トップページ > 国会活動 > 質疑応答集(2010/3/19)






174回国会 国土交通委員会 第3号
2010年3月19日(金) 午後1時開会

本日の会議に付した案件
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇平成二十二年度一般会計予算
 (内閣提出、衆議院送付)、
 平成二十二年度特別会計予算
 (内閣提出、衆議院送付)、
 平成二十二年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)について
 (国土交通省所管)

佐藤信秋君
 自由民主党・改革クラブの佐藤信秋でございます。
 今日は委嘱審査ということで二十二年度予算、この委員会は、皆思いは多分一緒の先生方が多くて、ふるさとをどういうふうにしていくか、国の振興をどう考えていくか、こういうところが共通のベースなんだと思いますね。そんな御指導を随分私も長い間、諸先生からしていただきました。
   〔委員長退席、理事吉田博美君着席〕
 問題の一つは、この前もちょっと予算委員会で申し上げたんですが、大変厳しい予算の中で組んでいるからいろんなところにしわが寄っているでしょうと。しわの寄っている最たるものが公共投資だと、公共事業だと思うんですが、問題はむしろそこから先の議論が一つあるんですね。積極的に財政出動をすべき時期というのが今だろうと。これは何も私は公共事業をやれという意味だけじゃなくて、雇用の問題であるとかセーフティーネットどう張っていくか、そういう意味で積極的な財政出動、こういうものが必要だろうと。したがいまして、補正予算組んでくださいと、本当はそういう話なんですけれどもね、中身はまあいろいろあるでしょうと。
 ただ、そういう中で、一番しわの寄った公共事業について多少の議論をしながら、特に今、大江先生からもありましたが、離島の問題であるとか幾つか議論をさしていただきたいな。大江先生にいただいた時間の範囲で、私の方でやりますので、よろしくお願いします。
 そこで最初なんですね、よく大臣、三つの制約があるよというお話ですが、実はこれは既に、言ってみれば政権でいえば橋本政権以来でしょうか、もう十三、四年そういう制約の中で、私たちは反対だったんですよ、そんなに削っちゃ駄目だと。しかしながら、ベースの公共投資、公共事業と言うとちょっといろいろ先ほど来のお話のように何となくイメージの悪い言葉、外国で言えばインフラの整備、管理、こういう問題、あるいは公共投資と言ってもいいのかもしれません、社会資本の投資とこう言ってもいいのかもしれませんが、予算の科目上公共事業となっていますから、取りあえず今日までは公共事業と整理したりしていますけれども、いずれにしても当初ベースというのはできるだけ抑えてこようというのがずっと続いてきた。これは平成九年政権以来だと、こういうふうに私は理解しています。
 状況に応じて補正予算を組む、それから余りにも遅れ過ぎているという問題があるので、そういうところに対する手当てというのは、例えば災害が起きたらその復旧のときに同じに復旧しちゃ駄目だから改良して復旧する。それには公共投資要るんですね。災害復旧だけではなくて、同じに復旧したらまた同じ災害が起きるわけですから。そんな形でやってきたと。
   〔理事吉田博美君退席、委員長着席〕
 そういう意味で、資料の一御覧いただくと、当初ベース、これは予算の当初ベース、当初というのは根雪と言われますからね、これは恒久的な財源とそれから組立てをきちっとして、制度をきちっとしてというんで、残念ながら削られてはきたと。ただ、その時期時期に応じて補正予算をちゃんと組みながら遅れを取り戻し、整備、管理の遅れを取り戻し、また経済を回すと、こういう作業を行ってきた。
 削り過ぎだと思うんですよ、私は、二十一年度まで自体が。だけど、こう削ってきた。大体四割弱ですよね、四割ぐらい。そういう意味では当初は削ってきた。決算後に比べると、十年で今この資料一を作っていますが、十年の決算に比べたら半分以下、二十二年度当初はですね。もう四割ちょっとぐらいになると、こういう問題なんですね。
 私が申し上げたいのは、根雪としての公共投資はこういうふうに残念ながら自民党政権、自公政権も削ってはきたけれども、補正で弾力的にやろうと、こういうことであるので、是非大型の財政出動必要でしょうと、公共事業だけじゃないですよ、ということを申し上げたいと。で、資料一が今度は推移を書いてある。
 ただ、問題なのは、社会資本の整備水準をどう考えるんだ、あるいは経済をどう回していくんだ、それから、先ほど来大臣おっしゃるように、維持管理をどんなふうな見込みを立てながらやっていくのか、いろいろなことを考えなきゃいけないんですが、今地方を回っていますと、もちろん大臣も政務三役の先生方もお分かりだと思いますが、地方の経済は本当に落ち込みが、全然立ち上がりません、立ち上がっていません。
 じゃ、どう回していくのか。ガソリンに何を使うのか、エンジンに何を使うのか、こういう議論でいうと、まさしくアメリカも中国もどこもと、こう言ってもいいんでしょう。公共投資、アメリカは七十兆円の中で大体七割ぐらいでしょうかね、財政出動した中で、リーマン・ショック以来のですよ。それで、中国は五十四兆円と言われていますが、大部分を公共投資という形で経済のエンジンを回した。日本もきっと必要だろうと、私はそう思っています、今こそ。ただ、それは公共投資とは限りませんということはあります。公共投資も、それから雇用もと、こういう問題だろうと思います。コンクリートから人へと、こう言うよりは、コンクリートも人も大事だから、そこのバランス取っていきましょうよということを申し上げてはおきたいんですが。
 そこで、建設産業というのが地方の基幹の産業の一つ、農林水産業それから観光業。基幹産業というのはこの三つが組み合って地方の経済、暮らしを回しているなと私はつくづく思うんです。ただ、今大変心配なのが、実は建設産業、売上高が一番多いときに八十四兆。二十年度、二十一年度、これは見込みと見通しですけれども、大体四十七兆ぐらいかと、総売上高がですね。それで、今のこの予算の下では一体全体どのくらいになるだろうと、落ち込むだろうと、地方の皆さんが大変心配しているものですから、その辺の、最初に、見込みがお分かりの範囲で教えてください。

大臣政務官(長安豊君)
 佐藤委員の御質問にお答え申し上げます。
 私が初当選の第一回目の通常国会、これ道路公団の民営化の法案のときに佐藤委員が道路局長で政府参考人として御答弁いただいたわけでございまして、その佐藤委員に御答弁をさしていただくというのはまさに感慨深い思いがございまして、御答弁さしていただきます。
 今ございました建設投資額の推計でございますけれども、これは現時点ではまだ国土交通省において推計した数字というものはございません。御存じのように、建設投資見通しというものは、前年度の実績が確定したもの、それに平成二十二年度の予算の執行予定というものを基に算出して推計をしていくわけでございまして、例年六月ごろに公表をさしていただいておるところでございます。

佐藤信秋君
 ということで、今の時点ではと、こういうことですが。
 いろんな、早目に発表する、見込みを発表される皆様がおられますよね。そういう中では、この四十七兆円というのは、二十一年度自体がどうなるかというのは多分多少ぶれるんでしょうけど、四十兆を切るだろうという見込みが多いんですね。私もそう思います。今のままでしたら四十兆を切る。
 そうなってくると、なかなかつらいところがあって、質問の順番が申し上げているのとちょっと違うかもしれませんが、資料の二を御覧いただくと、おおむね投資額四十七兆に対しては五百二、三十万人ですね、関連産業就業人口と言えばいいんでしょうかね。大体一兆で十万人ぐらいと、こういう見当なんですよね。これいろんなデータを見ても大体、ラフ過ぎますが、九万人から十二、三万人ぐらいかなということであるんですが、そうなってくると、四十兆を切るようなことになったら、七、八兆に十万人掛けたら七、八十万人出かねない、こういう問題なんですね、私が随分気にしていますのは。
 その辺、どのぐらい雇用に影響するかなというような辺りが、こんな感じでどうでしょうかね、そんな見込みになってしまいますかねということを、政務官で結構ですが、どうでしょう。

大臣政務官(長安豊君)
 今、先ほど来大臣がお話し申し上げておりますように、公共事業に関しましてはやはり三つの制約要因、人口減少、少子・高齢化、多額の財政赤字という状況がございます。そういう中で、公共投資をある程度絞っていかざるを得ないという現状にあるのは御存じのとおりでございます。
 建設就業者の雇用情勢につきましては、失業者数を推計した数字というものはないわけでございますけれども、こういった状況を踏まえれば更に厳しくなるものと認識しております。
 このため、建設企業が経営を持続していけるように、入札契約における低入札価格の基準価格の引上げ等のダンピング対策を徹底してまいりたいと考えております。
 また、民間の知恵や資金を使ったインフラ整備、PPPやPFI、こういったものを取り入れたり、さらには住宅リフォーム、省エネ、耐震等の新しい需要を喚起し、建設業の活躍の場を創出してまいりたいと考えております。
 あわせて、当面の建設就業者の雇用の維持確保については、企業の雇用維持努力を支援する雇用調整助成金等の活用も図りながら、政府一体となって取り組んでまいる所存でございます。
 さらに、先ほど藤本政務官からもお話がございましたけれども、観光といった新たな分野、さらには林業、介護などといった分野でしっかりとした産業を育てて、新しい雇用、需要を生み出してまいりたいと考えております。

佐藤信秋君
 せっかくの機会ですので、ある程度共通認識といいますか、データを用いながら多少の御議論をさせていただきたいと、こう思います。
 先ほど大河原委員から八ツ場のお話がありました。利水に関してでしたですね。資料の三を御覧いただくと、実は、日本の雨の降り方というのはだんだんだんだんと荒っぽくなってきている。
 これは私が勝手に引いた線ではあるんですが、この上下の線は。二シグマで線を切ってみました、二シグマがいいかどうかというのは別の問題として。分散が大きくなってきているんですね、雨は。例えば、年間大体百年で百ミリですから、一年に一ミリぐらい総平均が減ってきている、雨そのものは。これは気象庁のデータです。ばらつきが大体私はよく倍になったと、こう言うんですが、倍まで行かなくても五割増しから七割増しぐらいになっているんですね、分散が。だから、こうやって開いてくる。
 つまり、どういうことかというと、渇水の年と大雨の年と、あるいは渇水の町、地域と大雨の地域とが全く隣り合わせ、その度合いがだんだんひどくなってきている、こう御理解いただきたいと思う。四年ほど前ですかね、四年か五年前に、四国の早明浦ダムがからからで渇水で大変だ、だけど台風が一個来たら満杯になってしまったと。渇水でなかったら、あふれているんですね。つまり、治水と利水は一緒に考えていかなきゃいけない。ますますそれが強くなってきた。こういう問題であるということを、今日は全体の委嘱審査、全体の議論でありますので、こういう問題じゃないかなということをデータからは読み取れるということを一つ。つまり、安心、安全のためにはどうすればいいのか、こうしたことをベースにしながら議論を是非していきたいと、こう思う次第であります。
 そういう状況の中で、実は資料の四に公共投資の国際比較を載せました。前原大臣、以前に御質問されていましたですよね、日本は六%もあるじゃないかと、GDPに対して政府固定資本形成、IGがでか過ぎると、こういう御議論でしたが、現状でいくと、これは先ほどのお話で予測はしていないということですから、大体三%切って、多分二・五前後ぐらいになりつつあると、こういうふうに理解すればいいのかなと思います。
 この十年の間に実は社会資本なんかが整備できているような国、ヨーロッパ、欧米が、対GDP比でいけばこんなふうに伸ばしているんですね、左の表のように。日本だけ半分にしちまったと、こういう状態であるんですね。それで、おおむねGDPに対するIGの比率というのは日本も各国横並びになってきてしまったと。それでいいかどうかというのは、整備水準の問題をどう考えるかという問題とさっきの安心、安全みたいな議論、トータルでやっていかなきゃいけませんし、何よりもやっぱり激変していくと、激変したら整備の方も進まない、管理も十分できない、それからその主にすべき建設産業も足腰がへたっていく、地方の暮らしと特に雇用が、さっき申し上げましたように、どうしようもなくなっていく、こういう問題だろうと。したがって、激変は余りしてはいけません、二割切るようなことはとてもとてもですよねと、こういうことを申し上げたいんですね。
 四月号の文芸春秋に丹羽宇一郎さん、どちらかと言えば経済界の方ですから、伊藤忠の会長ですかね、経済界の方ですから、市場で頑張れと、こういう方ですが。文芸春秋には、公共投資、各国は二・五%前後だろうと、ただ雇用対策も併せてやっていると。日本の場合には、公共投資だけ切っていくものだから、雇用大丈夫かと。それから、やっぱり公共投資の経済を興す効果、雇用の効果ということを考えないといかぬのではないかと、こんな論文といいますか、が出ていますので、私、大江先生の御指導をいただいて私が言っているだけではないということを御理解いただく意味で、できればお読みいただいておけばと思います。
 そこで、乗数効果なんかの議論をちょっと見ておいていただいて、そこから先次に行きたいと思うんですが。
 一時、公共投資もうさっぱり経済に効果なくなったじゃないのと、こんな議論がありました。内閣府のマクロ計算モデルで見ても、しかしながら、お手元の資料の五にお届けしましたように、名目GDPに対しては三年分でいけば一・七だと、こう言っているんですね、公共投資。所得税減税の方は〇・七とか〇・九とかいう数字ですよと。初年度はまた全然違いますが。そういう意味で、経済を回す、雇用をしっかりと守るという意味での公共投資の役割というのも是非御覧いただいておきたいと思うわけであります。
 それでは、さっきも長安政務官にちょっとお答えいただきましたけれども、建設産業の議論に戻ります。
 こういう中で、経済を回す、地方の雇用を支えるという意味で、やっぱりやるべきことはきちっとやっていっていただかなくちゃということではありますが、建設関係の技能労働者と申し上げればいいんでしょうかね、実はこの十年で賃金水準が物すごく下がったんですね。これは、お手元に整理しましたのは設計上の労務単価というやつですけれども、設計上の労務単価で約三割下がっている。一見すると何とかなるかいなと、こういう感じなんですが、実は屋外の労働ですし、受注産業ですから、建築土木も含めて大体どのぐらいの日数働けるんですかと聞くと、二百日から二百二十日なんですね。ということは、これ、大体四十代から五十代の人が中心ですから、今若者がなかなか入ってきてくれなくなっていますけれども、そういう意味では、これに二百とか二百二十日掛けると、一家四人がなかなか暮らしていくのに大変な数字だというのはお分かりいただけると思います。これは設計上の労務単価なんですね、設計上。実際はそれぞればらついています。
 そういう意味で、技能労働者の賃金を、最低賃金を決めようかと、公契約法的に、公共調達自体は公契約法ということで決めたらどうかというお話も民主党の中でもあるように伺っています。難しいのが幾つかありますので、これからいろいろ御議論しながらやっていきたいとは思うんですが、一番大切なことは、この水準ではとても若者は入ってこれません。一家四人の大黒柱が暮らしていくのは難しいですよ。二百日掛けていただくと分かるんですね、二百日掛けていただくと。
 だから、どうやったらこれ上げれるんだろうと。例えば、公契約法的に賃金水準をこんな水準でどんとやってくださいというわけにもいきなりはなかなかいかないところがあるから、その辺、先ほど長安政務官にお答えいただきましたけれども、ちょっとこれは多分いろんなことやらなきゃいけないので、大臣の決意の問題として一言お願いしたいと思います。

国務大臣(前原誠司君)
 佐藤委員が御指摘をされておりますように、近年、建設投資額が公共、民間を通じて減少する一方で、建設労働者数や企業数の減少の割合が小さいことなどから、賃金実態を調査して決定している公共工事設計労務単価が低下傾向にあるというのは今おっしゃったとおりであります。また、厳しい経済状況の下で、ダンピングによりまして企業の利益率が低下している、そして結果として労働者の賃金にしわ寄せが発生しているものと認識をしております。
 じゃ、どうやって労賃を上げていくのか、あるいは適正な賃金にしていくのかということでございますが、私どもとしては二つのことを考えてやらなければいけないと思っております。
 一つは、実効性の高いダンピング防止策というものをしっかりやっていく中で、低価格入札というものをやめて、しっかりと適正価格で仕事をしてもらうということが大事で、それがひいては労務単価の不当に安いものになっていくということを歯止めを掛けられるのではないかと思っておりますし、その対応策として、いわゆる最低制限価格というものを徐々に上げていっている面はございます、ダンピング対策として。これがまず一つ。
 もう一つは、この間、私、記者会見をさせていただいたんですが、やっぱり下請にしわ寄せが行き過ぎているということで、下請対策をどうしていくのかということで、これ九割が、これは次官経験でいらっしゃるので釈迦に説法でございますが、建設労働者の約九割が下請企業で働いておられるということから、書面契約の促進、取締り、指導監督の強化、新たな下請代金保全策の導入、下請見積りを踏まえた入札方式の試行、こういうことで、これ四月からやってまいります。
 こういうことで、下請にしわ寄せが行かないようにする中で、適正な労務単価というものを維持していくということを取り組ませていただきたいと、このように考えております。

佐藤信秋君
 いろんな多面的なやり方をしていただかなくちゃいけないと思いますし、そういう意味で適正価格、これも適正価格と、適正に変更するというようなことが大事なことであります。私自身は、積算したら、それの九割ぐらいないと本当は無理だろうと、一般管理費が大体一割ですから。一般管理費を一生懸命頑張ってぐらいの範囲なら何とかできても、それ以下で仕事をして継続していったらどんどんデフレになる。だから、デフレ対策という面を考えても、きちっとした適正価格と適正労賃、こういうものをやっていっていただく必要があるだろう、これはお願いを申し上げておきます。
 何分にも、四十七の都道府県のうちでそれぞれ県庁所在地のある会社が平均すると赤字というのが三十三件あるんですね、あるデータによれば、まあ大体そんなものだと思います。平均すると赤字。そういう時代ですから、大手もまた大変で、資料七にそんな資料も付けていますが、全体平均でこんなふうな他産業に比べるとはるかに低い利益率、赤字の会社の方が多い、だから税収がなかなか上がらなくなると、そんな議論もありますので、是非しっかりとお願いしたいと思います。
 と言っている間に、余り私がしゃべらないようにしようと思いますが、次の問題は、そういう公共投資はやっぱり何か補正していかないと難しいですよねということを申し上げているわけですが、それの典型的な例として離島と奄美でちょっと一言申し上げたいんですね。
 資料の八に離島と奄美、これは大臣の御説明にあるように、国土交通省に一括して予算計上。実は、それぞれ離島というのは農林水産業と建設産業が大体三割以上ですね、両方合わせますと。両方とも一緒に仕事をしているというのが実態ですから、そういう意味で公共投資が大変大きな比重を持つと。そういう中でいきなりどんと切られるというのが、またこれが厳しいんですね。
 実は、これははっきり申し上げて、多分新規事業をやらないんだから、継続事業、二十二年度は今までの継続事業の範囲でやる。じゃ、その継続事業が離島や奄美はごく少なくて、あと二、三年ぐらいで終わるということで、例えば奄美なんかは、全体平均でいえばですよ、二九%も下がるのかと、こういう議論なんですね。恐らくそうじゃなくて、それぞれ、合成の誤謬じゃないですが、余り意識せずに足し込んでみたら結果こうなっちまったということなのかなと。継続事業どのぐらいありますかと担当の人に聞いてみましたら、合計していませんということですね。これは、そういうところをちょっと注意深くやってあげないと、実はどんといきなり響きますよと、こういうことなんですが、大臣、その辺何とかしたいねというお言葉を一言お願い申し上げたいんですが。

国務大臣(前原誠司君)
 予算委員会でも委員とはこの点について議論をさせていただきましたけれども、過去三十年間、離島にじゃどれぐらいの公共事業をやってきたのか、奄美にどれぐらいの公共事業をやってきたのか。これは委員も御存じだと思いますけれども、昭和五十年から平成十七年までの三十年間で、離島には三兆八千三百九十九億円のお金を投じました。公共事業をしっかりやってきたということでありますけれども、じゃ、その結果として離島に住んでいる方々の人口はどうなったのかということを考えたときに、六十六万六千人、一九七五年にいた方が、二〇〇五年には四十三万四千人と、つまりは三五%の人口減少になっているということでございます。奄美について言えば、三十年間で九千二百六十六億円のお金を投じて、昭和五十年、人口は十五万六千人から、平成十七年、三十年後には十二万六千人、一九%人口が減ったということでございます。
 つまりは、もちろん必要な公共事業はやっていかなくてはいけませんが、公共事業をかなり多くやった時期もあります、これは佐藤委員も御承知のとおり。しかし、人口減少には歯止めが掛からないわけですね。つまりは、公共事業というもののカンフルだけではなかなかこの人口減少に歯止めを掛けることができないし、また公共投資というのは、委員も御承知のとおり、全部は落ちない、ゼネコンが取ったら本土に持って帰っちゃうと、こういうこともございまして、そういう意味では、公共投資額が減ったら問題だということには、今までの三十年のこの人口減少の経緯を見たら私はならないんではないかと思っております。
 したがって、どうその予算配分を公共事業から子育てや教育、社会保障などの人へと変えることが大事かということと、あとはこの離島や奄美だけではなくて、日本の農業の食料自給率が四一%、そして水産業が五三%、そしてエネルギー自給率というのが原子力を入れてようやく二〇%ぐらいになると、原子力入れなかったら四%ぐらいだということになったときに、日本の弱点というのは決まっているわけですね。何が日本に力を入れていかなきゃいけないのかということは決まっている。
 こういったところにどうやって地域の雇用なりを生み出していくかということを、どう限られた予算の中で定着をさせていくのかということがこれから我々は大事だと思っております。そのために予算の使い道を変えて、地産地消で雇用の受皿にもなるような農業、水産業、そして観光、そして高齢化が進んでいく中での介護、医療、こういったものをしっかりと、予算は減りますけれども、こういったところにしっかりと雇用が生まれるような対策というものを取っていかなくてはいけないと、このように考えております。

佐藤信秋君
 大臣、人口が結果として減りましたという部分は実は、ウイズ・アンド・ウイズアウトですから、やってなかったらどうなったかという比較をしないと意味を持たないというのはもちろん御存じだと思いますけれどもね。
 離島で、橋架けて離島を解除されたのって結構たくさんあるんですね。いろいろつながって、本土なりなんなりつながって、今の公共事業の中でですね。ですから、そういうことも総合的に考えながら、激変だけはこれはやっぱり、ちょっと落ち込みがひどいからやっぱり補正予算が要るだろうなと、こんなことをお願いしておきます。
 次に、時間がなくなってきました、イエスかノーかだけでいいんですが、ガソリンですね。今度、税制改正して全国は百六十円を限度にするんでしたかね、それ以上になったらガソリン税を暫定税率分下げるんですかね。資料の十にちょっと最近のデータ入れてありますが、離島は元々高いんですね。大体百六十円超えてます。だから、最初から離島ぐらいは暫定税率下げてくれたらどうですかと、取っ払っていただいたらどうですかと予算委員会で菅大臣には質問しました。検討しますと言っておられます。離島振興担当の大臣ですから、やりましょうと、こう言っていただくと一番いいんですが、イエスかノーか一番端的に答えてください。

国務大臣(前原誠司君)
 簡単にイエスかノーかだけではちょっとお答えができないのでありますが、委員御指摘のように、離島平均で平成二十二年一月百四十九・一円、一リッター当たりのガソリンの値段でありますけれども、全国平均は百二十六・九円ということですので、その差額は二十二・二円ということで、委員おっしゃるように二十円余りの差が開いているということでございます。
 ただ、離島以外にも過疎地域、辺地、それから先ほどおっしゃった半島、それから振興山村、豪雪地帯、こういったところもガソリンの値段が高いと、こういうことでございます。
 菅大臣と佐藤委員のやり取りを私も横で聞いておりまして、これ我々、元々ガソリンの値段を離島では下げるべきだという法案も出しておりますし、そしてまた来年度の、来年度というのは平成二十三年度の税制改正要望では引き続き今おっしゃったようなことはもちろん検討していくということになりますが、その離島だけでいいのかどうなのかということも含めて少し精査をし、そして、それでなくても所得の低いところに負担を掛けているというところをどう解消していくかということは我々もしっかり考えていかなくてはいけないと思っておりますので、また委員、いい知恵がありましたら教えていただければ有り難いと思います。

佐藤信秋君
 元々暫定税率二十五円を外すとおっしゃっていたわけですから、せめてそういうハンディキャップ地域は外すというのが整合が取れたお話かなと思いますので、これは是非強くお願いしておきます。
 それから、時間がなくなってきて、あと、これは要望だけにします、お答え要りません。
 高速道路無料化しようというんで今年千億円のモデルをやると、法案も出してこられるようですから、そのときに議論させていただくとしても、離島の人は高速道路使わないですよね。それで税金だけ払うんですよ、払わなきゃいけないんですね。そういう意味では、ガソリン税とそれから離島の航路、航空路、これはほとんど赤字ですから、そこの値下げというんでしょうかね、あるいは経営ができていくようにというのは、一千億円も高速道路を無料にするための実験に使うなら、せめて一割ぐらいはそういうところにもというのを是非御検討いただきたいと思います。
 そして、ごめんなさい、いろんなところにしわが寄っているでしょうという意味で住宅の問題、ちょっとやりたかったんですが、時間がなくなってきました。ごく簡単に、予定どおりにきちっとしますから、厚労から審議官も来ていただいていますから。
 特養といいますか、特養と限定する必要もないんですが、介護保険施設関係ですね。これ去年、高齢者の居住円滑化法というんで一緒に計画作ったりしながら、住宅、福祉、一緒にやりましょうと、こういうことにしましたが、例えば特養に限ってみても何でもいいんですけど、二十一年度どのぐらいの予算でどのぐらい進んで、二十二年度どうするか、数字だけお答えいただければいいんですけれどもね。

政府参考人(三輪和夫君)
 お答え申し上げます。
 平成二十一年度、二十二年度の特養等施設の整備実績及び予定につきましては、この現時点ではまだ把握はいたしておりませんが、今月末の時点での状況を調査をいたしまして来月中に把握をすると、そういう予定でございます。
 介護基盤の緊急整備につきましては、平成二十一年度の第一次補正予算によりまして、二十一年度から二十三年度の三年間分で約三千億円の基金を国費で措置をいたしまして、都道府県でその基金を設置をしております。三年間で十六万床分を目標に整備を推進しているところでございます。

佐藤信秋君
 ということで、その基金の使われ方とか、そのほかに、その基金だけじゃ駄目で県や市町村が出す分もあるわけですね。そういうのが全体としてどんな計画なんだが二十一年度はこんなふうな進み方、十六万床のうち本当は五万床ぐらいは進まないかぬわけですね。そういうところの把握というのがこれは実は十分じゃないなという意味でちょっと伺っているんで、すぐ、できるだけ計画段階の把握もできるようにしていただく必要があるんだと思うんですね。基金で全部賄えるわけじゃないんですね、これ。
 一方で、住宅予算についても、この資料十二にある高齢者向け優良賃貸住宅ですか、これをやっているはずなんですね、これだけとは限りませんけれどもね。政務官、二十一、二十二でどのぐらい進むんでしょうかね。

大臣政務官(長安豊君)
 二十一年度につきましては、これ地域住宅交付金により行ってまいりました。来年度予算に関しましては、高齢者等居住安定化推進事業として国費で百六十億円を投入し、高齢者向け賃貸住宅の整備に対して、国が事業者に対しまして直接助成できる制度の充実を図ることとしております。
 戸数といたしましては、最大で一万五千戸程度の整備に対応できるよう予算を確保しているところでございます。

佐藤信秋君
 この問題については、輿石先生が昔の厚生省と建設省との縄張りを、昭和二十七年でしたですかね、のころに整理したんだがと、しっかりと一緒にやりなさいということを昨年、一昨年でしたかね、御指導いただいた覚えがあります。
 申し上げたいのは、この資料の十二にあるような高齢者の介護施設って非常に複雑にたくさんの種類があると、こう一般的には思われているんですね。確かにそうなんです。そうだとすると、介護待ち高齢者が、施設待ち高齢者が四十二万人おられると。そういうことをどうやって解消していこうかというのは、こういういろんなメニューの中でどこがどのぐらい進むのかということを一緒に常に把握しながらやっていっていただかないと今みたいなお答えになっちまう。二十一年度はこれから整理します、二十二年度どうなるか分かりませんと、こうなるわけですね。だから、地域主権は大変いいんですが、そういう計画あるいは実績というものはやっぱり一緒になってフォローしていただきたいなと、こういうことをお願い申し上げておきたいと思います。
 ついでに大臣に、先ほど離島、奄美の方は、これは一括計上で、予算の原案だけで、予算案の段階で出てくるんですね、分けて。ですから、その予算原案を作る段階で随分と気を遣っていただく必要があるんですが。あわせて、これは今度、実施計画マターとしては、都道府県ごとに公共投資といいますか、今期幾ら配分と、こういうのが出てきますね。これは毎年公表しているんですね。単純比較で結構ですから、二十一年度、二十二年度はこれこれで、県別には、まあ縮み率と言えばいいんでしょうかね、どのぐらいというのを是非、実施計画の段階で、つまり予算が成立してから一週間ぐらいになるのかもしれませんが、出していただきたいなと、これは要望しておきます。
 というのは、随分と今までになく縮減率が大きいものですから多分ばらつきが起きたろうというので、それぞれ地方で、それこそ知事さん、市町村長さんたちが自分たちの二十一年度のことをいろいろ考える上では、そういうバランスといいいますか、自分のところはトータルどのぐらいというようなことが縮減率みたいな形で分かった方がやりやすいと思いますので、これは大臣、お願いを申し上げておきます。
 それからでございますが、八ツ場ダムの問題で、利水、治水、両面から検証していただくと。中身の議論に入る時間はありませんが、資料の十三、御覧いただいて、いかにたくさんの皆様、先ほど利水関係者のお話ありましたけど、利水、治水含めて、議会、あるいは首長さんたち、あるいはまた利水者と、こういう形で、元々基本計画を変更するには協議をせないけない、みんなの意見がどうかということを、これは民主主義の世の中ですから、しっかりと把握していただきながらどういう変更をするかということをお願いせないかぬので、その場合に大臣が中止前提にということでずっと言っておられるのはいかがなものかと。予断なく検証するんだったら、検証の結果、皆さんの関係者と十分な話合いしますよというところでおやりいただくのが一番いいんじゃないかと思うんですが、大臣、一言だけで結構でございます。

国務大臣(前原誠司君)
 今、八ツ場ダムの本体工事の中止の方針を我々はお示しをしておりますけれども、これはあくまでも中止の表明でございまして、特定多目的ダム法に基づいたいわゆる基本計画の廃止の手続に入っているわけではございません。今委員がお示しをいただきましたこの資料十三に書かれておりますように、関係自治体多うございます。また、お金も出していただいている自治体もございますので、具体的に法的な手続に入る場合においては、当然ながら関係自治体との協議の中で進めていくということにさせていただきたいと考えております。

佐藤信秋君
 是非、皆さんの意見をよく聞きますよということをしっかりといつもおっしゃっていただきたいと思います、相談しながらですね。
 次に、JALの問題なんです。JALの問題もいろいろな議論はあるとは思いますが、私自身は大臣にお願い申し上げたいのは、タスクフォースをおつくりになったときに、実はちょっと手元に資料十五で載せさせていただいていますが、抜本的な再生計画の迅速な策定と実行を主導することが望ましいと判断したというのがタスクフォース設置の趣旨になっている。ここがちょっとなかなか厳しいかな、踏み込み過ぎかなと。どなたが主導するということになっているかというのはここでは分かりませんが、やっぱり独立した民間会社ですから、とにかくしっかりとした計画作れ、これでいいのかどうかということはあっても、ここはちょっと踏み込み過ぎだったかなという感じがいたします。
 ただ、何よりも、これから更生計画を作って、それでしっかりともう一回羽ばたくという方向を支援していただければと。それこそしっかり指導、いろんな関係機関を含めて、というふうに思います。もう一つ申し上げたいんで、これはお願いだけにして。
 あと、箇所付け漏えい、いわゆる仮配分の問題ですけど、大臣は民主党にだけ出たようなことがまずかったと、こういう御認識を持っていただいている。
 実は、私自身は、財政法の三十四条で、非常に今厳しいところがありますから、予算が本当に成立するかどうかという、何といいますかね、与野党の関係ですと、そうすると、これもめて、財政法三十四条、こんな早く実施計画の前に出していいのかという、こういう議論が出てくるんだと思いますが、これは与野党伯仲したときですね。ですから、余り幅があるとはいいながら仮配分ということをお示しになるのはいかがなものかと私は思います。ここは賛成し難い。
 百歩譲りまして、お出しになるとすれば、みんなにお出しになるということと同時に、国土交通省の中でも、実は財政法三十四条で実施計画をきちっと作るというのがたくさんありますよね。たくさんあるんです。県の方の負担と調整せにゃいかぬという意味ではたくさんあるんですね。補助事業でもそうです、調整は。交付金事業でもそうですよね。そうすると、それはみんなやるのかと、こういう議論になるし、内閣でいえば全体としてそういうそれぞれ平仄を合わせて、幅を持って出すかと、こういう議論も出てくるんですね。この辺は是非しっかりと御調整いただきたいな。これは要望ではありますが、いいと言っているわけじゃないですよ、やるんなら調整していただいた方がいいでしょうと。私は反対ですけれども。
 もう時間がありません。それではお答えがあれば、一言どうぞ。

国務大臣(前原誠司君)
 今回私どもが考えましたのは、直轄事業の円滑な実施を図るためには事業費の一部を負担していただく地方との調整と透明化を図るということが大事だということで、事業計画を十一月に発表し、二月に事業評価というものを出して国会審議に資するようにということでやらせていただいたということでございまして、それが党を通じて自治体に漏れたというのは全く遺憾でございました。
 委員の御意見も伺いながら、どうすれば地方が安心をし、公平性、客観性を高められるかということは更なる改善を加えていきたいと、このように考えております。

佐藤信秋君
 終わります。