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2018/12/27(木)
新聞記事
平成30年12月25日 建設通信新聞

19年度政府予算案
公共事業関係費15%増の6.9兆円
臨時・特別の措置を上乗せ

政府は21日、2019年度当初予算案を閣議決定した。政府全体の公共事業関係費は、前年度から9310億円の増額となる6兆9099億円。伸び率にして約15%の大幅な増加となる。来年10月の消費税率の引き上げや、防災・減災、国土強靭化の推進に対応する「臨時・特別の措置」として8503億円が”上乗せ”されるなど「2段ロケット」になっている点が特徴だ。

政府の基本スタンスとして、公共事業関係費の安定的な確保を重視。特に焦点となっている防災・減災、国土強靭化の推進や老朽化対策、生産性の向上につながるインフラ整備への重点化を全面に押し出す。

省庁ごとの公共事業関係費は、中核となる国土交通省が前年度比15%増の5兆9662億円ん(うち、臨時・特別の措置は7153億円)。農林水産省も19%増の8166億円(同1200億円)と大幅な増加となった。

環境省は23%増の593億円(同100億円)、厚生労働省も23%増の221億円(同40億円)。経済産業省も48%増の31億円(同10億円)と各省庁が軒並みの増加となっている。

というのも、19年度予算案の最大のポイントは、来年10月の消費税率の引き上げや、重要インフラの緊急点検を踏まえた「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」の推進に対応する当初予算での臨時・特別の措置を用意している点にある。

ベースとなる予算額に臨時・特別の措置を”上乗せ”する『通常分+臨時・特別措置』の”2段ロケット”になっている点を踏まえれば、単純に「15%増」という数字を鵜呑みにすることはできない。

実際に臨時・特別の措置を除いた公共事業関係費は前年度比1.3%増の6兆0596億円。その大半は消費増税への対応分となっていることから「実質的な増加額は約26億円」(財務省)という。

とはいえ「防災・減災」「国土強靭化」をキーワードに、その推進に向けた集中的な”防災投資”の絵姿が示されたことは事実。これまでの「想定」を上回る大規模な自然災害が頻発化している現状からすれば、取り組みの推進に先鞭(せんべん)をつけるだけのインパクトある予算になっていることは間違いない。

少なくともベースとなる”通常分” の予算で安定的かつ持続的な”増額確保” を堅持している状況は、中長期的な担い手の確保・育成を目的とする「働き方改革」の推進や、i-Constructionに代表される「生産性の向上」など、構造的な課題の解決に取り組む建設産業にとって間違いなく追い風となりそうだ。


第2次補正 防災・減災に重点
公共事業関係1.1兆円

政府は21日、2018年度第2次補正予算案を閣議決定した。第2次補正予算案における公共事業関係費は1兆1398億円。重要インフラの緊急点検の結果を踏まえた「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」のうち、速やかに着手すべき初年度の対策経費として1兆0723億円を計上した。

第1次補正予算案で措置した4401億円に、第2次補正予算案を足し合わせた18年度の補正予算の規模は計1兆5799億円。18年度当初予算の5兆9789億円を合わせた18年度の公共事業関係費は7兆5588億円となる。

20年度までの3年間でおおむね7兆円程度の事業規模となる「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」(14日に閣議決定)は、160項目の緊急対策を3年間で集中的に実施する仕組み。19年度当初予算案に「臨時・特別の措置」として計上した1兆3475億円と合わせて、18年度第2次補正予算と19年度当初予算のセットで総額2兆4000憶円の国費を措置する。

例えば、河川の樹木伐採・掘削、堤防の強化、土砂災害を防止する砂防堰堤の整備や、道路の法面・盛土対策など「河川、砂防、道路等の防災・減災対策」に6183億円(19年度予算案に7153億円)を計上。学校施設の耐震化や児童・生徒の津波からの迅速な避難を支える「学校施設等の防災・減災、地震津波観測網に関するインフラ緊急対策」に698億円(同1518億円)を盛り込んだ。

ため池の改修・補強や治山施設の設置、漁港施設の補強などを施す「ため池、治山施設、森林、漁港等の防災・減災対策」に938億円(同1207億円)を措置。

地震による給水停止あるいは断水の恐れがある水道施設の耐震対策を後押しする「水道施設の耐震化等」に66億円(同259億円)、非常用発電設備の整備・増強などを行う「製油所・油槽所の緊急対策に84億円(同134億円)、災害拠点病院や耐震性が低い病院等の耐震化を支援する「災害拠点病院等における耐震化対策」に43億円(同75億円)を計上した。


国土強靭化へ長期的計画投資の第1弾に
佐藤信秋参院議員

かねて防災・減災、国土強靭化の重要性を訴えてきた佐藤信秋参院議員は、『防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策』に先鞭(せんべん)をつける2018年度第2次補正予算案や、臨時・特別の措置によって公共事業関係費が前年度比15%の増加となる19年度予算案に「取り組みの必要性を理解していただいた結果だと思っている」と評価した。

一方で「集中的な対策を構じる緊急対策の3年間だけでなく、10−15年スパンの長期的な視点で国土強靭化の取り組みを推し進めていく必要がある」と強調。「(18年度第2次補正予算案と19年度当初予算案は)その第1弾ということになる」と述べた。

実際に20年度までの『3カ年緊急対策』が終了する「4年後、5年後をどうしていくか。これが非常に重要になる」と指摘。「これまでも長期的な計画投資の必要性、重要性を訴え続けてきたが、そういう主張・活動は継続して進めていきたい」と話す。

特に「地域の危機管理あるいは守り手として、建設企業が災害対応などに即応できるだけの人員を維持・確保していくためには(企業として)長期的な見通しを立てられるということが重要になる。

(建設産業界に)そういうメッセージを出せるだけの予算、あるいは計画を今後も継続して組んでいく必要がある」と力を込める。