九州北部に甚大な被害をもたらした記録的豪雨から、1週間以上経過。福岡、熊本、大分の3県では「これまでに経験したことのないような大雨」による爪痕が残り、懸命の復旧活動が続けられている。こうした復旧活動の第一線で活躍する地域の建設業の取り組みを追った。
熊本県建設業協会(橋口光徳会長)は、九州北部豪雨による被害が県内の広範囲に出ていることから、会長を本部長とする災害対策本部を立ち上げた。支部間の応援態勢を強化し、人材や資材の配置を円滑化することで、災害復旧の迅速化につなげるのが目的。同本部では、各支部から災害復旧活動の状況を報告してもらい、人材や資材などが不足している地域があった場合に、近隣の支部に応援を要請するとしている。同協会によると「これまで災害復旧の活動では、縄張り意識が強く、被害のあった地域の支部のみで対応するケースが多かった」。しかし、記録的な豪雨に見舞われた今回の災害では、被害が広い範囲にまたがっている上、特定の地域で人材や資材が不足する可能性があるため、横断的に災害復旧に対応できる態勢を整えることにした。
熊本県内では、700ミリを超す記録的な豪雨が短期間に降り、県内で河川の氾濫や土砂崩れにより、20人以上の死者が出るなど、大きな被害が発生した。特に、阿蘇山の外輪山内にある阿蘇市では、カルデラ内に降った雨が市内に集中。国道57号や同265号、県道別府一の宮線が通行止めとなっている上、阿蘇を代表する温泉地の内牧温泉では、黒川の氾濫で営業中断を余儀なくされた宿泊施設もある。このほかにも、熊本県内では豪雨により甚大な被害が出ており「全体像が把握できていない状況にある」(熊本県建設業協会)という。
大分県建設業協会(安部正一会長)では、被害が大きかった竹田、日田、中津の3支部が、それぞれ応急復旧活動を実施。17日午後5時現在、大分県内では国道で24カ所、県道で116カ所、市町村道で276カ所が通行止めとなっていることから、道路の復旧活動などに追われている。
また、建物や農地などにも被害が及んでおり、これらの復旧事業への対応も今後、本格化してきそうだ。
一方、福岡県内では福岡県建設業協会(松本優三会長)と県の災害協定が結ばれていないため、各社が個別に対応するなどして、復旧に向けた取り組みを進めている。