自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)が5日に総会を開き、6月に公布・施行した改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく「基本方針」「運用指針」の改正骨子案などに対する各議員の意見表明を踏まえ、国に適切な対応を求めた。根本会長は「実際の現場の状況を反映した魂の込もった法律だ」と指摘しながら、改正法の趣旨に沿った実効性のある指針策定を期待。引き続き議連を通じ「品確法をベースに建設業の活性化、国土強靱化をはじめとした社会資本の整備にまい進していきたい」と語った。
総会では各議員が地元業界の実情などを踏まえた対応策について、運用指針などへの反映を求めた。除雪に対応する建設会社の出動に備えた待機料について「通常工事に対応できない分を補填(ほてん)するような理念を入れてほしい」という意見や、設計や測量などの入札時にくじ引きが多発しているとして「地域限定で公募するなど品確法の実効性を高める運用」を求める声があった。資材価格の急激な高騰などの状況変化に柔軟に対応できるような仕組みを深掘りして検討するよう訴える議員もいた。
議連幹事長の佐藤信秋参院議員は改正法の検討過程で、災害時などに標準的な積算方法では価格や工期が合わない場合、柔軟な対応が可能と読めるよう文言を加えたとしつつ、次回の法改正なども見据えた抜本的な対応の必要性を強調。予定価格の上限拘束性に触れ、落札率を掛けた価格を標準として予定価格を積算する方法では「必ずデフレ構造になる」と指摘し、「どんなやり方がいいか、さまざまな検討が必要。次の改正に間に合うかは分からないが、方向として取り組まなければならない」とした。
適切な価格転嫁を通じた賃上げなど「新しい資本主義」を主導した岸田文雄首相の任期が迫る中、根本会長は「毎年の賃上げは(公共工事設計労務単価などの引き上げで)われわれが先取りしてきたものだ。政権がどう変わろうが、これは変わらない」と断言。足立敏之参院議員も「建設分野は継続性が大事だ」として、引き続き議連として建設産業政策をリードする動きを展開していく考えを示した。