新聞記事
令和7年2月6日 建設通信新聞
建設通信新聞

労務単価 「率の高い引上げを」
週休2日確保し賃上げへ
自民・品確議連 国交相に要望

自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(梶山弘志会長)は5日、建設産業の担い手の処遇改善と円滑な施工確保に向け、公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価の引き上げを第一に掲げた要望書を中野洋昌国土交通相に提出した。建設現場の週休2日を確保しつつ、週5日労働で全産業平均並みの賃金を技能者が得られるよう賃上げを図る観点から、設計労務単価の「率の高い引き上げ」(梶山会長)を求めた。国交省は2月中に設計労務単価を引き上げ、3月から直轄工事に適用する。

梶山会長、古川禎久副会長、佐藤信秋幹事長が国交省を同日訪れ、要望書を中野国交相に手渡すとともに、非公開で懇談した。要望内容は、1月31日の議連総会で日本建設業連合会、全国建設業協会、建設コンサルタンツ協会など14団体から受けた要望を反映したものとなる。

要望項目は、▽公共工事設計労務単価、設計業務委託等技術者単価の引き上げ▽国土強靱化の着実な推進▽建設産業の担い手確保の取り組みの推進▽公共工事の円滑な施工の確保の徹底▽賃上げ推進に向けた「総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置」の適切な運用−−の五つ。

要望終了後の取材で梶山会長は、「担い手確保はそれぞれの地域で重要な課題。まずは目の前にある設計労務単価を13年連続で引き上げていけるかどうか。その中身についても、2024年問題を含め、全業種(の賃金)と比較した場合に、ある程度、率の高い引き上げが必要という話をした」と述べた。

設計労務単価を巡っては、4日の閣議後に開かれた閣僚懇談会で、石破茂首相が賃金上昇の情勢などを踏まえて2月中に引き上げるよう中野国交相に指示した。これにより、単価算出手法を大幅に変更した13年度以降13年連続の引き上げが確実な情勢で、その上昇率が焦点となっている。

梶山会長は「率の高い引き上げ」について、「われわれにはわれわれの数字はある」としつつ、議連が必要と認識する上昇率の明言を避けた。設計労務単価を設定する全職種の平均上昇率は近年、22年3月適用分が前年同月比2.5%、23年3月適用分が5.2%、24年3月適用分が5.9%で推移している。

中野国交相からは、石破首相の指示に基づいて設計労務単価の引き上げに取り組むという趣旨の返答があったとした。

防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の最終年度分の事業費が24年度補正予算で措置され、その後継となる国土強靱化実施中期計画の策定を政府が検討していることを念頭に、「新しいフェーズに入った」(梶山会長)として、新たに国土強靱化の着実な推進を要望した。計画の早期策定を求めている。

梶山会長は、下水道管の破損が原因とみられている埼玉県八潮市の道路陥没事故を例に挙げ、「全国どこでも老朽インフラがある。その対策、調査をしっかりしなくてはいけないという話をさせていただいた」と述べた。

国土強靱化実施中期計画については、石破首相が1月24日に通常国会の施政方針演説で、5か年加速化対策の5年15兆円を上回る事業規模で6月をめどに策定することを表明している。