国土交通省の2019年度予算案は、一般会計が前年度比18%増の6兆8609億円となった。消費税率の引き上げや国土強靭化の推進に伴う臨時・特別の措置として計上した9393億円が増加の大部分を占める。公共事業関係費は15%増の5兆9663億円。内訳は一般公共事業費が15%増の5兆9112億円、災害復旧等が1%増の551億円。非公共事業では行政経費に8334億円、その他施設費に613億円を充てる。
頻発する水害に対応するため、「水防災意識社会」の再溝築に向けた水害対策の推進に6030億円(52%増)を計上する。集中豪雨や火山噴火などに対応した総合的な土砂災害対策の1281億円(67%増)とあわせて、事前防災の観点を重視したハード・ソフト対策を推進する。
南海卜ラフ巨大地震・首都直下地震対策の推進には46%増となる2521億円を計上。河川・海岸堤防のかさ上げ・耐震対策や基幹交通ネットワークを保全するための土砂災害対策、公共施設の耐震他などの予防的対策を進める。密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化には187億円(17%増)を措置。密集市街地の建て替えや改修、無電柱化などを促進する。
災害時における人流・物流確保は35%増の4318億円。広域交通への影響を回避する代替性確保のためのミッシングリンクの解消、道路の防災(斜面・盛土)・震災対策(耐震補強)などを推進する。加えて、財政投融資の活用により、関空の護岸かさ上げや暫定2車線対策を加速する。
防災・安全交付金は18%増の1兆3173億円、社会資本整備総合交付金は0.2%減の8713億円。頻発する風水害・土砂災害、大地震・津波に対する防災減災対策、インフラ長寿命化計画を踏まえた老朽化対策、駅整備と連携したアクセス道路整備、PPP/PFIを活用した民間投資を誘発する取組みなどの自治体の効果的な取り組みを支援する。
ストック効果最大化戦略の推進に向けては、新東名の6車線化など効率的な物流ネットワークの強化に3699億円(10%増)を充てる。整備新幹線関連では、北陸(金沢−敦賀間)と九州(武雄温泉−長崎間)新幹線の建設費増加に対応して、4年ぶりに国費を増額し、792億円を計上する。
インフラ老朽化対策は9%増の4882億円。予防保全の考え方に基づく長寿命化の推進や新技術の開発・導入によりトータルコストの縮減を図る。予算・労務の両面で課題を抱える地方自治体への支援として、基準類の体系的整備、財政支援なども進める。
オープンイノベーションなどによるi-Constructionの推進には昨年度比で倍増となる33億円を計上。公共工事における新技術の開発・現場導入、自治体や中小建設業者へのICT活用の拡大に取り組む。
消費税率引き上げに伴う需要変動への対応としては、2085億円を措置する。往まい給付金について対象となる所得階層を拡充するとともに、給付額を最大30万円から50万円に引き上げる。一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や家事負担の軽減に資する新築とリフォームに対するポイント制度も創設する。
公共工事の施工時期の平準化を図るため、2カ年国債(国庫債務負担行為)に2098億7700万円、ゼロ国債に1095億2900万円を設定している。
国交省分の東日本大震災復興特別会計は1%増の4632億円。20年度のインフラ整備完了を目指し、ハード整備を進める。
19年度予算案
直轄4ダムに196億余
成瀬は本体工事推進
国の2019年度予算案によると、東北地方整備局管内の直轄ダム4事業に196億6100万円(事業費ベース、以下同)が配分された。建設は成瀬ダム(秋田県東成瀬村)が160億1000万円、鳥海ダム(同県由利本荘市)は21億5800万円、鳴瀬川総合開発の筒砂子ダム(宮城県加美町)は13億9200万円。また、新規に北上川上流ダム再生事業として1億0100万円が計上された。
建設3ダムの型式は、いずれも台形CSG(Cemented Sand and Gravel)。成瀬ダムは堤高114.5メートル、堤頂長778.5メートル、堤体積約476万立法メートル。19年度は本体工事や取水設備工事、付替道路工事などを推進する。
鳥海ダムは堤高81メートル、堤頂長365メートル、堤体積168万8000立法メートル。来年度は工事用道路や用地補償、本体関連の調査・測量・設計を行う。
筒砂子ダムは堤高105メートル、堤頂長345.8メートル、堤体積約190万立法メートルで、用地調査や本体関連の調査・測量・設計を進める。
北上川ダム再生事業では、四十四田ダムの本体関連調査・設計を実施する予定だ。