自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(根本匠会長)の総会が26日、東京・永田町の党本部で開かれ、建設業の働き方改革に向けた取り組みなどを議論した。2012年度以降6年連続で引き上げている公共工事設計労務単価が、下位の下請業者に行き渡っていない状況などを指摘。重層下請構造の改善に向け、実態を把握し政策を立案するよう行政に求めた。
冒頭、根本会長は改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の基本理念に掲げる「中長期的な担い手の確保・育成」の重要性を改めて強調した。その上で「働き方改革と生産性向上について建設業4団体との意見交換を踏まえ、石井啓一国土交通相に申し入れを行った。きょうは国交省からこれからの取り組みをご説明いただきたい」と述べた。
国交省は、建設業の働き方改革をさらに加速させるための新しい施策パッケージ「建設業働き方改革加速化プログラム」を説明した。長時間労働の是正に向け、週休2日工事の実施に伴う必要経費の計上、適正な工期設定の推進など具体策を報告。技能や経験にふさわしい給与と社会保険加入の徹底に向けた環境を整備するため、建設キャリアアップシステムの今秋稼働や、社会保険未加入業者の建設業許可・更新を認めない仕組みの構築などを説明した。
建設現場の生産性向上策i−Constructionの推進では、中小の建設会社に積極的なICT(情報通信技術)活用を促すための積算基準の改善を報告。国庫債務負担行為の積極活用による施工時期の平準化なども併せて紹介した。
公共工事の施工時期の平準化を巡り、都道府県や市区町村が債務負担行為の活用などに取り組めるよう知恵が必要との指摘があった。これに対し国交省は「都道府県などの取り組み状況を調査している。地域発注者協議会で(平準化の)目標値を定めるなどしており、引き続き努力する」(田村計土地・建設産業局長)とした。
書類の簡素化や工事着手の早期化を求める声も上がった。国交省は「(提出書類を簡素化する)簡易確認型の導入など入札・契約手続きをさらに効率化する。工事書類を自治体と比較し、様式を合わせることなども検討する」(五道仁実官房技術審議官)との対応方針を示した。
労務単価の引き上げが下請まで行き渡っていないとの指摘を受け、国交省は「まずは実際の需給に合った積算をすることが大事。労務単価に実勢の反映と、公共事業費の安定的・持続的な確保を合わせて進めていく」(青木由行官房建設流通政策審議官)との考えを示した。