自民党の国土強靱化総合調査会(二階俊博会長)の国土強靱化基本法策定プロジェクトチーム(PT)の脇雅史座長は4日の初会合後の会見で、今後法制化を目指す「国土強靱化基本法案」に対する見解を述べた。同調査会は、今後の地域や国づくりのあり方を災害対応や経済政策の視点も含め提示する「国土強靱化基本法」を法制化する考えを打ち出していた。今後、脇座長のPTで法案作成を進める。
脇座長は、今後の日本の国づくりについて、「災害に強いしなやかな国と地域づくりが求められている」とし、「今後の国・地域のあり方を提示するということは、結果的に10年、30年先の国民の住まい方に直結する話。そのためには省庁横断的な政策を実現するために基本的な法律が必要」と強靱化基本法案の必要性を訴えた。
具体的には、地域で拡大する過疎化、人口減少と高齢化の進展、地域経済疲弊、東日本大震災を契機に関心が急速に高まる災害・減災対応などを踏まえ、「21世紀の地域のあり方について、多くの国民が関心と政策を望んでいる。そのためにまず集落を大事にすることがこれからの社会にとって必要」とした。
地域のあり方では、「過疎地の再編が必要」とした上で、過疎地再編のかぎとして規制緩和で壊滅的打撃を受けた「森林・林業の再生が重要」との見方を示した。農業、漁業に加えて、中山間地の産業基盤として林業を挙げた形だ。
脇座長は、自身が強調する「基本法の理念・目的の原点は人の住まい方」を実現させるため、「地域再生には経済基盤が必要。日本経済が直面しているデフレ脱却のためにも時限的な大規模な財政出動が欠かせない。日銀の金融政策だけではデフレ脱却ができない」とし、時限的なインフラ投資などの官需によって経済けん引と民間需要を喚起する財政政策も今回の基本法の柱の一つであることを強調した。
脇座長の発言は、国・地域のあり方を、災害・減災対応や過疎化などさまざまな課題を横断的に解消させ新たに提示することが、最終的には今後の人の住まい方につながるとの見方を示した格好。
同席した佐藤信秋議員も「いま、国土の使い方や守り方、住まい方に対する計画やメッセージがなにもない。これらを国民に対するメッセージとして訴えたい」と話した。