設計労務単価「3年で15%以上アップ」
第一歩クリア、働き方改革と両立を
自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)は、公共工事設計労務単価について「政策的視点から今後3年間で15%以上の引き上げが必要だ」と強く主張している。その理由は、建設業にとって働き方改革と賃上げが必須だからだ。国土交通省が14日に公表した2023年度公共工事設計労務単価(3月1日以降適用)は、50職種の単純平均値が前年度に比べ5.2%の伸び率となった。品確議連は、この伸び率の水準がさらに2年続くことに期待を寄せる。「3年で15%以上アップへの第一歩はクリアできたが、大切なのはこれからだ」と語る品確議連の佐藤信秋幹事長(参院議員)に政策的視点を反映した設計労務単価の在り方などを聞いた。
品確議連の主張は、担い手確保の観点から設計労務単価の引き上げが不可欠であるとともに、働き方改革への対応や政府を挙げて取り組む賃上げという政策的視点を反映する必要があるというものだ。特に働き方改革に関しては、24年4月から建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用されるため、4週8休への取り組みが大きな鍵を握る。
佐藤幹事長は「国や地方公共団体で週休2日工事に取り組んでいるが、全国平均・年平均で見ると現状は4週6休程度だろう。これを24年度から4週8休にする必要がある。単純に計算すると、月間稼働日は22日から20日へと約1割減少する。この分を単価アップさせないと、建設技能者の賃金が1割減ることになる」と指摘する。
続けて「これは日給月給の建設技能者だけではなく、月給制の技能者や経営層の人たちにも大きく影響する。つまり、労務単価を上げないと、みんな賃下げになってしまうということだ。現状の年収を維持しつつ、週休2日制を進めるため、まずは10%のアップが不可欠だ」と訴える。
加えて賃上げ分もある。岸田文雄首相は物価上昇分を超える賃上げを産業界に求めているほか、今年度から始まった賃上げ表明企業を政府調達の総合評価で加点する措置が23年度も継続される。
こうした状況を踏まえ「最低年1.5%上昇させる必要があり、これを3年間で計4.5%、まるめて5%以上アップさせないと賃上げにはつながらない。先の年収維持分10%と合わせて3年間で15%以上アップする必要があるというのがわれわれの主張だ」と強調する。
さらに「公共工事だけにとどまらず、民間工事の発注者にも賃上げしてもらう必要がある。そのためには国が率先垂範しなければならない」と説く。
建設業従事者の年間実労働時間は、全産業と比較して約2割多い一方で、建設業男性生産労働者の年間賃金総支給額は、全産業男性全労働者より約2割少ない状況にあるだけに「この部分を是正しない限り、建設業の担い手不足は解消されない。働き方改革と賃上げの両立が不可欠だ」と力を込める。