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2011/10/6(木)
178回国会 東日本大震災復興特別委員会
平成23年10月7日 建設通信新聞


安住財務相が表明
公共事業費5%留保を解除
地方経済低迷に配慮




安住淳財務相は6日、今年度公共事業関係費の5%分執行留保を、早ければ7日にも解除する考えを表明した。同日開かれた参議院東日本大震災復興特別委員会で、自民党の佐藤信秋議員の質問に答えた。政府の5%執行留保方針を受け、これまで地方自治体の多くが公共事業の発注を手控え、そのことが地域経済の低迷にもつながっているとして、全国各地の地方経済界や地方建設業界が、早期の公共事業関係費の5%執行留保解除を求めていた。

安住財務相は、佐藤議員の5%留保解除を求める発言に対し、「わたしとしては」と前置きした上で「喫緊、今週内にも留保を解除するよう努力したい」と答えた。

これまで公共事業関係費の5%執行留保の影響について、政府は「被災地以外で一時的に影響を与える可能性はある」との見解を示していたが、安住財務相が解除の考えを明確にしたのは、今回が初めて。

今年度の公共事業費は、土木分野の公共事業関係費が4兆9743億円、建築分野の「その他施設費」が1兆0136億円の計5兆9879億円。留保額は約3000億円。直轄事業は執行段階で5%留保し、補助事業も5%分の地方自治体への配分を留保していた。また政府は復興財源捻出のため、地域自主戦略交付金(一括交付金)の配分も減らしていた。

公共事業関係費の5%執行留保については、西日本地方を中心に第1四半期の公共事業発注量が減少、「もし5%留保が来年以降にずれ込めば、年末までに経営悪化する企業が急増する」(複数の地方業界関係者)と危機感が高まっていた。公共工事の場合、発注から受注し前払金・中間支払い・完了後支払いという、資金繰りの枠組みが地方建設業の経営を維持する一つになっており、発注手控え継続が資金繰り悪化につながるのが理由だ。

一方、佐藤議員は東日本大震災への対応に関連して、政府の二重ローン対策について、「政府策ではリースも対象にならず対象規模も小さい。本当に傘が必要な人間に傘を差しのべていない」と、自公が提出し、参院を通過している二重ローン対策法案の早期成立を求めた。


◆前田国交相、集団移転の上限撤廃

また、具体的な復興事業の一つとなる、被災者の高台などへの集団移転について、「現状の防災集団移転促進事業には(一戸当たりの)上限がある。財政力の弱い自治体は高台移転をしたくても自治体負担ができない」と指摘。これに対し、前田武志国交相は「上限撤廃を考えている」と明言した。