国の出先機関のうち、国土交通、経済産業、環境の3省の出先機関の事務・権限を、受け入れに手を挙げた広域連合に移譲するとした「出先機関移譲法案」が強い逆風にさらされている。13日の自民党合同会議では、基礎自治体などの強い懸念を押し切る形で、政府が15日の閣議決定を経て今国会に法案提出をしかねないとの観測も踏まえ、「ここで自民党が何も言わなければ、何のための党なのか」と自民党の考え方を旗幟(きし)鮮明にすべきとの声が相次いだ。
これまで道州制や地方分権議論を進めてきた自民党と議員にとっても、今回の法案が「政局的発言のつじつま合わせ」「議員立法でもこんないい加減な法案にしない」「地域によって国の役割がばらばら、ちぐはぐになることを絶対認めるわけにはいかない」などと大きな問題と映った。
古賀誠道路政策特命委員長は「(法案は)屋上屋にさらに屋上屋を重ねるもの」と問題視。二階俊博国土強靭化総合調査会会長も「最悪の場合、実行行使も考えるべき」と強硬に反対する考えを示した。
同法案に対しては、これまでに500を超える基礎自治体首長らや、市長会、町村会などが拙速導入に強い懸念を示しているほか、民主、自民両党の議員も議員連盟を発足させ、強く反発してきた。
民主党内の反発を押し切って今国会への法案提出を目指すことも選択肢にある野田政権にとって、閣議決定に持ち込めるかどうか、ぎりぎりの判断が迫られている。
野党の協力が必要な重要法案・課題の多くを積み残している中で、自民党合同会議が出先機関移譲法案に断固反対の決議をしたことは、野田政権にとって新たなハードルとなるのは間違いなさそうだ。