自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)は30日、公共工事品質確保促進法(品確法)などの改正を議論するプロジェクトチーム(PT)の第2回会合を開き、品確法、入札契約適正化法(入契法)、測量法の3法改正の方向性を大筋でまとめた。議員立法による入契法の改正方針が示されるのは初めて。入札契約適正化に関して国による地方自治体への「勧告権」を入契法で創設する。国と都道府県による市町村など公共発注者への支援も追加する。政府が今国会に提出を予定する建設業法改正案などとの一体改正を目指す。
2023年12月の初会合で上がった意見を踏まえて追加・修正した改正骨子案を議論し、佐藤信秋座長(参院議員)に取りまとめを一任した。議連が近く開催する総会に諮る。冒頭にあいさつした根本会長は、業界団体の意見を聞きながら関係行政に精通した与党の政治家が主導して政府と議論した成果を法律に落とし込む点が他の議員立法とは異なるとの認識を示し、「品確法は産業政策をリードする理想的な法律。政府提出法案ではここまで盛り込めないだろうということも入っている」と強調した。
3法の改正案は、▽担い手の確保のための働き方改革・処遇改善▽地域建設業などの維持に向けた環境整備▽新技術の活用などによる生産性向上▽公共工事の発注体制の強化−−の4点を柱に設定する。
改正の目玉は市町村を念頭に置いた公共工事の発注体制強化だ。入契法の改正により、同法に基づく適正化指針に発注体制の整備に関する事項を追加し、適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置の的確な実施について国土交通大臣と総務大臣が自治体に助言、勧告、援助を実施可能にする。マンパワー不足の市町村を支援する狙いがあるととともに、市町村で入札契約適正化の取り組みが遅れているとの指摘を踏まえ、現行法で認められている要請よりも踏み込んだ対応の勧告を国の選択肢に加える。国や特殊法人などの入札契約適正化に向け、国交大臣と財務大臣が各省の大臣に勧告できる規定も設ける。
品確法にも公共発注者への支援を位置付ける。発注者として必要な知識・技術を備えた職員育成への支援を国と都道府県の努力義務にすることと、公共発注者による発注関係事務の実施実態の把握・公表に努め、その実態を踏まえた助言を国に義務付けることを新たに打ち出した。
このほかの柱に沿った施策の主な追加・修正箇所を見ると、「担い手確保のための働き方改革・処遇改善」は、受注者の休日確保と処遇改善に向け、国が公共工事実施者(下請けを含む)による賃金支払いと休日取得などの実態を把握することとしていたが、さらに踏み込んで把握した実態を公表可能にする。施工時期の平準化に関しては、自治体が関係部局の連携に努めることを追加する。
根本会長が座長を務める「建設関連産業の人材確保・育成に関する議員勉強会」の議論を踏まえ、担い手の中長期的な育成・確保に向け、職業訓練法人への支援、工業高校と建設業者団体の連携促進、外国人を含む多様な人材確保に必要な環境整備促進などを国と自治体の努力義務とする。受注者の責務には、雇用している者の能力に応じた適切な処遇確保と雇用管理の改善に努めることを加える。
測量法では、測量士・測量土補の確保に向けて機動的に対応できるよう、養成施設の登録要件を法律から省令に落とす。測量士・測量土補になるための資格の在り方を政府が検討するとともに、必要な措置を講じる規定を追加する。測量業の登録に関する暴力団排除規定も整備する。
政府が今国会に建設業法・入契法改正案の提出を予定していることから、入契法は閣法と議員立法の両面から改正になる見通しだ。