新聞記事
令和6年2月9日 建設通信新聞
建設通信新聞

12年連続引上げへ
設計労務単価と技術者単価
自民・品確議連が要望

「実質的な賃下げにしない」
上限規制踏まえ斉藤国交相

自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)は7日、公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価の12年連続引き上げなどを求める要望書を斉藤鉄夫国土交通相に提出した。建設業に時間外労働の上限規制が適用される4月以降、働ける時間が減ることに伴って賃金が減少しないよう、両単価の引き上げが必要と訴えた議連に対して、斉藤国交相は「実質的な賃下げにならないようにしたい」と答えた。国土交通省は2月中に新たな両単価を発表する予定だ。

根本会長、佐藤信秋幹事長(参院議員)、梶山弘志事務局長(衆院議員)、足立敏之事務局長代理(参院議員)の議連幹部4人が同日、国交省を訪問。冒頭以外を非公開で実施した要望活動終了後の取材に、斉藤国交相の反応などを明らかにした。

根本会長は「デフレ完全脱却のために政府を挙げて賃上げ要請をしている。2024年問題もある」と両単価引き上げの必要性を示し、「かなりの賃上げをする時期だ」と強調。要望実現の「手応えは非常にある」と語った。

必要な引き上げ幅は「昨年以上。それは当然」と指摘した。国交省が23年3月から適用している現在の設計労務単価は1年前の単価に比べて全職種の単純平均で5.2%上昇、主要12職種で5.0%上昇、技術者単価は全職種(職階)で5.4%上昇となっている。

また、政府と議連が閣法と議員立法により、第3次担い手3法として今通常国会で、公共工事品質確保促進法、入札契約適正化法、建設業法の一体改正を目指していることを念頭に、斉藤国交相が「賃金がきちんと行き渡るようにしたい」と発言したことを明らかにした。

能登半島地震の発生を受け、大手・準大手や地域の建設業者が昼夜を分かたず、被災地で道路啓開などの災害対応に当たっていることも話題になったとし、地域の守り手である建設産業が不可欠な存在であるとの認識を改めて共有した。

議連は両単価引き上げのほか、「建設産業の担い手確保の取り組みの推進」「公共工事の円滑な施工確保の徹底」「賃上げ実施企業を加点する総合評価落札方式の適切な運用」の3点を要望した。2日の議連総会で、日本建設業連合会や全国建設業協会など建設業関係の14団体から受けた要望を集約した内容となっている。