自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)は2日、東京都千代田区の参院議員会館で総会を開き、公共工事品質確保促進法(品確法)、入札契約適正化法(入契法)、測量法の改正骨子を固めた。議連での議論を大筋で終え、今後は自民党内の手続きと各党との調整に入る。議員立法による今通常国会への3法改正案提出が、ほぼ確実な情勢になった。
業界団体の意見を聞きながら国土交通省など関係省庁と議論した上で、議連のプロジェクトチーム(PT)が1月30日の会合で整理した骨子案に対して所属議員から意見を聴取し、取りまとめを根本会長に一任した。
3法改正の柱は、▽担い手確保のための働き方改革・処遇改善▽地域建設業などの維持に向けた環境整備▽新技術の活用などによる生産性向上▽公共工事の発注体制強化−−の四つ。
主な施策を見ると、担い手確保に向けて品確法に、国が下請けを含む公共工事従事者を対象に賃金支払いと休日取得の実態を把握・公表し、必要な施策の実施に努めることを追加する。 受注者の責務には雇用する者の能力に応じた適切な処遇の確保を加える。
地域建設業の維持も品確法で対応。地域の実情を踏まえた入札参加条件の適切な設定や、スライド条項の適切な設定と運用基準の策定、運用基準に基づく請負代金の変更を発注者の責務に位置付ける。競争が存在しない地域で、一定条件の下、随意契約できる規定も設ける。
生産性向上では、品確法の基本理念に新技術活用と脱炭素化への配慮を追加。コストが高くなっても新技術活用を選択できるように、VFM(バリュー・フォー・マネー)の概念を加える。適切なデータの引き継ぎ、地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)の規定も設ける。
発注体制の強化は品確法と入契法で対応する。入契法に基づく適正化指針の記載事項に発注体制の整備を追加した上で、入札契約適正化に関して国が自治体に要請を超えた勧告を実施できるようにする。品確法では、国と都道府県が発注者の職員育成などを支援することを新たに規定する。
測量法は、測量士・測量士補の確保、測量成果提供の電子化、測量業登録の暴力団排除規定整備に関する規定を設ける。
幹事長の佐藤信秋参院議員は総会で、 積算が実務上困難な災害時の対応などを追加検討し、 品確法改正案に盛り込む必要性を指摘。 議連として、その部分を含め、根本会長に取りまとめを一任した。
所属議員からは、入契法改正で新設する勧告の仕組みについて質問が上がった。国交省の塩見英之不動産・建設経済局長は「まずは要請を行い、十分な対応が取られていない場合は、相手を特定した上で勧告することを考えている。二段構えにすることで、取り組みが進んでいないところにピンポイントで改善を促したい」と、想定している運用方法を説明した。
政府が今国会に建設業法改正案の提出を予定していることにも言及。公共工事を対象にした品確法と、民間工事を含むあらゆる建設工事を対象とする建設業法の連携により、担い手確保や生産性向上などに向け、「公共工事の取り組みが民間工事にも広がるよう、行政として対応していきたい」と力を込めた。
総会では、日本建設業連合会や全国建設業協会など建設業関係14団体からの要望も受けた。 これを踏まえて議連としての要望をまとめ、 国交省が2月中の公表を予定する新たな公共工事設計労務単価への反映などを見据え、 斉藤鉄夫国交相に近く要望する。