2014/6/5(木)
新聞記事
平成26年6月5日 建設通信新聞


動き出す
改正品確法<4>

公共工事契約適正化委員会
法制化プロジェクトチーム座長
佐藤 信秋 参議院議員

受発注者が一緒に進める





――品確法改正が目指すものは

「品質確保には担い手の確保・育成が大事で、それには発注者が責任を持つ必要があるという点が、法改正のメインテーマとなっている。担い手確保・育成とは何かという点から基本理念を整理していった。担い手確保・育成は何のためかといえば、品質確保のためだ。国会でもその点に力点を置くことで、賛同してもらえたと思う」

「ただ、そのためには若者が建設業に入職できるようにしなければならない。それには地域にいる建設産業の役割が大事で、地域維持の担い手として下がりすぎた賃金を戻していかないといけない。さらには、地域建設産業の経営が健全に成り立つようにしなければならない。予定価格や積算を現状の実態にあわせた適正価格にし、担い手の確保育成につなげるべきだ。ダンピング(過度な安値受注)をしないよう、発注者が目を光らせなげればならない」

「そのためには、発注者ごとの方策を地域の実情にあわせて工夫するように、地方自治体に対し呼び掛けたい。最近の入札不調・不落の原因として、標準的な積算では実勢価格に対応しきれていないことがある。また、技術提案・交渉方式により技術力の優れた企業を選定したり、受発注者双方の負担軽減や、一定の企業に受注が集中しないようにする必要もある。そうした対応は発注者にしかできない。全体として受発注者がウィン・ウィンの関係にならなければ、建設業全体が疲弊していく」

――担い手確保を考慮する上で、適切な予定価格の設定や設計変更、一般管理費の見直しなどにも対応していくことになる

「受発注者が一緒になって優れた仕事を進めるには、適切な設計変更が重要になる。設計変更が生じるのは、工期の変更など発注者側の要因も多い。だから発注者は、受発注者が一緒に仕事を進めるという基本的なスタンスに立って対応すべきだ。一般管理費は、産業としての継続性や企業としての継続性、人材育成の観点を踏まえ、随時引き上げできたが、今後も引き上げていかなければならないと思う」

――多様な入札契約方式を地域の建設企業がどう実施できるようにするか

「例えば、災害時に緊急性が求められる事業に使う方法もあるだろう。技術提案・交渉方式では、現地を熟知していることを生かし、最適工法を提案することも可能だ。技術者不足の発注者を補完することにもなる。高度な技術提案だけでなく、緊急性など受発注者の状況に応じた使い方ができる。多様な方式をバランスよく実施するのは、発注者の大事な役割といえる」

――品確法の趣旨に沿って予算が使われているか、会計検査院がチェックすべきではとの意見もある

「運用指針の作成の議論に参画してもらうこともあり得るだろう。会計検査院や公正取引委員会も、価格を安くすればそれで良いと思っていないはずである」