新聞記事
令和7年2月3日 建設通信新聞
建設通信新聞

品確議連 新会長に梶山氏
持続可能性確保へ活動展開
「建設業を残していく」

自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」は1月31日、東京都千代田区の党本部で第19回総会を開き、政界を引退した根本匠前衆院議員の後任となる会長に事務局長の梶山弘志元経済産業相を選任した。総会終了後の取材に梶山会長は「地域で災害が起きたとき、また新たな事業を行うときに、対応できるような建設業の体制をしっかりとつくり、残していくことが大事だ」と述べ、建設業の持続可能性確保を第一に議連の活動を展開する方針を示した。今後は梶山会長、古川禎久副会長、佐藤信秋幹事長が議連を主導する。

総会で会長選出後にあいさつした梶山会長は「政府と与党が一体となって、より良い建設産業に改善をしていくべく、また持続可能な産業にすべく、最善の努力をしていきたい」と抱負を語った。

総会終了後の取材では、「昔は県や市に実働部隊がいたが、今は多くを建設業に任せてしまっている。そういう人たちを残していかなくてどうするのか」と指摘しながら、「役割分担を考えながら発注をしてほしいということが、私の思い。議連としても、できるだけそういうことをやっていきたい」と力を込めた。持続可能な建設業の実現に向けては、賃上げが特に重要との認識を示し、「公共工事設計労務単価をどう上げていくかは喫緊の課題」と述べた。

2024年9月の前回総会では、会計法令に基づく予定価格の上限拘束性を問題視する意見が複数の幹部から挙がり、議連として品確法から実施可能な対応の検討を深める方向になっていた。この点を踏まえた今後の活動について、梶山会長は「品確法の運用指針(発注関係事務の運用に関する指針)の実効性を高めていくことが、まず第一。改正品確法の運用でまた課題が見えてくると思う。議連、役所、業界が連携しながら課題を洗っていく。地域の守り手である建設業に役割を果たしてもらうと同時に、残していかなくてはならないということでの総括を常にしていく」とした。

前回の総会で予定価格の上限拘束性を問題提起した佐藤幹事長は「前年の標準価格から予定価格を積算して、それを上限とするやり方は、デフレ構造そのもの。こういう偏った発注方式をしているのは世界でほぼ日本だけだ」と改めて主張した上で、「会計法、地方自治法の世界に切り込むような話であるため、長い時間がかかるし、簡単ではない。そこに対して品確法の世界でどう挑戦し、財政部局とどの程度なら互いに納得し合えるか。しっかり論理構築をしながら、やっていかなくてはならない」と述べた。

古川副会長も「建設業者、建設業界に残ってもらわなければならない」と指摘しつつ、「インフレの時代に旧態依然とした発注でいいのか。こうした点を意識しながら、梶山会長を支え、私も一緒に汗をかいていきたい」と意気込んだ。

総会では冒頭、建設産業の職域を代表する参院議員として事務局長代理を務め、24年12月に逝去した足立敏之氏に黙とうをささげた。

顧問の岸田文雄前首相も総会に出席し、05年の品確法制定時に議連のメンバーとして野党との交渉など実務面を自ら担ったことを振り返りながら、「制定時に関わった一人として、大きな関心を持っている。梶山会長や佐藤幹事長をしっかりフォローしていきたい」と話した。