第197回国会 参議院 予算委員会 議事録
2018年11月5日(月)
 

佐藤信秋君

ありがとうございます。

というふうに、強靱化をしっかり進めようとしますと、その主たる部分として、ハードの整備、インフラ整備、これがなかなか、長い間、事業費が減ってきたものですから、一時に比べると半分ぐらいになりました。ここに食い込んで強靱化をやるということになりますと、ますます予算が足らなくなるということではありますので、できるだけここに上積みをしてやっていただくということが大事なことかと思いますが、財務大臣、いかがでしょう。

佐藤信秋

国務大臣(麻生太郎君)

かつては十二兆ですものね、たしか小渕内閣のときは最高でしたかね、あのときは十二兆。あれからずっと一貫して減って、私のときだけ一回増えて、その後、翌年からまたどんと減りましたから、御存じのとおりで六兆まで減ったんだと思いますけれども。

いずれにいたしましても、今言われますように、先ほどからお話があっておりましたように、きっとモンスーン地帯から亜熱帯ぐらいのところに気候風土は、日本の風土は変わったんだと思いますね、多分。後世、誰かがそう言うんだと思いますけれども。とにかく、北海道で梅雨が始まったり、いろいろ物すごく変わってきていますよ。

私どものところの台風も、とにかく一定してばあんと集中のものが九州で起きているのが昨今のあれだと思いますので、いわゆる防災とか減災とかいわゆる国土強靱化と、いろいろ私どもは、自由民主党の方でもやっておられるのはよく承知しておりますけれども、これ、社会的に見ても、国として見ましても、これは喫緊の課題であることはもうはっきりしておりますので、減ってきた分の、六兆円の分を少しずつ少しずつ、補正組んで少しずつ持たさせていただいております分で、フローの分を、フローの分って、メンテナンス等々のフローの部分、ほかにやっていかないかぬというところですけれども、今言われたものはまた別な話なんで、そういった意味では、これを総理からも言われておりますので、三年間の集中目標でやるということでございますので、そういった意味では、我々としては、少なくとも二〇一九年及び二〇二〇年度の予算において、消費税に係りますいわゆる臨時とか反動減とか、そういったものの対策を含めていろいろな特別措置をやらせていただこうということになろうと思いますので、そういった枠組みを利用いたしまして適切に対応していきたいと思っておりますので、年末にかけていろいろ検討させていただきます。

佐藤信秋君

是非、消費税対策ももちろん大事ですし、反動減対策も、それに続いてずっと恒常的にしっかりと長期計画を、戻しながら、この事業費も戻しながら実行していく、これが大事なことだと思います。強靱化計画の実効性という面から是非お願いを申し上げておきます。

日本のインフラストックってまだまだ遅れているというのが実はこれが大変な問題でして、もちろん整備新幹線もそうですけれども、いろんな比較を、国際比較も載っけてみました。

実は二十五年ぐらい前にオランダぐらいは目標にして、九州は、大体その頃は人口も面積も同じぐらいでしたから、経済力も。同じぐらいのインフラネット、例えば高速道路のネットワークならそういうことだなと。目標にしていたらはるかに相手の方が先行っていまして、二十五年ぐらいでうんと差が付きました。治水もそうです。そんな資料を載せさせていただいていますが、これはインフラの場合にはそのストックとしての効果というような部分、重要なものがありますし、それをベースにやらせていただいていると。

だから、私、いつも申し上げているんですけど、日本ぐらいインフラをこれだけ切り刻んできた国はないなと。ほかの国は大体二、三倍になっていますから、この二十年ぐらいでですね。日本だけ半分になっちゃった。これは差が開く。整備新幹線もなかなかできないわね。

というようなことが大事な問題ですが、一方で、大切なことは今度フローの方で、実はフローの面でも、事業の効果というフローの面でも大事なところがありまして、公共投資が一単位減れば、減ればですよ、民間投資も一・二単位か一・三単位減るんです。これ連動しているんです。ここの関係が結局デフレを招いた一つの要因かなと私自身は考えています。数字的には、お手元にもお示ししておきましたが、結局は公共投資を削れば民間投資も減って、総額が減って、実はGDPの半分ぐらい、減少の半分ぐらいは建設投資なんですよ。それで、増えるときも、増える半分ぐらいは建設投資。実はその結果が、資料の方で十二ということでお示しさせていただいております。

一定の増額を、加えていくんだと、こういうことを必要とすると思うんですが、ここは、財務大臣、いかがでしょう。

佐藤信秋

国務大臣(麻生太郎君)

今お話がありましたように、国土強靱化基本計画につきましては、これは、近年の災害の集中化、激甚化等々に伴いまして、これは新しい知見やら何やらが生まれつつあるんだと思っておりますけれども、そういったのを踏まえて五年目の見直しというのを今行わさせていただいておりますので、年内めどに改正案の取りまとめというのをやらせていただこうと思っておりますが、基本計画の見直しにとりまして必要となってまいります財政面という面が一番問題なところだと思いますけれども、これは、見直し後の基本計画というのの内容などをよく踏まえまして検討させていただければと思っております。

麻生太郎議員

佐藤信秋君

先ほども議論がありました災害への対応とか、あるいは危機管理への対応、これで、建設産業、輸送業、そして住宅、不動産業、災害が起きればすぐに出動せないかぬと、そういう業種なんですね。特に、建設産業の場合には一番最初に障害物除去せないかぬものですから、そこに人がいなきゃいけない。

私は、新しい3Kの産業、魅力のある産業ということで、職場ということで、これ国土交通省が四年ぐらい前から言っていただいているんですが、魅力のある職場にしていきましょうと。

石井大臣、いかがでしょう、方針として。

国務大臣(石井啓一君)

建設業、住宅産業、自動車運送業、共に我が国の社会経済の根幹を支え、災害時には国民の安全、安心を守っていただいているということで、不可欠な産業と認識をしております。

例えば、建設業は、発災直後から道路啓開や堤防修理などの応急復旧に当たるとともに、瓦れき処理や基幹インフラの復旧復興などにも貢献をしていただいております。また、住宅産業では、応急仮設住宅の迅速な建設や、被災者の自宅の再建などに貢献をしていただいております。このほか、自動車運送事業においては、避難所への緊急支援物資の輸送などに貢献をしていただいているところでございます。

国土交通省といたしましては、少子高齢化という社会構造の大きな変化の中におきましても、これらの産業が将来ともその役割を担い続けることができますよう、適切な賃金水準の確保、週休二日制、生産性向上など、働き方改革にしっかり取り組みまして、従来の3Kではなく新しい3K、すなわち、給与がいい、休暇が取れる、希望が持てると、こういった新3Kの魅力ある産業へと変えていきたいと、このように思っております。

石井啓一議員

佐藤信秋君

最後の質問になりますが、今国会で新たな在留資格を設けるための入管法の改正が論議されている。心配していますのは、建設業を含めて単純労働への拡大であるとか処遇改善への悪影響、こうしたことが報道ベースでは懸念されたりしております。

法務大臣、こういうことをしっかりと、ないということを御答弁願います。

国務大臣(山下貴司君)

お答え申し上げます。

佐藤委員には、日頃から、インフラ始め整備の大切さ、いろいろ教えていただいており、感謝しております。

また、私も被災地岡山で選出されておりまして、私の地元の岡山の砂川という川も決壊して、その直すのに、もう本当に、この建設業あるいは土木産業の方々が、本当に人手不足の中、一生懸命やって何とか復旧しているという姿、本当に涙が出る思いで見ております。改めて、全国のそのインフラ整備に関わった皆様に、災害の復旧復興をされた皆様に感謝申し上げたいと思っております。

そして、非常に厳しい労働環境にあること、これはやっぱり人手不足が大きな一つの要因なんだろうというふうに思っております。

そして、今回の新たな受入れ制度というのは、こういった中小・小規模事業者を始めとした、インフラ整備の建設業もそうでございます、人手不足が深刻化しており、我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出ているため、生産性向上や国内人材確保のための取組、国内人材確保のための取組は行うわけでございます。なお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野、建設業もこれに含まれるかもしれません、そういったところにおいて、一定の専門性、技能を有し、即戦力として、言わば既存の国内の方々の仲間としてやっていただける、そうした人材を受け入れたいということでございまして、この受入れにより、国内インフラを支える人材の確保、これにも資するものであろうと思っておりますし、人手不足がある程度解消されれば、休みが取れる、休暇が取れるというふうなところにも資するものではないかと思っております。

ただ、一つ、これについて処遇改善への悪影響を懸念する声があるわけでございます。これにつきましては、受け入れるに当たっては、先ほど申し上げましたように、国内人材の確保や生産性の向上の取組を行ってもなお受入れが必要と認められるということについて、法務省も業所管庁からしっかりと客観的な資料をいただいて、今後の国内人材確保の見通しなどもしっかりと見させていただくということで受入れを決める。

そしてまた、この度閣議決定された入管法改正法案においては、将来受入れ分野において必要とされる人材が確保されたと認める場合には、一時的に停止する措置を可能としているということでございます。その確保されたと認める判断においては、国内人材の確保や生産性向上も当然考慮に入れるわけで、国内人材確保の見通しも当然見ると。ですから、そういった労働環境に影響しないような見通しをしっかり立てた上で、もうこれは外国人材確保されたということであれば一時停止をするということで、国内労働市場に対する影響を極力しないような形を取ることになっております。

そうしたことで、建設業あるいはインフラ整備を始めとする業界の皆様の人手不足に対応し、また御懸念については今後法案審議の場でしっかりと丁寧に御説明させていただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

佐藤信秋君

石井国土交通大臣から大変有り難いお話をいただきました。山下法務大臣もそっちの方でひとつ、まず国内の人材確保というのが大事な問題ですので、ひとつ、それも含めてよろしくお願いします。

時間が来ました。ありがとうございました。

委員長(金子原二郎君)

以上で佐藤信秋君の質疑は終了いたしました。(拍手)