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2012/7/18(水)
新聞記事
平成24年7月17日 建設通信新聞


不眠不休の復旧続く
救助ルート確保へ土砂撤去
熊本建協、大分建協
九州豪雨被災対応








12日未明に熊本、大分両県をこれまでに経験したことのない記録的な豪雨が襲った。河川の氾濫(はんらん)や土砂災害などに見舞われた被災地では、「自分たちの地域を守る」という使命感に燃えた建設業者が不眠不休で懸命に復旧作業を続けている。

熊本県建設業協会(橋口光徳会長)の阿蘇支部(内田知行支部長)では、会員企業51社延べ約500人、菊池支部(前川勝支部長)でも会員企業55社が各10人程度の人員を出して、道路の応急措置や土砂の除去を行っている。

阿蘇支部は、熊本県阿蘇地域振興局との災害協定に基づき、全会員に道路の担当路線を割り当てている。今回は、各社が担当路線をパトロールし、阿蘇地域振興局土木部に報告して対策を協議し、土砂や倒木の撤去作業を進めている。内田支部長は、「救助活動のルートを確保するため、国道57号、212号、265号の幹線道路は土砂の撤去に当たっている。人命救助でも、重機が必要な個所では応援に行っている」と懸命の作業状況を話す。

熊本市中心部を流れる白川も氾濫した。熊本支部(川口賢寛支部長)の南聡土木委員長は、12日の早朝、5時50分に熊本市総務局危機管理防災総室から連絡を受け、大甲橋から代継橋にかけて、備蓄している約5000袋の土のうを会員各社に振り分けて積んだ。さらに、熊本港付近で大型土のうを作成してダンプカーで運び、バックホウを使って設置した。白川沿いの国道3号線には、数十台のダンプカーが連なり、作業は13日の早朝まで続いた。

菊池支部でも土砂や倒木の撤去などに追われ、人員が足りない状況が続いている。前川支部長は、「当初は国土交通省、県、市町村の指示が錯綜(さくそう)して優先順位がわからなかったが、ようやくまとまってきた」と話す。今回の集中豪雨は、熊本県内を対象とした災害情報共有システムを2012年度内にも構築しようという中で起きただけに悔やまれる。それでも「12日の夜は、各会員が寝ずに巡回して危険個所の状況把握に努めた」(前川支部長)と必死の活動を振り返る。

孤立した地域への道路の復旧が第一

大分県内では、竹田市の中心部を流れる玉来川が氾濫した。山間部では民家が全半壊し、道路も各地で寸断されている。大分県竹田土木事務所も浸水したため、大分県建設業協会(安部正一会長)の竹田支部(友岡孝幸支部長)は、県との協定に基づき、独自の判断で各社が担当する路線のパトロールをまず実施し、状況の把握に努めた。

12日昼過ぎには土木事務所の機能も回復し、本格的な復旧作業に取り組んでいる。友岡支部長は、「孤立した地域への道路の復旧を第一に考え、作業に当たっている。まだ、3、4カ所は寸断されたままで、中には300mにわたって路盤が崩壊した部分もある。夜間工事も覚悟で作業に当たりたい」と話す。

支部会員22社が総出で、延べ約150人体制で作業を進めるが、「レンタル会社の協力で重機は確保できても、地元の業者も減ってオペレーターがいない」と窮状を訴える。それでも、「この地域は高齢者が多い。道路啓開、流失物の撤去などできることは全力で取り組みたい」と力強く語った。