トップページ > 国会活動 > 質疑応答集(2010/11/11)






176回国会 国土交通委員会 第5号
2010年11月11日(木)午前10時開会
 

本日の会議に付した案件
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇国土の整備、交通政策の推進等に関する調査
(尖閣諸島沖での中国漁船衝突事案の映像流出に関する件)
(社会資本整備に対する基本認識に関する件)
(北海道局の役割に関する件)
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金に関する件)
(平成二十二年度補正予算における観光振興関連予算に関する件)
(領海警備に係る法整備の在り方に関する件)
(海上保安庁の保有船艇等の更新に関する件)

佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋でございます。

最初に、お願いが一言。

尖閣のビデオの問題で、やっぱり早くお出しになるべきだと思います、ビデオを。それからもう一つは、そもそも那覇地検で判断したかのように、保釈を、船長の、これはやっぱり違うんで、指揮権発動をしてでもきちっと、これが政治判断の問題、こうであったと思いますと、ここはお願いですけどね、早くビデオ出してください。

次に、補正予算について幾つか、この前の質問し忘れといいますか、できなかったのもありますんで、お答えの方は簡潔にお願いしたいんですが。

補正予算の問題として、内需の拡大効果というのがちょっと少な過ぎるじゃないでしょうかねと、五兆円使うと、こういうお話ですが、〇・六%ぐらいGDPに寄与すると。GDPの一%がおおむね五兆円ですから、五兆円使って〇・六%。元々いろんな細かい計算あると思いますが、これはやっぱり公共投資少な過ぎるというところにも原因があるんで、表の一に去年との対比載っけておきましたが、やっぱりこれは国土交通大臣とされては、追加でもやりますよというような御決意をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(馬淵澄夫君)

今回の補正予算、これは政府全体で五千九百億の公共事業関係費計上でございまして、これは前倒し分、いわゆるゼロ国で二千三百八十八億確保ということで、これが足りないのじゃないかという御指摘だというふうに承ります。

ただ、私どもとしては、三段構えの経済対策として、ステップ1での予備費の執行、さらにはステップ2の補正予算、そして二十三年度予算においてステップ3ということで切れ目なく予算執行を行いながら、社会資本整備とともに公共事業による内需拡大ということ、これも目指しているということでありますので、御指摘の点というのも十分踏まえながらも進めてまいりたいというふうに思っております。

とりわけ、昨年、私どもが行った公共事業費削減について、この委員会の中でも再三地方の厳しい状況というのも御指摘いただいておりますが、だからこそ私は、繰り返し二十三年度においてはしっかりと要望を出し、更にその執行というものを確保して執行を行わなければならないと、このように考えております。

佐藤信秋君

まさしくそこなんですね。予算がデフレ促進予算になっちゃいけませんですよね。これは絶対、今、デフレを克服しようと、景気、内需を拡大していこうというときに逆にデフレを促進するかのような予算になっては、これまた一番まずい。そういう意味で、今回、補正をしますと。

一方で、二十三年度概算要求のときは、五・八兆円の公共投資でいえば要求しましたと、約六千億補正します。これがまさか前倒しで、三次の対策と、こう言いながら五・八兆からコンマ六兆引くというようなことはあり得ないでしょうね。五・八兆は大臣のお立場として絶対に譲らない、私の方はもっと増やした方がいいとは思いますが、概算要求は少なくとも譲らないと、こういう御決意を次にいただきたいです。

国務大臣(馬淵澄夫君)

前倒し分でその後削られてしまっては何もならないじゃないかという御指摘だと、こう思いますが、まさに私も政務三役のその議論の中でもそのことは十分認識をしております。

今般のこの補正予算で盛り込まれた中で前倒しに当たるものが、海上保安庁の船艇、航空機あるいは住宅、建築物の耐震化などで約二百五十億でございます。これ、〇・五%ということでありますので、このことに関しては、これが多いか少ないかという議論はあるかと思いますが、私どもとしましては、これによって概算要求ベースから大きく後退するなどということがあってはならないということで、強い決意で要望を出していくと。

繰り返しになりますが、成長戦略、そこにフォーカスしながらの今回の予算編成でございますので、菅総理のおっしゃる元気な日本復活ということであれば、当然ながら、この経済官庁となる私どもの要求する予算についてはしっかりとおこたえいただくように、これからも財務当局に働きかけてまいりたいと思っております。

佐藤信秋君

ということで、是非、私どもも応援しますから頑張っていただきたいと思いますが。

そこで、実は地方の首長たちが今、大変心配しているのが一括交付金という言葉の議論なんですね。社会資本整備総合交付金という形で一括交付金化しましたと。一方で、更にそれを進めるかのような話があって、その話の眼目は多分、公共投資分というか、予算そのものを減額しようと、こういうことになるんではないかというのを一番地方の知事や市町村長は恐れているんですね。

実は、これ、三位一体のときに、あたかも補助事業を財源移しますと、こう言いながら、三兆円移して四兆円切られちまったと、逆にですね。多分、同じことになるというのを、大失敗しているんですね、これ。事実、多分それをねらわない限りは制度設計が元々無理があるので、何とか公共投資だけじゃなくて補助金、交付金、二十兆やるから、そのうち一割切ったら二兆円出てくると、こういうような感じの中で、本当にどこまでやるかは別にして議論が出ていると、こんなふうにも見えるんですね。大変心配していますから、地方の知事、市町村長、まあ議会がですね。

自民党・公明党政権、三位一体改革、結構無理してやったら、あれ、結局結構響いていて、後で、何やっていたんだと、こういう話でですね、底流としてとんでもないと、こういう話になったと。同じ轍を踏まないといいますかね、のように、一括交付金というような議論を単純になさらずにということを是非お願いしておきたいと思います。

今の社会資本総合整備交付金と、こういう形、ベースとしていいじゃないですかと。仕事するところに予算が回る。仕事も全然しないところに予算回っていったら薄くなってこれ、できません。この辺、大臣、いかがでしょう。

国務大臣(馬淵澄夫君)

この社会資本整備総合交付金というのは、政権交代後、私、副大臣として予算編成担当を拝命いたしまして、年末に二兆二千億切り出してということで、もう大変厳しい日程の中で創設した交付金なんですね。

私どもとしては、一括交付金というものが民主党の掲げてきた政策であるということを前提に、その先取りということで提示をしてきた。ある意味、ミシン目があるじゃないかという指摘もあったんですが、当然ながら、自治体が補助事業の継続という過程の中ではその九九%が交付金、この総合交付金から充当されることはこれはもう致し方ないと、このように説明を申し上げてきたんですが、ただ一方で、地域主権というこの枠組みの中で進めていくんだという、これも政権の強い意思がありますので、私どもとしても、昨年十一月の地域主権戦略会議設置、そして本年六月の地域主権戦略大綱、これ閣議決定ということでありますので、これに基づいて進めていくということは、これは政府の一員としての我々の負う責任であると思っております。

その上で、この社会資本整備総合交付金、改めて一括交付金化という形での議論が今まさになされているところでありまして、私どもも、これは平成二十三年度以降段階的実施ということで菅総理からも政策、この中では投資的経費に関するものは予算編成過程を通じて内容を決定するようにという指示をいただいておりますので、その中で先生御指摘のような、かつての三位一体改革のようにならないようにということは、これは自らが反省をされてというお言葉だというふうに受け止めますが、私どもとしても、自治体の皆さんの御意見をよくそれを踏まえながら議論をしていきたい、進めてまいりたいと思っております。

そして、重要なことは、片山大臣が総務大臣を担当されておられ、また、この地域主権の担当でいらっしゃいますので、大変地域の事情、自治体の要望ということに精通されておられます。何が本来求められていることであり、何が実は我々が思う以上に、自治体としてはそれは逆に有り難迷惑なんだといった部分もよく御承知をされておりますので、今、現時点におきまして、玄葉大臣、片山大臣、そして私と、当然、関係閣僚、ほか農水、文科、厚労等ございますが、しっかりと議論をしているところでございまして、御懸念のことに当たらないようにと、そのことを十分注意しながら進めていきたいというふうに思っております。

佐藤信秋君

ということで、総額を減らさないということと、政策目的を達成しようとすると、特に継続中の大きなプロジェクト、これ薄くばらまいたら無理ですよね。鉄道の立体化なんてかなり絞ってやっていますし、大きな橋梁なんかもそうですよね。だから、そこは極めてゆっくりとやらなきゃいけないと、こういう問題だと思いますし、あわせて、その議論自体は、地方支分部局の問題もそうですが、この我が国の在り方というようなことをしっかり地道に議論もし、それからちょっとずつ確かめながら、つまり、言ってみれば道州制みたいな議論と並行作業で、国の在り方というのはどうしていけばいいんだろうと、それぞれの地域の歳入歳出はどんなふうに確保するか、そういう議論も含めてやっていかないと、何かつまみ食いだけしたら後でとんでもないことになる、これはこの前も申し上げましたが、という問題だと思いますが、地道にじっくりと、国の在り方の議論も含めて時間掛けてやっていく。で、どういう結論が出るかというのは、そこから先、予断を持たずにそれこそやっていただくというのが大事なんだと思いますが、いかがでしょう、大臣。

国務大臣(馬淵澄夫君)

受皿の問題、道州制というのは、先般も先生からも御指摘ありました、大変重要な議論だと思っております。

ただ、この道州制が必要だという、あるいは進めていくんだといった議論、あるいは基礎自治体による新たな地域連携の仕組みなどという議論を、これやらなければならないということを前提にしてしまう、いや、あるいは熟議が必要だということで進めていこうとすると、一定の年限区切らないと、これはそれこそ十年掛かってしまうかもしれない。そうなると、政権が掲げた地域主権というものが私は遠のいてしまうという、こういった懸念もあると思います。したがいまして、一定程度、我々が政権をゆだねられた期間の中で成果を御提示できるような、しかも一方で、激変緩和的な措置も併せて考えなければならないと思います。

とりわけ、制度設計は私どもも意見を申し上げてまいりますが、国土交通省として一番重要なことは、今先生御指摘のような大規模事業、継続性のあるもの、そして都道府県をまたいでいくような広域的な、まさに国土という観点からの事業というものについて国土交通省自身が、何が必要だったのか、真に必要な社会資本整備は何なのかということについての私は内省が足りなかったのではないかと、このように思っております。

したがいまして、これはもう本当に繰り返しで恐縮ですが、社会資本整備重点計画、我々はこれを必要とするんだということを明確に提示をする必要がある。政権内部でそれをしっかりと提示をして、閣僚のどなたもが必要な社会資本整備だという位置付けの中で、じゃ、これを実現していくために、一部は交付金化して自治体にゆだねていくけれども、一方、そうではない部門については違った仕組みも必要ではないかということをやはり提示していく必要があるのではないかと思います。

残念ながら、現時点において、どうしても、いや、これは必要なんですという説明ぶりしかできない今日の省の在り方が私はあると感じております。ここは、次官以下、かつての運輸建設と私は分けるつもりはありませんが、もう一度我々自身が国民の皆さんに理解いただけるような説明ができるような整備の在り方というものを整理しようと、このように伝えておりますので、そこを十分に踏まえながら、先生御指摘の点もよくよく受け止めながら進めさせていただきたいというふうに思っております。

佐藤信秋君

是非そこは慎重でじっくりした議論をしていただきながら、特に、実は公共団体、本当に何を望んでいるか。これは、自分が今手掛けている仕事、それぞれ大事な仕事だと思っていますから、それから、これからやらなきゃいけないと思っている仕事、そこに十分に意見交換をしながらやらないと、大ざっぱな議論でばばっと走り出てしまうと後でしまったということで反発を食らう、必ずですね。それぞれ大きい小さいという問題は、それぞれ自分の仕事は大事なんだ、大きいんだと、こう思っておられるそれぞれの地方が大変多いということはしっかり頭に入れていただきながら、十分なお互いのやり取りをして、やるにしてもちょっとずつ、それこそ社会実験を確かめながらやっていただくということが一番必要なことじゃないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

それから、先ほど伊達委員からの鉄道・運輸機構の特例勘定の御議論がありました。これは、時間がもったいないのでまとめますと、申し上げる順番は、例えばということでいえば、もちろん整備新幹線もそうですね、建設。JR三島と貨物の経営の安定化、これは実は、その会社の責任だけじゃなくて、御存じのように、有料道路の無料化実験あるいは休日千円、それぞれ影響し合っている面があると思いますが、国の総合交通政策で考えれば、どうしたってそういう影響が出てくる、JR三島、貨物の経営に。そういう施策をやっているわけですから、それに対してどうしようかと、これはそれこそ考えなきゃいけない政策的課題ですよね。一生懸命頑張っていたけれども、二十億、三十億、実は北海道も九州も言ってみれば赤字が出てきましたし、四国もそうですけれどもね、貨物もそうですわね。だから、そこをどういうふうに経営安定化を考えるかというのは、これは本来、総合的な政策の取組、整合性のある取組といえば当然考えなきゃいけない問題。

それから、在来線の問題でいえば、実は以前は、これから三セクに移る分というのはどうされるかは分かりませんが、以前は簿価で買い取っていただくとかいうことをしていましたよね、三セクに。実は、普通は収益還元か何かで、このぐらいは上げられるはずだからというので、逆に売払い価格といいますか、を考えるということもあるわけですね。それをやっぱり簿価でやったということで、その負担にそれぞれ三セク化したところはあえいでいるというのも実態ですから、これから譲り渡そうとすると、三セクでやってくださいとやろうとすると、まさしくもう最初からその問題が出てくる。これはやっぱり余り無理して公共団体に、新幹線欲しいだろう、だから我慢してくださいね、金も出してくださいね、負担してくださいねというのはちょっと過剰な負担を強いているという面がありますよねと。

それから、新幹線建設については延伸を考えたり、あるいは今の建設自体非常に厳しい状況がありますから、工事費の増嵩の問題もあるしですね。そういう意味で、逆にまたそこには高速道路の無料化なんかも影響していくわけですけれども、そういう問題を考えると、やっぱり利益剰余金の丸々全部、一兆四千五百億とは私も申し上げませんが、そういうことに使えるというような方向というのが必要なんじゃないかなと思っていますが、これは池口副大臣ですか、必要性、使えるという必要性。

副大臣(池口修次君)

今、佐藤委員の方からいろいろな観点で使えるようにすべきではないかということでの御質問と受け止めさせていただきますが、まずどのぐらいの利益剰余金があるかというのをちょっと御説明をさせていただきたいと思います。佐藤委員はもう分かっていらっしゃると思いますが。

平成十六年度は実は三千九百九十七億円でございました。これが多いか少ないかということですが、会計検査院の最近の見解でいうと若干多いというぐらいかなというふうには思います。それが平成二十一年度は一兆四千五百三十四億円ということで、これは余りにも剰余金という形でそのまま氷漬けにするのは多過ぎるんじゃないかというのが多分、会計検査院の認識だというふうに思います。なぜこんなに急激に増えたのかというのはいろいろな要因がありますけれども、平成十九年度に梅田の貨物駅を土地を売却したとかいうことなり、既設の新幹線の譲渡債権については利息をもらって入れておりまして、この利息が結構高い利息でいただいておりますので、これがどっと増えたというようなことがあります。

そういうことの中で、じゃどういうふうにしたらいいのかということですが、まず法律的にいいますと、この特定業務勘定というのは、旧国鉄清算事業団の一切の権利を継承したのがこの勘定でございまして、中身的にいえば、大きなのは国鉄職員の年金等の支払なり、アスベスト被害等の業務災害補償の支払なりJR三島・貨物会社への無利子貸付け等がやっておりますが、収入でいいますと、先ほど言いました土地の処分なりJR株式の処分、若しくは新幹線の譲渡代金の受入れというのが収入になっているということでございます。

これについては、今委員から御指摘のありましたように、いろいろな御意見を実はいただいております。ということで我々としてもこれを有効に使うという方向で検討を進めておりますが、要するにこの剰余金というのは実は使途が決まっておるというのが法律でできているので、この使途の変更をするためには法律改正を伴うという認識でございまして、その法案をどうするのかということと、どういう有効な使い方をするのかということについて、今関係省庁と調整をしつつ、その取扱いを検討しているというのが実態でございます。

佐藤信秋君

少なくとも、丸々とは言いませんが、使えるようにするということを是非、これは我々としてもといいますか、自民党としても、先ほど伊達委員が申し上げましたように、準備していた、与党のころ準備していた議論でもあるので、法案準備なんかもやりたいということでありますが、一緒に是非やれたらと思います。

そこで、次に高速道路の無料化の問題についてちょっとお伺いします。

今高速道路機構が持っている債務というのは総額で幾らあるでしょうかね。原則無料化というときにはたしか年間一・三兆円ずつを返すというようなマニフェストになっていたかと思いますが、この二つについて現状を教えていただければと思います。

国務大臣(馬淵澄夫君)

機構が保有する高速道路会社六社分の現在の未償還残高、約三十六兆円でございまして、うち有利子債務は三十兆円ということであります。この六兆円、出資分あるいは無利子の債務ということになります。

今御指摘のように、民主党はこの一・三兆円というのを無料化の所要額と示してまいりましたが、これは民主党の高速道路政策大綱におきまして、保有機構が抱える債務約三十五兆円を全面に無料化したとすれば、それを国が債務承継したとして、建設国債、六十年償還ルールに基づいての元本払いと利払い、これ、それぞれが五千六百億と七千億、合わせて一兆二千六百億、これで約一・三兆円というのを掲げたわけであります。

今後も、繰り返しになりますけれども、進捗状況というものを見ながら、財源につきましては、今無料化社会実験を行っておりますので、メリット、デメリットを勘案しながら進めてまいりたいというふうには考えております。

佐藤信秋君

これはまたそのうち法案の段階での議論になるのかもしれませんけど、一言だけ申し上げれば、原則無料化するということは税金で返すと、こういうことですよね、建設国債とはいいながら、やがていずれにしても税金で返す。そうすると、その税金なるものは、全く高速道路を使わない人、恩恵を受けない人にも負担をいただく、税として負担いただくということになりますよね。

そこは元々ずっとある議論ですが、以前は特定財源、ガソリン税であるいは自動車重量税で負担をしながら更に高速道路で二重に負担するのかと、こういう議論もありました。ありましたが、高速道路そのものを無料にしてくださいという世論は今少ないですよね。反対の方が多いですよね。それは結局、そういう不公平性みたいなものが一つ。離島の人にも負担させるわけですからね、結果的には税金で全部が負担するわけですから、みんなで。だから、一人一万円ですよね、一・三兆だったら、一億三千万人、一人一万円負担する、子供も大人も、どこに住んでいても、使わなくても。

それともう一つは、元々、有料道路でいいから早く造ってくださいと、緊急に特別に造ってくださいといって、後で負担はみんなで、子供と孫で負担していきましょうというような、だからこそ、後になってもまあしようがない、少し待つかと。今、ミッシングリンクの部分の人たちはみんな、しようがないな、ちょっと待つかと、順番だよねと、こう思っていたら、いや、なかなか建設できませんと、こうなったから、それだったら今の税で負担してでもということで新しい直轄制度みたいなのも入れたと、こういう経緯があるわけですが、公平性みたいな議論でいうと、結局、使わない人にまで、あるいは子供と孫にまでずっと長いこと負担させると、こうなるんで、そこの辺の公平性というのはちょっと問題あるんじゃないですかねと私なんかは思いますが、大臣、どうですか。

国務大臣(馬淵澄夫君)

まず、前提条件の整理をさせていただきたいんですが、この一・三兆円、一・二六兆円という、政策大綱でこれを私がまとめました。仮に、瞬時にそれこそ無料化をするとすれば、今申し上げたように何らかの財源措置が必要で、その場合は国債発行、いわゆる税というふうになれば、先ほど来申し上げるように、年間一・二六兆円のその負担が必要になるということを大綱にまとめたわけです。

そして、今日、我々政権交代をして、この取組につきましては順次段階的実施と申し上げてまいりました。その上で、メリット、デメリットを勘案しながら、真に必要な、この高速道路無料化というものが効果が発現し得るという部分におきまして実施をしていくということであります。

私は、高速道路無料化というこの言葉に、実は隠されているといいますか、あるいは本来の目的として余り注目していただけない部分としてあるのは交通需要管理だと考えております。交通流量をコントロールすることによって経済活性化させる。これは、無料化しても影響ないところは無料化をすれば一般道からの転換が図られるということで無料は実施できる。当然、渋滞が発生するようなところ、公共交通機関に大きく影響を与えるところは、デメリットが大きければ、メリ・デメの話でいえば、ここは無料化は段階的実施の中では優先順位は後位になるだろうと。こうした観点から進めていくべきものだと思っております。

その意味では、この財源の在り方は今後十分に検討していかなければなりませんが、これを御負担いただくということについては、既存の高速道路のまさに社会資本の利活用という観点から、経済あるいは地域の活性化というところで受益者として私は全国の方々が平等に共通に持っていただけるものである、そして、負担は税でという、税、あるいはこれは様々な議論はあるかと思いますが、そこを今後検討しながら進めていくということになります。

受益と負担の関係が崩れているのではないかという御議論なんですが、私は、むしろ今日までの道路行政で既にそれは崩壊してしまっているなと常々申し上げてまいりました。高速道路が、御案内のように、四十年代に東名、名神が全国プール制、料金制に変わりまして地方の建設に回るようになったと、既に償還しているにもかかわらず、もうそのお金は回っているんですね。これはまさに受益と負担の関係崩れているんですよ。あるいは、今日まで合併施行方式で行ってきたような施行についても同様です。

私は、道路というもの、あるいは河川もそうでしょうけれども、社会資本という、インフラというものは何か特定の受益者がいるものではなくて、全国共通、国民の財産としての公共財であるがゆえに全国民が受益者であり、そして負担者であるという位置付けでなければ私はこの社会資本整備などというものは到底成り立たないなと、このように思っております。

最近は、一部に、国がなかなか財政的に厳しい状況の中で、PPP、PFIといった民間資本を導入して極めて限定的な場所においてはそれが可能だという、こういったスキームも生まれてきましたが、本来はこの受益と負担の関係というもの、これを当てはめていくためには社会資本整備という枠組みをもう一度しっかりと考える必要があるんではないかと思います。

とりわけ、この高速道路のようなものはまさにネットワークですから、どこか一部のところだけ使っているということではなく、つながっていることに意味があります。そのためにミッシングリンクも結合させていく、利活用のために無料化も考えていくという中で受益と負担の関係というものを、私は、今申し上げた形ですべての方々が受益者であり負担者であるといった概念を本来道路行政には持つべきではないかと思います。

余り長くなりますのでこの辺で止めますが、最後に。

元々道路は無料のものであった、それがいわゆる田中角栄さんが作られた角栄法の中で非常時の立法として有料道路というものが造られてまいりました。その経緯を考えれば、道路は無料であるという原則に立ち返って、私たちは再度、今日既に概成されてしまった有料道路の体系をどのようにしていくかということを皆さんとともに御議論をさせていただいて進めてまいりたいというふうに考えております。

委員長(小泉昭男君)

ちょっとお待ちください。

三井副大臣、御答弁ないようでございますので、御退席、結構でございます。

佐藤信秋君

どうぞ、三井副大臣、済みません。

実は、原則無料というのは無料じゃないんですね、原則税でやる、こういうことなんです。無料原則みたいなことを一時そう言っていたものですから、私はそれは言い直しさせてもらっていて、原則税で薄く広く御負担いただくか、その税の中でも使う方、つまり自動車関係諸税でお願いするか、それとも薄く広く、それこそ建設国債といったら返すのはみんなですね、一人一万円ずつ一兆三千億返すわけですからという、どれがいいかということで、決して無料ではないですね。

世界中で実は有料にしてきているんですね、有料に。ドイツは大型車は今有料にしていたと思いますが、アウトバーンですね。小型といいますか、で、もう有料にしたいんですけど、なかなかできないんですね、これ。イギリスも、PFIというのはイギリスから言葉としては出てきたんですが、あれは日本の有料道路なりなんなりをまねしようとしたんですが、いきなり有料道路にするわけにはいかないと。元々イギリスに有料道路はあったんですが、だけど大部分高速を無料で、税で造った。それじゃとても管理もできないし、建設の方も進まないから何か工夫ないかというんでPFIというような発想も出てきたというふうに私は勝手に思っていますが、それはまたそれで高速の議論のときにさせていただくことにして。

少なくともガソリン税は暫定税率下げましょうとマニフェストでおっしゃって、去年それはやめることにした。これはこの前も聞いたんですが、せめて、高速道路、社会実験で一千億、来年は一千五百億要求されている。そうだとすると、使えないといいますか、直接は使えない離島の人たちのせめてガソリン税ぐらいはお下げになっていただいたらどうでしょうとか、あるいはフェリー航路ですよね、フェリー航路なんかにも、一千億、一千五百億高速道路の無料の社会実験でなさるんなら、もちろんその中からと、こうは申し上げません、外に取ってもいいんですが、整合性を取りながらやっていくという意味では、離島のガソリン税下げたり、あるいは航路の、フェリー航路、あるいは空路でもいいんですけどね、助成されたりというようなことがバランス取っていく上で必要じゃないんでしょうかね、さっきのJR三島、貨物の、鉄道の方もそうですけど。その辺はどうでしょうか。

国務大臣(馬淵澄夫君)

離島並びに地域、過疎地の公共交通の確保というもの、これは重要な私は政策だと思っておりまして、この二十三年度概算要求には、これは生活交通サバイバル戦略と申して、地域公共交通確保維持改善事業として四百五十三億円の要求を行っております。  この高速道路無料化の社会実験、これも私は繰り返しになりますが、今後皆様方の御意見を承りながら段階的実施のために進めていかねばならない施策だと思いますが、御指摘のようなこうした地域の公共交通の確保というものについては当然行うべきだと思います。

ガソリン税を下げるべきではないかという御意見に関しては、確かに本土と平均しますとこれ価格差二十円前後ございますが、一方で、税の公平性あるいは執行の方法等、様々な課題があると思います。これは政府全体、税調での議論が必要だと思いますし、離島に関しても、確かに大変乖離している島もあるんですが、逆に離島の方が安かったりするところも現実にございます。

こうしたことを勘案しますと、私どもとしても何らかの施策が必要であるということは十分理解をしながらも、単純にこのガソリン税だけの話ではないと、離島にお住まいの皆さん方の生活に資する方法は何かということを考えなければならないと思っております。

そして、済みません、一点だけ、先ほど先生が御指摘になられました世界中で高速道路有料化が進んでいるんではないかという御指摘がありましたが、私はこう思っているんですね。もちろん、無料で進められた国々がロードプライシングと、これまさにあのTDMです、交通需要管理の観点からロードプライシングを導入されていくという方向があります。一方で、我が国のように、有料であった道路、これがいわゆる料金を課すことによって抵抗値となって一般道化の転換が進まないものについてはこれは無料化していくことが私は理にかなっていると思う。その意味では、一〇〇%有料とそして無料という道路の中、道路行政あるいは道路交通を考えたときに、一定程度私は収れんする方向があるんだと思います。無料だったところが有料化していく都市部におけるロードプライシング、こういったことと、私どものような今日ある有料道路の体制の中で使われていない道路を利活用していくところから無料化をしていくということ、これは私は同じ方向を向くものであるのではないかというふうに思っております。

佐藤信秋君

それはまた別途の機会に十分議論させていただくことにして、最後の質問です。

資料の九、御覧いただくと、雨の降り方が極端になってきているんですね。百年前に比べますと全国の平均の雨は百ミリ減っています、一年に一ミリずつ減っているんですね。だけど、ばらつきが大きくなってきていまして、昔はプラスマイナス二百ミリぐらいだったのがプラスマイナス四百ミリぐらい。

したがって、どういうことが言えるかといいますと、これは日本全国の平均ですけど、降る年、降らない年、あるいは降る地域、降らない地域。だとすると、実は、ダムに頼らない治水というのは実はどんどんどんどん無理があって、両方、治水も利水も一緒にやっていかないと、こんなにばらつきがでかい状態ではやれるわけないんですね。だから、ダムに頼らない治水というのは無理があると、ずっと私なんかはそう言い続けています。八ツ場もしかりですと。あれも治水も利水も両方考えた上でのダムですから、これを片一方だけ否定するとか一生懸命否定なさる方に私は無理があるんじゃないかと思います。

それから、もう時間なくなりました、スーパー堤防、高規格堤防ですね。あれも、実は江戸川なんかは低地帯が多くて、高台が必要なんですね。だから、避難地として、堤防強化兼避難地、避難公園として造っていくという部分がどうしたって必要なんですね。それには時間は掛かってもそうやってエリアごとにそんなことを造って役に立てていくと、こういう問題があるんだと思います。

この治水、利水と、この両面を考えなきゃいけないという点について是非是非御理解をいただいて、ダムに頼らない治水というのは無理がありますということを、そうだと言ってくださいとは申し上げませんが、こういう自然現象も御理解いただいた上で、是非八ツ場なんかもう早速建設の決議に賛成していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

委員長(小泉昭男君)

馬淵国土交通大臣、簡潔にお願いいたします。

国務大臣(馬淵澄夫君)

はい。

できるだけダムに頼らない、これは治水だけではなく利水の機能、利水ということも十分に承知しながら進めております。

私どもとしても、今御指摘のように、今後も洪水調節、新規利水、流水、正常機能の維持などをしっかりと踏まえながら再検証というものを進めてまいりたいと思っておりますので、今後もまた御指導のほどよろしくお願いいたします。

以上でございます。

佐藤信秋君

終わります。