政府は、公共工事品質確保促進法(品確法)に基づく「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の改正案をまとめた。改正原案からの変更点としては、適正な工期設定に当たって公共発注者が考慮する事項に大雪を位置付けた。国土交通省などの関係省庁が3日に改正運用指針を申し合わせる。各公共発注者が2025年度発注分から適用できるよう、改正運用指針の解説資料も作成し、3月の公表を目指す。
1月31日に開かれた自民党「公共工事品質確保に関する議員連盟」の総会に提示した。改正品確法の内容と、運用指針の改正原案に対する公共発注者や建設業団体などの意見を反映し、改正案をまとめている。関係省庁の申し合わせによって策定となる。
適正な工期設定の記述は、「エ期に関する基準に基づき、工事の内容、時間外労働規制の順守、規模、方法、施工体制、自然条件、地域の実情などを踏まえた施工に必要な日数のほか、週休2日を前提とした工事に従事する者の休日、工事の実施に必要な準備・後片付け期間、猛暑・大雪などの天候その他のやむを得ない事由により工事の実施が困難であると見込まれる日数などを考慮する」とした。積雪寒冷池を考慮した記載を求める意見があったため、「自然条件」と「大雪」を追記している。
公共工事に従事する者の労働環境の改善では、「他の産業と遜色のない休日取得ができる労働環境の確保のため、土日を休日とする週休2日の実施に取り組むなど、週休2日の取得を推進し、施工条件などを考慮しつつ、その取り組みの質の向上に努めることが重要」とした。学校施設など土日のみ工事が実施可能な現場があることを踏まえ、「施工条件などを考慮しつつ」を加えた。
担い手の中長期的な育成・確保に向けた取り組みの一つとして、改正原案で国と地方自治体は「広報活動・啓発活動の充実などの必要な施策の実施に努める」としていたが、災害時に地域建設企業が活動する姿を広報・啓発するための具体的な方法を示すよう求める意見があった。そのため、「特に災害時における活動に関しては、災害現場での活動状況を記録した写真などを、国や地方公共団体をはじめとする関係者のウェプサイトやSNS(交流サイト)などを活用して公開するなどの取り組みに努める」を追記した。
このほかは改正原案どおりとした。主な内容を見ると、新たな章として「技術開発の推進及び新技術などの活用」を立て、その具体的な取り組みにVFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方を踏まえた発注と、その実施に当たっての適正な予定価格設定を位置付けた。
運用指針の改正手続きで中心的な役割を担った国交省は、4月以降、発注者協議会などの場で改正運用指針と解説資料の周知・徹底を図る考えだ。