、そういう前提で、三か月とか半年たったら出てくださいと、こうなるわけですね。だから、住まいと言えるかどうか。それぞれに、この整理された中でも、使い方という面からいけば、実は、ついの住みかといいますかあるいは途中段階の住みかといいますか、それぞれ使い方によって住み替えていくというふうなことも考えていかなきゃいけない、こういう問題なんですね。
そうだとすると、計画を作るときに、どこまで詳しくそれぞれの部局が相談して作ってくださいと言うのか。これはまだ、多分マニュアルをこれから作るということだと思いますが、余り難しく作ってくださいと言ったらこれはできませんね、これ、難しく作れと言ったらできません。
そういう意味で、どういうことを計画で期待しようとしているか、おおむねの考え方。余り難しいことは、いきなり作れと言いませんよというのが一番大事なことだと私自身は思っていますが、その辺について副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
副大臣(金子恭之君)
佐藤先生のおっしゃること、もっともでございます。
今回の高齢者居住安定確保計画につきましては、住宅政策と福祉政策とが連携をして高齢者の住まいに係る施策を総合的かつ計画的に展開するための計画でありまして、具体的には、高齢者向け優良賃貸住宅などの賃貸住宅とか特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの老人ホームに関する供給の目標ですね、また、これらの供給の促進に関する事項を始めとしまして、この目標達成のための必要な事項などが定められることとなっております。
この計画の策定に先立ちまして、先ほど先生からお話がありましたように、国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同して定める基本方針におきまして、都道府県が本計画に、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給目標量を設定する際の考え方、住宅施策と福祉施策が連携して定めることなど、本計画の策定に係る基本的な事項などを示すことを予定しております。
先生が先ほどおっしゃいました、御指摘がございましたように、計画を都道府県が策定しやすいようにやっていかなければいけないというのが第一でございます。この計画の策定が円滑に行われるように、先ほどお話がありましたマニュアルの作成、都道府県に対する説明会の開催などを通じまして、国として効果的な計画策定に向けまして都道府県と共同いたしまして強力に支援してまいる所存でございます。
よろしくお願い申し上げます。
佐藤信秋君
まあ言うはやすくで、だれも作ったことのない計画を、しかも極めて住み替えを含めていろんな態様がある。一方で、高齢者向けの高優賃と、こういう議論でいえば、ちゃんと住んでいいよと、しかし老人ホームの方は、特別養護老人ホームなんかも含めて、住んだ上で介護を受けて、そして多分入院するまで、お亡くなりになるまでという形が多いだろうと。そういう中でどんなふうに仕分していくかというのは実はそう簡単な話ではなくて、そうかといって難し過ぎたらできませんよと。
したがって、だれも作ったことのない計画ですから、人に作れと言う前に、両省でこんなことかなと具体的に作ってみる、本当にできるかということから始めていただきたい。ややもすると計画を作れと言ってそれで現場に投げてしまう、これでは実態が進みませんよと、連携と言いながら形だけになりますよということをひとつお願いしておきたいと思います。
そこでなんですね、計画は作ると、しかし作っても作らなくても、本来、公共団体がどうしても作らなきゃいけないという義務ではないということですよね。そうだとすると、こういう計画を作れ、作ってください。そこで、作ったらどういうメリットが計画者側あるいは供給者側に出るのかというような点についてお答えをいただきたいと思います。
政府参考人(和泉洋人君)
まずは、確かにおっしゃるように義務ではないんですが、こういった時代、こういう計画自体を作ることが都道府県の首長さんの姿勢を示すものだと思っております。
二点目に、インセンティブでございますが、三点ほど考えてございまして、一点は、この計画策定自体、今委員おっしゃったように初めてでございますし、いろんな調査もしなくちゃならないと、お金が掛かります。したがって、これを地域住宅交付金の基幹事業として位置付けまして支援をしていきたい、これが一点目でございます。
二点目でございますが、こういった計画を作ることによって、平成二十一年度に設けられました高齢者居住安定化緊急促進事業、こういった事業がございますが、この事業が使えるようになる。具体的には、公共団体の負担なしに公的賃貸住宅団地などにおいて高齢者生活支援施設についての補助を国から直接受けられるようになる。加えて、地方住宅供給公社が本来業務として様々な関連施策について事業を行えるようになる、これが二点目でございます。
三点目でございますが、こういった施策を展開する場合に、なるべく地域の自主性を反映したい、そういったことを考えてございまして、この計画を策定することによって、その計画の中に位置付ければ、例えば高齢者向け円滑入居賃貸住宅の登録基準を弾力化するとか、あるいは高齢者向けの優良賃貸住宅の認定基準、これについても弾力化するとか、あるいは終身建物賃貸借契約の認可基準についても地域の特性を反映できる、こういった裁量性が与えられる、こういった三点で、極力こういった計画が作っていただけるようにお願いしていきたいと、こう考えております。
佐藤信秋君
供給主体というのはいろんなところが考えられると。地方の住宅公社あるいはUR、都市再生機構ですか、それから社会福祉法人、あるいは純粋の民間の事業者も活用し得ると、こういう問題だろうと思っています。そういうことですね。
そうだとすると、今度の法改正を踏まえてこうした高齢者の住まいを、じゃ、今の計画作ります、助成措置はこうですよ、具体的に助成措置としてどんなことが今回できるようになるのか。あるいは予算措置もあるんでしょうね。そこの辺を分かりやすく教えていただけますかね。
政府参考人(和泉洋人君)
御指摘の支援措置でございます。
まず一点目でございますが、かねてからございます地域住宅交付金、これが住宅行政の基幹的な補助事業でございますので、これを使って、地方公共団体あるいは民間問わず、こういった高齢者向けの優良賃貸住宅の整備に対する助成や、あるいは入居者の家賃低廉化のための助成について国も支援していきたいと思っています。
加えて、こういった法改正を契機として更に積極的に住宅政策と福祉政策の連携を進めるという観点から、二つの予算措置を新しく設けようとしてございます。
一点は、生活支援サービス付きの住宅の供給を促進するために、高齢者生活支援施設と一体となった高齢者向け優良賃貸住宅、これを整備する場合に、その生活支援施設部分については公共団体の負担なしに国だけで支援する、こういった緊急事業を四十億円の予算枠で設けてございます。
更に加えて、今回の施策のポイントは、ハードだけじゃなくてソフトが大事でございますが、いわゆる生活支援サービス、こういったものを各地で様々な形でモデル的に展開していただく。例えば中山間地域でどういった形でお年寄りの生活を支えていくか、こういったことをモデル的にやっていただく様々な事業主体、これは民間を含めて、そういった方々に対しまして助成を行う高齢者居住安定モデル事業、これも八十億円の枠で二十一年度に準備してございます。
加えて、既存のストックを活用していきたいということも考えてございまして、これについては、今委員が計画について難しいことを言っても難しいという話がございましたが、既存の施設を改修して使っていく場合についてバリアフリーに関する基準を緩和するというようなこともやってございます。
加えて、最後でございますが、税制におきましても、高齢者向け優良賃貸住宅について割増し償却という税制がございましたが、これを拡充するあるいは延長する、こういった様々な支援措置を現時点で準備をさせていただいております。
佐藤信秋君
念押しですが、その緊急促進事業といいますか、生活支援施設、これは計画を作らなければ国費で丸々三分の二という部分ができないのか。作らなくても、初年度だから、作ってくださいと、一年もうたちますわね。だから、作らなくても初年度はいい、二年度はいいと、そこはある程度計画作りが進んでくるまではいいということなのか。ちょっと確認です。
政府参考人(和泉洋人君)
大変細かいことで恐縮でございますが、この緊急促進事業、二つございまして、一点は、高齢者向け優良賃貸住宅とセットで生活支援施設を造る場合。このケースについては、民間が中心でございますので、取りあえず二十一年度は居住安定確保計画ができておらなくてもこれは支援します。もう一方のパターンが、公的な賃貸住宅団地の建て替えなどに際しまして、その中にそういった生活支援施設を整備する。これは公共が責任を持って行えることでございますので、これについては高齢者居住安定確保計画で位置付けをしたものに限って支援をする。こういった振り分けをしてございます。
佐藤信秋君
そこもできるだけ、緩めろとは言いませんけれども、したがって、計画作りがごくごく簡潔、簡易にできるようにと、こういうところにまた掛かってくるわけですから、進み方を見ながら現実運用をしっかりとやっていただきたいなと思うところであります。
一方で、厚生労働省の方も特別養護老人ホームなどの施設整備というものについて支援をしてきている。そこのところは、じゃ、福祉法人でも何でも、何かしようかなと、あるいは民間の企業が何か、せっかくこういう法律ができた、高齢者向けにいろいろ考えようというと、さっきの高優賃的なものと、それから特別養護老人ホームといったような介護施設といいますか、そちらの方の助成というのはどうなっているんだろうという点について厚生労働省からお伺いしたいと思います。
政府参考人(坂本森男君)
高齢者の施設の整備についての厚生労働省の助成といたしましては、まず、大規模とか広域型の特別養護老人ホームなどにつきましては、都道府県がこれは一般財源により、平成十八年度に一般財源化されましたものですから、一般財源により助成を行うこととなっております。一方、小規模の特別養護老人ホームや認知症の高齢者グループホームなどの地域密着型のサービスにつきましては、市町村に対する地域介護・福祉空間等整備交付金というのがございまして、これによって助成を行っているところでございます。
さらに、現在国会に提出いたしております補正予算案におきまして、今後三年間に特別養護老人ホームなどの緊急整備を促進するために、施設整備の交付金の拡充や特別養護老人ホームの開設準備経費に対します助成などを盛り込んでいるところでございます。
国土交通省におきまして今度の法改正に伴いましてはいろいろと助成を創設したり拡充したりするものと承知しておりますが、今後、厚生労働省と連携をいたしまして、社会福祉法人を含みます事業者に対して、高齢者に対し住まいと介護のサービスの提供、そしてその生活を支える事業としてどのような形態のものがあるのか、またそれぞれどのような助成を利用可能とするのかについて周知を図ってまいりたいと考えております。
佐藤信秋君
まさしく今のお答えにあることを早くきちっと、計画を立てる人に対しては、こういうふうな考えでこの程度の計画からまず始めてみましょうよと。次に、供給する人たちは、これはたくさんの主体があるわけですね。そこに対しては、両省の助成措置を含めて、こういう手掛かりがあるんですよ、こういう助成措置、税制措置があるんですよ、したがってこの事業に取り込もうとしたらこういうカテゴリーかああいうカテゴリーかということが利用者に分かるように早く案内板を用意する必要がありますよと、資金の手当て等も含めてですね。これはそういう意味では政策金融も多少の部分があると理解していますし、そういうことを広報しながら、計画に供給が追い付くということをきちっとやっていかないと絵にかいたもちになるということを心配してはいるわけです。よろしくお願いします。
そこでなんですね、高優賃の場合には、一定の要件を満たす場合は有料老人ホームとしての届出が不要と、今までそうなっていましたね。これは今回どうなるのか、その趣旨は一体何なんだろうということを、これは住宅局長の方に伺えばいいのかな、ちょっと明確にしてください。
政府参考人(和泉洋人君)
今委員御指摘のとおり、一定の基準に適合する高専賃については有料老人ホームの届出を不要としてございますが、その理由でございますが、これは、まず一点目は、借地借家法によって居住者の継続入居がきちんと保護されている、これが一点目でございます。加えて、高専賃、これはバリアフリーの内容等の情報が開示されておる。更に加えて、都道府県知事が住宅の管理に関しまして助言又は指導ができると。こういった趣旨から有料老人ホームに準ずるコントロールができるんじゃないかということで外したわけでございますが、さらに今回の改正で、高専賃を含みます高齢者円滑入居賃貸住宅について規模、構造あるいは賃貸の条件等についての基準を設けまして、一定の計画期間は設けますが、その基準に従ったもののみを対象にすると。その上でさらに、単なる指導、助言じゃなくて、報告の徴収並びにその結果に基づく改善指示、こういった規定も設けますので、そういった意味で従来以上にこの適合高専賃と言われるものがきちんと管理できるようになるんじゃないかと、こう考えております。
いずれにしましても、よく福祉サイドとも連携を取りながらそういったものが十全に機能を発揮するように努力してまいりたいと、こう考えております。
佐藤信秋君
時間がなくなってきましたので、答えをちょっと簡潔にお願いしたいんですが。
厚生労働省の方に伺います。
介護施設、福祉施設、この前の輿石先生の御質問の中にもありましたけれども、総量規制といいますか、できるだけ縮小していこうと、そんな考えを持っておられるのじゃないかというふうに、世の中の皆さんはそう思っているんですね。実際そうかもしれません。そういう意味で今の、私が、有料老人ホームに高専賃の一部が該当しない、高優賃の一部が該当しないということは、逆に言うとそれが特定施設として認定なかなかされづらいと、総量規制しようというんですから、という問題はあるかなと。分かりますね。
だから、両省、そこのところは、できるだけ増やすというのも大事な問題だと思っていますので、その辺の、特定施設として円滑に指定できるかどうかというような点について、厚生労働省、どんなお考えですかね。
政府参考人(坂本森男君)
十八年度の介護保険制度の改正におきまして、一定の基準に適合いたしまして知事に届出を行った高専賃については特定施設の指定対象にしたところでございます。
今後、住宅と福祉の連携が一層緊密になるということに伴いまして高齢者の住まいのニーズにこたえる多様な住まいが普及するよう、引き続き地方公共団体に要請してまいりたいと考えております。
佐藤信秋君
実は高齢者、健常な高齢者とそれからまあ介護を必要とする高齢者、住まい方が大分違うんだと思うんですね。特に市町村長にいろいろお話を伺うと、地域としてしっかりとみんなで見守ったり介護も含めてやっていくという姿勢がどうしても必要なんで、入れ物作ればいいということではないし、介護保険に全部お願いしますということでもないと。
したがって、両省が一緒になって行政進めていくというのは大事な問題だとは思いますが、そういう運用を現場のニーズに合わせてしっかりと対応可能なように、これを起点として変えていくというのが私自身は一番大事なことだと思っているんです。これで終わりじゃなくてこれが始まりということだと思っています。そういうことも含めて大臣の方に、この高齢者の居住安定、決意をお伺いしたいと思います。
国務大臣(金子一義君)
佐藤委員、最後御指摘されましたように、これがまさにスタートでありまして、高齢化が進む中でこの高齢者の居住、居宅サービスの部分は相当遅れているという部分であると言っても過言ではない、あるいは高齢化のスピードに付いていけていないという部分がますますこれから顕著に出てくる可能性もありますので、御指摘いただいたようなスタート地点としてこれを推進する、あるいは支援してまいりたいと思っております。
佐藤信秋君
以上で終わります。
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