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177回国会 予算委員会 第7号
2011年3月22日(火)
 

本日の会議に付した案件
◇平成二十三年度一般会計予算
  (内閣提出、衆議院送付)
◇平成二十三年度特別会計予算
  (内閣提出、衆議院送付)
◇平成二十三年度政府関係機関予算
  (内閣提出、衆議院送付)
◇委嘱審査に関する件

委員長(前田武志君)

関連質疑を許します。佐藤信秋君。

佐藤信秋君

佐藤信秋

今回の巨大な地震、東北の太平洋岸、そして新潟、長野も次の日にありました。さらに静岡。この三つの地震含めて東日本の巨大地震というような言い方も私どもはしていますが、この被害に遭われた皆様に心からのお見舞いを最初に申し上げたいと思います。

そして、万全を期すといいますか、復旧復興に万全を期すという意味で財務大臣の御責任が大変大きいなと思うものですから、最初に、同僚議員が今までも申し上げましたが、万全の財政的な手当て、援助、これが、これだけの規模になりますと、今まで、いまだかつてない規模でありますから、メッセージ、明確なメッセージが必要だと思うんですね。

阪神・淡路大震災のときに財政の特例法作りましたが、このときには実は災害復旧、災害の救助については、特別な予算の増額手当てといいますか割増し手当てみたいな形ではなかったですね。これは、今回は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、これは国が基本的には全部財政的には見るよと、こういう内容になっています。そういうような程度までの財政支援をしっかりやるんだということを、総理始め、財務大臣がお話しになれば総理もうんとおっしゃるでしょうから、是非財務大臣の御決意をお願いしたいと思います。

国務大臣(野田佳彦君)

国務大臣(野田佳彦議員)

佐藤委員の御指摘のとおり、今般の地震は阪神・淡路大震災をはるかに超える規模であり、そして広範囲にわたって被害が出ております。先ほど来申し上げましたけれども、特徴的なことは自治体機能が著しく低下をしているということでございまして、従来の法律の枠組みで対応し切れない部分が相当に出てきています。ということを踏まえまして、地震発生の直後に激甚災害の指定をさせていただきました。

ということを踏まえて、阪神・淡路大震災のときは、激甚法の外の部分、対象外の部分についても特別立法によって国の負担を引き上げるということもありました。ということで、今回も、今各省庁がいわゆる被害の状況の現況把握に努めておりますけれども、併せてその対策がこれからどんどん出てくるかと思います。現行の制度に踏まえて、あるいは過去の震災の経験も踏まえまして、しっかりと各省庁と検討しながら対応をしていきたいというふうに思いますし、先ほど申し上げたとおり、財政が制約になって対策に支障が来すということのないように万全を期していきたいというふうに思います。

佐藤信秋君

そこで、激甚災害を指定していただいた。実は、現地でいうと、津波で流されたりもしていますし、瓦れきの山もあります。それから、長野や新潟のように雪がまだ三メーター積もっているんですね。そういう状況からいきますと、まず何よりも、きちっとした手順でいついつまでに申請出してというようなことはやっていられないんですね、これ。復旧を先にやらなきゃいけない。これは、私も昔現職にいたころやった覚えがありますが、記録はちゃんと取りますよ、実行しておいて、ビデオを撮ったり写真撮ったり、こういう状況だったのをこう直しましたというのを確認しながら現地が先行してやる、後で追認すると、災害復旧にしろ災害救助にしろ。こういう弾力的な手続が必要だと思うんですね。これは現地と十分連絡取りながら、どうぞどうぞと言って実行行為をやってもらえば済む話で、別に不正する人もいないわけですから、記録がしっかりしていればいいと、こういう問題だと思います。割り切りの問題なんですね。

是非ここのところを、手続論を簡略にして復旧、救助を早める、これをやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(小滝晃君)

この災害復旧事業の手続等につきましては、国土交通省など事業を所管する省庁におきまして、査定の迅速化や応急工事、あるいは査定前着工などによりまして、これまでも早期着工、早期復旧に努めているというふうに承知しているところでございます。

今御指摘がございました手続の簡素化も含めまして、関係省庁が密接に連携して被災地の早期復旧復興に努めてまいりたいと考えております。

佐藤信秋君

私が言っているのは、手続の簡略化というよりは、こういう記録だけ取っておけばいいですよ、どんどんやってくださいと、こういう指示を出す、これが大事だと。実際出しているはずなんです、何度か。雪があったら査定なんかできるわけないんだし、それから農地災害なんかもそうなんですね。三メーター積もっていますから分かりようがないんですね。雪どけるわけにもいきません。だから、それは後でしっかりとやると。

あるいは住宅の状態なんかもそうですね。どのぐらい、全壊か半壊か何壊かといったって、津波で流されたり、あるいは雪の中に埋もれたりしているところはすぐできるわけないですから、それは二十日間とか一か月とか言わずに、ちゃんと査定、評価ができるようになってからちゃんとやるということで、これは通知でも出していただかないと、多分県が担当している部分というのはすぐにいつまでに持ってきなさいと、こう市町村に言ったりしていますから、これは内閣府の方でちゃんと手続を弾力的にやるように言ってくださいね、各省に。これは答えは要りません。やればいいです。

問題は、災害復旧なんかもそうですが、公共土木施設は基本的に十分の八というような縛りがありますが、縛りといいますか、今回の場合はこれはもう十分の十にしましょうと、基本がですね、そういうことを是非お願いしたい。そっちの方の答えをしてください。

政府参考人(小滝晃君)

この度の災害は、まさに未曽有の災害でございます。激甚災害に指定された場合には地方自治体の実質的負担はかなり圧縮をされるということはあるわけでございますけれども、御指摘のように、この度の被害は極めて甚大なものがあるということを踏まえまして、国の取り得る政策手段を最大限に活用しながら対応していくことになるものと認識をしているところでございます。

佐藤信秋君

財務大臣も主計局長もおられますから、ひとつ実質負担と言わずに十分の十にしますということを決断してください。これはお願いです、十分の十。

というのは、交付税なんかで、起債許可して後で交付税で見るよと。この分は結局、今度ほかの地方が、交付税総額変わりませんから、ほかの地方が、いや、うちに交付税がどんどん来なくなるわと、こういう心配もするわけですね。したがって、できるだけ十分の十と、こういうことでお願いしたいと思います。

それから、災害救助法もそうなんですね。災害救助法も規定上は普通地方税の百分の二までは国は二分の一負担、こういうことですよね。それで、百分の四までは十分の八、それ以上になったら十分の九。実はこれは、今回のような大災害の場合は、知事さんたちにとってはもう目のくらむような話なんですね。幾らになるか分からない。大体、普通交付税が二千億前後ですよね、今回被災に遭った県は。あっ、普通地方税がですね、千四、五百億から二千四、五百億でしょう。その全額を使っても足りないなとつくづく思っているんですね。二兆円の一割負担だったら二千億ですから、だからとてもできないと、こう思っています。

だからこそ今回は、阪神大震災のときには手を付けませんでしたが、災害救助法、これの負担割合を、百分の二までは二分の一と、これはもう特別交付税二十億出していただいたというんですからそれでいいかもしれません。それ以上のものは全て国負担、こういうことにしていただきたいと思いますが、これは、済みません、通告していませんでしたが、大臣、どうですか。

国務大臣(野田佳彦君)

交付税については、これは三月、既に概算で被災地域については二十億交付することを決めましたし、四月四日に概算交付する分は前倒しで四月一日に交付すると、六月分も前倒しでできるようにする等々、自治体が困らないような工夫は総務省とも連携をしながらやっていきたいというふうに思います。

加えて、それからの、その先の知恵でありますけれども、激甚で指定でしている分で最大限十分の九と、で、地方財政措置を一緒に併せて考えると自治体の負担はかなり極小化されて今、現時点あります。

十分の十という御指摘だというふうに思いますが、これは被災状況をよく鑑みながら政府内でよく検討させていただきたいというふうに思います。

佐藤信秋君

ということなんですね。災害救助法は、知事の責任において住民を救助する。救助の項目はたくさんありますよね。避難所への退避とか仮設住宅の手配とか仮住まいとか、県と市町村が自主的にとにかく走りまくらなきゃしようがないですね、これ、特に知事。で、ここのところは、後で掛かったものは追認するよと、さっきの災害復旧と一緒ですけどね、追認しますよというメッセージを出さないと動けない、こういう問題があります。厚生労働省。

副大臣(大塚耕平君)

副大臣(大塚耕平議員)

災害救助法の担当ですので、お答えをさせていただきます。

先ほどから大変建設的な御提案をいろいろいただいていると思います。もう国土交通事務次官であられたので私よりお詳しいことと思いますが、災害救助法は現行法の下では十分の五から十分の九しか国側は対応できませんし、その法の中身は、全ては読み上げませんが、避難所、応急仮設住宅の設置とか食料、飲料水、被服、医療等々、限定列挙されておりまして、そういう中で十分の五から十分の九という法体系になっておりますので、もしこれを十分の十ということであれば、これは政府側が閣法としてそういう法律を出すか、あるいは超党派で議員立法をしていただいて今回そういう措置を設けていただくかという内容の御提案とともに、先ほど冒頭に御発言のあった部分の被災復旧、この部分は私どもの所管ではありませんが、この災害救助法のまた枠外の話として対処すべき問題だと思っております。

いずれにしても、都道府県がこの災害救助法のまず一義的な責任を負っておりますが、実施主体は市町村であり、都道府県、市町村に過大な御負担を掛けないように政府全体として対処すべきものと考えております。

佐藤信秋君

済みません、せっかく副大臣お見えでありますのでお願い事といいますか、災害救助法の三十条で、県が市町村に権限移譲というか権限事務移譲することになっていますよね、通知をする。それから、三十一条で厚生労働大臣が各県の知事に、被災のない知事に、援助してやってください、こういう要請出すことができるようになっていますよね。これ、出していましたかね、今。

副大臣(大塚耕平君)

まず、被災の中心の宮城、岩手、福島、これは全市町村が災害救助法の対象になっておりますので、今委員御指摘の三十一条を適用するまでもなく、市町村はしっかりやらせていただいております。

したがって、その他の県についても、実は、全市町村というわけではありませんが、例えば茨城が二十八市七町二村に適用されている等々、周辺にも広がっておりますが、もしこの対象になっていない先が何らかの対応をしてくれた場合、特に今回は避難された方々を受け入れている自治体がありますので、そうすると、先生が先ほどから御指摘いただいている御提案のもう一つの論点は、避難民を受け入れてくださっている災害救助法適用外、そして三十一条の要請の出ていない市町村に対してどういう配慮をしていくか、こういう問題だと思いますので、このこともしっかり考えさせていただきたいと思います。

佐藤信秋君

というので、どうしても国と県と市町村の役割分担がはっきりしない部分があるんですね。これは送り出した県が、県の知事が費用は支弁しますと、これでいいんですよ。いいんだけれど、今度受け取った方は県なのか市町村なのか、どっちが取りあえずの費用弁済するかとかいろんな問題があるものですから、こういう大災害のときはそういうことが考えずに済むように国が全部面倒見てくださいと、こういうことを言っているわけです。お分かりいただけますよね。今回の場合はそれが一番混乱のもとになっています。

私もこの前、南相馬と相馬、それから福島県庁に行ってきました。みんなそこを言っています、お互い役割分担大変だなと。費用は県が持つんです、本当は。それを国が補完するんです、補填するんですね。だけれど、ほかの県に頼んだときにどうなるのかとか、はっきりしていない、分かっていない。ここのところはしっかりと分かりやすく通知してやっていただいた方がいいと思います。

副大臣(大塚耕平君)

その通知はもう既に出させていただいておりまして、正確に申し上げますと、都道府県等による臨機応変な応急救助が行われるよう、広範にわたる避難が行われた場合でも国庫負担の対象とする等、災害救助法の運用の弾力化等を図り、被災地でない都道府県を含めた全都道府県に積極的に被災者の救助に当たるよう要請をするという通知を出したところでありますので、厚生労働省としてはそのような認識にありますので、最終的な財政負担の問題を別途考えなければなりませんが、先生の御趣旨に沿うような形で進めさせていただいております。

佐藤信秋君

ということで、臨時立法が必要であれば、必要だと思いますので、大臣、是非よろしくお願い申し上げたいと思いますが。

どっちみち補正予算必要ですね、これ。阪神・淡路のときには三兆三千億、三回の補正を組んで三兆三千億。恐らく規模からいくと十五兆とか二十兆とかいうオーダーが必要なんじゃないかなと、私はそう思いますが、いずれにしても大急ぎで補正予算を組むということを、大臣、決意をお願い申し上げたいと思います。

国務大臣(野田佳彦君)

当面、年度内については予備費で対応させていただきまして、当初二千三十八億ありましたけれども、三次にわたって予備費活用して、今残りが千六百七十八億です。年度内はこれで大丈夫だと思うんですね。加えて、二十三年度予算通していただいた場合には、予備費三千五百億と経済予備費八千百億、一兆一千六百億で基本的には当初は対応できると思います。

ただ、阪神・淡路大震災よりも広範で、そして大規模な震災でございますので、それを超えるような、今具体的に額を委員おっしゃいましたけれども、まだ額まで申し上げられるような段階ではございませんが、早急に補正予算を作りまして、これは与野党でしっかりと合意できる内容でなくてはならないと思いますが、そういうものを早急に提出をし、速やかな御成立をお願いをしたいというふうに思います。

佐藤信秋君

時間が迫ってきましたので、まとめて申し上げます。

高速道路の料金、これは今のまま凍結するか何かして輸送の円滑化を第一に考える、財源は大事に使っていくと、こういうことが必要だと思いますし、建設中の工事というのがたくさんあるんですね。これがぶっ壊れています。ですから、建設業の人たちには応急復旧に取り組もうと、現地ではそういう状況になっていないんですね。一時中止させて、そして資金繰りもちゃんと手当てしてということでないと復旧が進みません。

それから、燃料とか、燃料はようやく少しずつ良くなってきましたが、建設資材の買占めみたいな問題が出てきているんですね。この辺をきっちり監視しながらおかしなことにならないようにということを、池口副大臣、是非御答弁をお願いします。

副大臣(池口修次君)

副大臣(池口修次議員)

佐藤議員にお答えをしたいというふうに思います。

まず高速道路の料金の件ですが、委員は御存じのように、今の高速道路の料金割引は三月末まで決めているもので、四月からどうするのかということは決めないと、大幅に割引なくなるとある意味大混乱をするということで、震災前の段階で国土交通省の案をお示しをして、一応パブリックコメントまで手続は終わっております。

しかしながら、この災害が、大災害が起きました。私は、ある意味、この大災害が起きたことでいろいろな面で物事の優先順位は変わってくるということは委員がおっしゃるとおりであるというふうに思っております。

まず第一に我々が考えなきゃいけないのは被災者の方、さらには移動手段を奪われた方が被災者じゃなくても相当地域であります。ですから、被災者及び移動手段を奪われた被災地域の方々の心情をもうどう考えるのかということを最優先に考えながら、これからの、四月からの割引等は検討をしていきたいと、できるだけ早く結論は出したいというふうに考えております。

それともう一つ、公共工事の件でございます。

今回、テレビでも相当言われて、多分皆さんが今回理解をしたんだと思いますが、災害が起きたときにやはり建設業者、建設企業の力というのが最大限発揮してもらうというのがある意味大変重要なものであるというのは、多分国民の皆さんの多くが今回改めて理解をしたんだろうというふうに思っております。

そういう意味で、現在の公共事業の工事はやはり一旦停止すべきということですけれども、我々ももうそう考えておりまして、被災地の直轄事業、国がやる工事につきましては原則として一時中止をするということを既に通達をしていますし、自治体の工事もありますので、自治体の発注者の方に対しても一時中止を指示するように要請をしております。

それともう一つは、じゃ、工事をやっていませんから資金が場合によってはなくなって大変な思いをするということも当然考えなけりゃいけませんので、一応、資金につきましては、暫定的な契約書により前払金を払うということで対応したいということで、これは東北整備局だけではなくて全整備局に対して、今回の震災対応で工事を止めて、ある意味、資金が枯渇するというような事業者に対しては前払金で対応をするようにという指示を既に出しておりますし、これについても自治体の皆さんにもお願いをしております。

どちらにしても、こういう時期に建設企業の皆さんが相当頑張っていただいているということですから、建設企業の皆さんが全力でこの災害に取り組めるような、ある意味、バックアップなり応援は我々国土交通省の最大の使命の一つだというふうに理解をしております。

以上でございます。

委員長(前田武志君)

資材の懸念についての御指摘はどうですか。

副大臣(池口修次君)

資材の買占めについては、ちょっと現時点で具体的な中身は確認をしておりませんが、是非後で、具体的な中身をお願いをしまして、当然資材の買占めはあってはならないということですから、どういう形で行われているかという調査を含めて、後でお答えをさせていただきたいというふうに思います。

佐藤信秋君

時間が参りましたので、与党も野党もなしにとにかくこの危機をしっかり乗り切るんだと、国民と一体となってということをお願いを申し上げまして、質問を終わります。

ありがとうございました。