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新聞記事
令和6年5月24日 建設工業新聞

衆院国交委
業法と入契法など改正案付帯決議(全文)

衆院国土交通委員会は22日、建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と入契法、測量法の一括改正案の可決に当たり、政府に求める対応措置を決議として採択した。

決議は次の通り(全文)。

【建設業法および公共工事の入札契約適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議】

政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

1.建設技能者の賃金水準の向上の観点から、その実態把握に努め、建設工事の労務費に関する基準を適切に設定するよう図るとともに、民間発注者からの理解を得た上で下請事業者まで適正な労務費が確保されるよう、積極的に働きかけ、周知徹底を図ること。また、そのために、建設業者による材料費等記載見積書および労務費の基準の活用を促進すること。

2.デジタル技術の活用などによる建設技能者への支払賃金を確認する仕組みの検討を進め、建設技能者の賃金水準について、可及的速やかに全産業平均並みの引き上げが達成されるよう、必要な措置を講じること。

3.労務費のしわ寄せを防ぐ観点から、建設業者による労務費等の内訳明示や適切な価格転嫁のための請負代金額などに影響を及ぼすリスク情報の通知といった取り組みが進むよう、発注者から下請事業者まで建設工事請負契約の当事者に理解しやすく制度の周知を図るとともに、ひな形やガイドラインの策定などにより円滑に導入できる環境を整備すること。

4.注文者の地位の優越により、立場の弱い建設業者が価格高騰などに伴う不利益やリスクを一方的に被ることがないよう、独占禁止法上の適切な措置を講じるなど、実効性のある対策を講じること。

5.著しく低い労務費見積もりによるなどのダンピングや賃金上昇の妨げとなる不適切な契約を是正するため、建設Gメンの機能や体制を強化するとともに、関係する公正取引委員会や厚生労働省、中小企業庁と連携し、監視や指導を強化すること。

6.労働者の有する知識、技能などについての公正な評価に基づいた建設業者による適正な賃金の支払いを実現するよう、労働者の適切な処遇の確保のために講じられた措置の実態を広く把握した上で公表し、必要に応じて指導するとともに、建設キャリアアップシステムの就業履歴の蓄積や能力評価判定を推進するたの必要な施策を講じること。

7.建設現場で働く技術者よび技能者が週休2日を確保できる工期の設定が民間工事においても実現されるよう、下請事業者の実態や契約変更を含む建設工事の請負契約の締結状況を十分に調査し、その結果を踏まえ、工期に関する基準の在り方の見直しなど必要な施策を講じること。特に、後工程を担う設備工事業などにしわ寄せが及びやすい実態にかんがみ、前工程で工程遅延が発生し適正な工期が確保できなくなった場合には、当事者が対等な立場で遅延理由を明らかにし、工期や請負代金の額の変更を協議できるよう必要な対策を講じること。あわせて、週休2日の確保が賃金に与える影響を把握し、収入の減少につながらないよう必要な取り組みに努めること。

8.本法の施行に伴い適正な工期や請負代金額の設定が図られることにより、工期の長期化や金額の負担増が生じ得ることについて、国民全体の理解を得る取り組みを推進すること。また、取り組みに当たっては、産業界や労働界といった実務に携わる者の意見を広く聴取すること。

9.技術者の専任要件については、建設工事の適正な施工が確保されることを前提にしつつ、建設工事に関する技術の進展や関係団体の意見も踏まえて、必要に応じて見直しを行うこと。

【公共工事の品質確保の促進に関する件】

政府は、公共工事の品質確保の促進に関する法律などの一部を改正する法律の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

1.公共工事の契約変更手続きの透明性を確保するため、まずは国土交通省直轄工事において契約変更前に必要に応じて受発注者以外の第三者が適正性をチェックし、その意見を反映、公表する新たな仕組みを導入すること。あわせて、それ以外の公共工事における個々の契約変更についても導入を検討すること。

2.令和6年能登半島地震を踏まえ、災害対応に不可欠な地域建設業を維持するため、地方公共団体において適切な競争参加資格や発注単位の設定が行われるよう必要な措置を講じるとともに、その担い手を確保するため、予定価格や工期の適正な設定などの諸施策が効果的に実施されるよう、発注関係事務の実施実態および公共工事に従事する者への賃金の支払いや休日の付与の状況の把握を進め、必要な措置を講じること。

3.地域建設業者が災害時の地域の守り手としての役割を果たしていくためには、担い手を確保し建設機材を維持することが必要であることにかんがみ、過疎地域などを含めた地方公共団体に対する公共事業の施行についての支援などを検討すること。

4.民間事業者などによる新技術の研究開発を促進するとともに、公共工事などにおいてその活用を推進すること。特に、脱炭素化に対する寄与の程度など総合的に価値の最も高い資材や工法などを適切に採用するため、ガイドライン作成や取り組み事例にかかる情報収集などを行うと。

5.国の総合評価落札方式における賃上げ加点措置について、公平性や地域建設業などの維持の観点からその影響を調査し、他制度との兼ね合いを考慮しつつ運用を検討すること。

6.測量士などを中長的に確保するため、就業状況の実態把握を行うととに、さらなる資格制度の改善について早期に検討を進めること。

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