自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)が設置した公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)改正プロジェクトチーム(PT)の初会合が20日に開かれ、法改正の政策骨子案が示された=表参照。▽公共工事従事者の労働条件改善▽持続可能な地域建設業▽技術開発の推進・新技術の活用−の三つの柱に大別し方策を整理。品確法で規定する「発注者の責務」としてスライド条項の運用による適切な価格転嫁や、生産性向上などに有効な技術の活用と必要経費の予定価格への反映といった対応を新たに盛り込む。
先月の総会で建設関連業会団体から聴取した要望事項を踏まえ、法改正で対応すべき論点を整理。PTの座長に就いた佐藤信秋参院議員が骨子案の内容を説明し、参加した議員らに意見を求めた。
資材価格の急騰で重要性が増したスライド条項は、現時点で公共工事標準請負契約約款上の運用規定にとどまる。その位置付けを法律への明記で一段と高める。運用基準の策定と、それに基づく契約変更までを発注者の責務とし、市区町村を含めた公共発注者全体で適切に運用するよう明確化する。
新技術の活用推進に向け、技術の研究開発や社会実装を通じた品質確保の必要性を「基本理念」に新たに位置付ける。生産性や安全性など価格以外の要素を含めて総合的に価値の高い技術や工法が活用されるよう配慮し、必要な費用を予定価格に反映させることを発注者の責務などに追加する。
公共工事従事者の働き方改革にも重点を置く。国が業行政主体として技術者・技能者の賃金や休日の実態を把握し、適正な労働条件を確保するため必要な施策を講じる規定を新たに設ける。
「地域の守り手」を維持するための発注方式の活用も推進する。地域の実情を踏まえ入札参加条件を適切に設定することを発注者の責務に追加。同一地域で担い手が限られ、競争が存在しないと見込まれる公共工事で、発注者が随意契約を選択できると明記する。