177回国会 東日本大震災復興特別委員会 議事録 第14号
2011年8月2日(火)午前10時開会
 

本日の会議に付した案件
  • ◇参考人の出席要求に関する件
  • ◇原子力損害賠償支援機構法案
    (内閣提出、衆議院送付)

佐藤信秋君

佐藤信秋

自由民主党の佐藤信秋でございます。

質問通告してないんで要請にしておきますが、二つほど、ここ二、三日の大雨災害とそれから韓国への我が党の入国問題、二つ要請をお願いしておきたいと思います。

一つは、新潟、福島の豪雨災害、今までにない大変な量の雨が降りました。七年前に大変な被害を受けました。その後、堤防強化、実は信濃川の本川それから決壊した五十嵐川等堤防を強化して、何とか大きな被災はありませんでした、決壊は。しかしながら、大変な、七千棟以上の住居災害が出て、大変残念なことだったんですが、死亡者も残念ながら出ました、四人、行方不明が二人、現時点ではですね。残念ながら人災も出まして、心からお見舞いを申し上げたいと思うんです。ただ、ハード、ソフトを随分強化してきたというおかげで、被災そのものは七年前の大災害に比べると、人的災害を含めて、特に人的災害を含めて少なかったかな。

教訓として、やっぱりあのコンクリートから人へという言葉でばっさりと防災対策等をやってこないと、やらないと、ここは見直しをしないといかぬですよということをつくづく申し上げたいと思います。それから、防災無線も実は仕分にあったまちづくり交付金でやっているんですよ、あれ、町づくりの一環ですから。これは大事な問題なんです。何でも仕分ければいいという問題でないということを強く最初要請しておきます。

それからもう一つ、我が党の国会議員が韓国に入国を拒否されました。これは回答は要りませんが、総理、きっちりとした対応をしなければおかしいですね、これ、合法的に入国しようとしたんですから。これもうお返事は要りませんが、政府としての対応をしっかりとする、こういうことを、うんとうなずいておられますから、お約束していただきたいと思います。

そこで質問に入ります。

実は、ちょっと質問しようと思ったら、まあ随分現地が大変だということがよく分かりました。というのは、最初、避難勧奨の問題で特定避難勧奨地点、これ住居単位ですよね、言ってみれば、地点ですけれどもね。ですから、小国小学校、五十七名の児童がいるうち、二十人の児童が動いたらどうですかという勧奨の地点、住居になった。これ、地点といいますか、住居単位に指定するということがちょっと無理があるんじゃないですかと。今までのように、区域単位なんですね、これ、地域単位。警戒区域にそれから二十キロから三十キロは緊急時避難準備区域。ここに今度、特定避難勧奨地点という住居を持ってきた。どっちにしても、この住居の方も避難勧奨ですから行っても行かなくてもいいんですがと、子供さんのいる家庭はできるだけ避難してくださいねと、こういう内容だと。コミュニティーは壊れますよね、これ。隣の家は勧奨されて隣の家は勧奨なしと。

実は、コミュニティーが壊れるというので地元から随分と要請があって、私どもは資料の二に出しましたが、自民党の政審のプロジェクトチームとして、こうした事態は解消してあげてくださいと。地点じゃなくて、小集落とか大字単位に、あるいは小学校区単位ぐらいにしたらどうでしょうと、こういう提案をしています。これは、地元の首長の意見をよく聞いていただいて、そして見直す方向で考えていただきたいと思うんですが、経産大臣、理由は要りません、なぜここを地点にしたかとか理由は要りませんから、地元の首長の意見をよく聞いて再検討しますという一言をお願い申し上げたいんですが。

国務大臣(海江田万里君)

海江田国務大臣

今委員御指摘のありましたこの地点の問題、これは私も、小国の地区の皆様方がお越しになりまして、今、佐藤委員がお話しになったこと、少なくとも大字単位でというお話ございました。

私どもとしましては、まさにこの地点を決める際も、やはりその地域のコミュニティーを壊してはいけないということで配慮をしたつもりでございますが、実際に話を聞いてみますと、今の小学校の場合も、たしか五十七人ぐらいいて、そのうち二十人と三十人ぐらいに分かれてしまったということでございますので、今私どもは、まず、地点を地域にするということにはなかなかまいりませんけれども、この地点の数を増やすというような形でコミュニティーの維持を何とか図ることができないかということで、もちろんこれはモニタリングの結果を待たなければいけませんが、そういう方向で今検討をしているところでございます。

佐藤信秋君

そこでなんですね、是非それはお願いしたいんですが、実は、この既に指定している計画的避難区域、緊急時避難準備区域、これもいろいろ問題ありますね、問題あります。言い始めるとこれだけで終わりますから、少し、これ通告もしていませんから、実態を経産大臣よく調べてほしいんですけど、例えば緊急時避難準備区域、ここにおられる方々はやっぱり避難勧奨なんですね。自主避難してください、特に子供さんあるいは高齢者のいるお宅は、こうなっていますよね。

ところが、問題は二つありまして、一つは、避難しようとしても今のところ費用が出ません。費用が出ない。避難費用もそれから宿泊費も出ません。だから、動くに動けない。市町村は、多少財政がまだ許せたころは、取りあえず避難するための一時金を貸したりあるいは交付したりしています。もう尽きています。だから、動きようがない。これはもう仮払いの問題、賠償そのものの問題ですが、全く動けていません。これは調べてください。

それからもう一つの問題は、一律に避難勧奨、言ってみれば、緊急時避難準備区域は自主的に避難してくださいよと、こう言っているものですから、もちろんそうやって費用は出ませんが、ばらばらになっていきます。地元の意見をよく聞いて、そろそろ線量的に問題がないんであれば、あるいは除染をしながらと、こういう問題ですが、ある程度、この地域一律じゃなくて、集落単位あるいはある地域単位で、ここはもうきちっと住んでいただいていいですよとか避難してくださいよとかいう仕分、それこそちゃんとした仕分をしていかないとコミュニティーがどんどん壊れていきます、働き場がなくなっていきますから。これはもう五か月たつんですから、五か月近く。これはまあ大急ぎの問題として取り組まなきゃ駄目なんだと思います。これは通知していませんのでお答えは要りません。実態をよく調べてください。実際に行ってみて、ああ、なるほど、こういうことかという実態を見ていただかないとこれは駄目ですね、これ。五か月近いですから、もう我慢も限界です。

それから、時間がなくなりますんで、質問の順番ちょっと変えまして、ごめんなさい、この機構法案で修正が入りました。国の責任とステークホルダーの責任を入れた。これは被災者の救援、支援を最優先に、こういうことだと思いますが、発議者の方からその思いをしっかりと教えていただければと思います。

衆議院議員(西村康稔君)

西村議員

佐藤委員にお答えをしたいと思います。

今御指摘ありましたとおり、被災者への賠償にまずは万全を期すという観点から、国の責務というものを明らかにさせていただきました。万が一のことがないように賠償を迅速にやる、確実にやるという観点から、第二条に国の責務を明記をさせていただきました。さらに、いわゆる株主始め利害関係者、ステークホルダーの責任もここで改めて確認をさせていただきまして、東電の経営の合理化含めてですね、これは三つぐらいの修正がありますけれども、それぞれの条文で明らかにしております。

そして、最終的にこの全体像が見えてきた段階で、賠償が幾らぐらいになるのか、それをどう負担を分かち合うのか、この点についても国民負担を最小化するという観点から必要な措置を講ずることとしておりますので、国は万全の措置をとりますけれども、最終的にはその税金なり電気料金なりの負担が最小になるような措置を講じるということでございます。

佐藤信秋君

一日も早く原発事故そのものの収束を図っていただかなくちゃいけませんが、これはやはり東電だけの責任、政府だけの責任、こういうことではないと私も思います。

何はともあれ、とにかく被災者の救援、支援を最優先にして、なおかつできるだけ早く事故を収束させると、これが大事なことだと思います。その観点で、共同責任でしっかりとやってもらうというのは、これは元々原賠法が予定した世界でもあるだろうと思います。

資料ばらばらで恐縮ですが、資料の四に、これ文科省がホームページで、原子力・放射線安全確保、よくある質問資料よりと、こういうので出しておられるところから取りました。通常の事故であれば原子力損害賠償責任保険で賄っていこうと。地震、津波等の場合には損害賠償補償契約を、これは政府との間の補償契約、これはそれぞれ千二百億ですよね。社会的動乱、異常に巨大な天災地変の場合には、これはもう国でやるしかないですよ、こうなっているんですね。

今回はこれに当たるか、あるいは真ん中の地震、津波ですか、どっちに当たるんだろうかなというのは、昨日、同僚の古川議員が法律的にも問題のあるところですよねと、こう申し上げました。いずれにしても、国の責任というのも免れない、もちろん事業者の責任免れない。両方とも当たり前のことですよね、これ。で、力を合わせて収束をとにかく一日でも早くせないかぬ、こういうことだと思います。

そこで一つお聞きしたいのは、避難との関係からもちょっと事実を確認しておきたいんですが、総理と経産大臣が、東電にベントしなさい、こう言ったのは三月の十一日ですね。(発言する者あり)ベントね、ベントしなさいと。済みません、発音が悪くて。ベントしなさい。それで、何時だったのかという時間を、いつごろそういう指示しましたかということを次に伺いたいと思います。まず、どちらからでも結構ですが。

国務大臣(海江田万里君)

このベントでございますが、当初は一号、二号、どちらをということではありませんで、両方とも深刻な事態でございましたので、とにかくベントをすべきという基本的な考え方がまとまりましたのは三月の十二日の午前一時半、この時点でベントをすべしという姿勢を明確にして、そして一貫して東京電力にその旨伝えてきたところでございます。

その十二日の午前六時五十分でございますが、これは原子炉等規制法第六十四条第三項の規定に基づき、私、経産大臣からベント実施に関する措置命令を行いました。

佐藤信秋君

総理はいつごろベントをしろとどなたにおっしゃいました。

内閣総理大臣(菅直人君)

菅内閣総理大臣

三月の十一日に震災発生、そして原子力事故が発生して以来、東電、保安院、原子力安全委員会、そして経産大臣ともほぼずっと一緒の場で情報を把握し、検討をいたしておりました。

このベントについては、格納容器の圧力が上がってきた段階で、そういった専門家の皆さんも含めて、あるいは経産大臣、私も含めて、必要だという認識では一致をいたしておりました。今経産大臣からありましたように、十二日の午前一時半に経産大臣の方から指示をいただきましたが、私に対しても相談がありましたので、その指示をされることについては了承いたしたところであります。

佐藤信秋君

これは原子力事故の検証と、こういうことをこれからやっていくというお話ですし、これは是非国会でやっていただきたいと、こう思うんですね。どなたの責任を問うということではありません。もう一回あったときに、こうしたことが、あっちゃいけませんが、ないようにするために最大限どうするかと、こういう問題です。

そこで一つ気に掛かるのは避難指示、お手元に資料五、入れましたが、避難指示は、三キロ圏は十一日の二十一時二十三分に出ているんですね。同時に、十キロ圏は屋内退避というのを十一日二十一時二十三分、十キロ圏で避難してくださいというのは三月十二日の五時四十四分なんですね。それで、二十キロ圏は十二日の十八時二十五分ですから、実はこれで三回、四回動いた人いるんですよ。それは分かりますよね。

一回避難した、屋内退避だと思って十キロ圏のところまで行ったら、十キロ内、やっぱり二十キロ圏だ、ところが今度は二十キロ圏から三十キロ圏は屋内退避だと、こういうことを繰り返されている。実際大変なんですよ、これ。何度も何度も動いて、避難所変わって。双葉の病院は、だから、後で行ったら、避難所が全部先に皆入っていて、病院の入院者が何か所か回らなきゃいけなかった、こういう事態も出ているんです。

それで、今ベントのお話は、十二日の一時半ごろベントすべしと、こういうふうに決めたと、こうおっしゃる。避難できていないですよ、避難。(発言する者あり)うん、連動していない、ここが問題。だから、これで随分と、(発言する者あり)そうなんですよ、これは十キロ圏から外に出てくださいというのも三月十二日五時四十四分ですからね、朝方ですよ。退避、避難できるわけがない。しかも、同じ日の夕方の六時二十五分には今度二十キロ圏の外に行けというんですから、平仄取れていないんです、これ。総理、そう思いませんか。平仄取れていないんですよ、ベントしろと言いながら退避との関係が。これが問題なんです。そう思いませんか。

国務大臣(海江田万里君)

これは私ども、ベントのことについてももちろん専門的な知見を持っている方から意見を聞かせていただきましたし、それから退避あるいは避難ということについてもやはりそういう方々に意見をちょうだいしたということは確かでございます。

それから、あと一つだけ。これは私の中でそういう記憶がしっかりございますけれども、ベントというのは、そのとき初めて聞いたわけですが、二種類あって、ドライベントとウエットベントというものがあると。ウエットベントというのは水を通すから、その意味では大気中に出てまいります放射性物質というのは極めて抑えられると、こういう話を聞いていたということはしっかり覚えております。

佐藤信秋君

今のは答弁になっているということにはならないと思いますが。

結果として、今日も国民の皆様に大変御心配いただいているんだと思いますが、一万ミリシーベルトですか、だから十シーベルトの汚染物質が管の中にあると、これはベントのときに出たんじゃないかと、こういう報道がありましたね。今出ている最中です。

ですから、結果として、これは結果責任の問題だと思うんです。結果としてこれだけ被災地の住民の皆様に御苦労を掛けたんですから、そういう意味では寄り添って、それでさっきの、私、話になるんですよ。緊急時避難区域ですよと言われながら、子供を持っていたら安全なところに行ってください、三十キロの外に行ってくださいと言われながら、さて動こうとしても何にも費用がどこからも出てこない。動くに動けない。手足縛っておいて泳ぎなさいと言っているようなものですから、ここは政府としてしっかり考えなきゃいけないと思います。

そこでなんですね、ちょっと話が、質問通告とは、戻りますが、だからこそ仮払い法案なるものが必要だったんですね。もちろん、この損害賠償支援機構も必要です。ただし、全部が決まってから、はい、どうぞというわけにいかないから、今避難しなさいとお勧めしながら、費用の面では何も手当てしないと、こんなばかなことありますか。ありませんね。だから、資料の三を、もう見慣れた図面でしょうけれども、とにかく仮払い法案きちっとやりましょうと。本払いがもちろん大事ですが、仮払い。それで、東電ができなければ国が、東電ができないじゃないですね、東電が手が回っていなければとにかく国が払いますと。その払う分は、今度はこの今回議題になっている機構に、原子力損害賠償支援機構に事務の一部を委任することができると、こうしたと。これは大変いいことだと思いますが、実効が上がらなきゃ駄目です。

現地の人たちは、現地にいる人たちは、どこで何やっているか分からないけれども、自分のところはどんなに何を言っても何も来ないと、これが実態だ。支援金来ません。この仮払いの避難費用も来ません。全く行っていません。だからこういうことを大急ぎでやらなきゃ駄目だというので、我が党は仮払いの法案とそしてこの賠償機構に対しての修正案を出させていただいた。

これ、実効があるものにしていただかなくちゃいけないということをつくづくお願い申し上げたいと思いますし、そのお気持ちだろうと思います、経産大臣は。総理もそれでいいですね。進めるよと一言いただきたいんです、進める。

内閣総理大臣(菅直人君)

しっかり進めてまいります。

佐藤信秋君

ということで、時間もなくなってきましたが、最後に、もう一つの問題として、たくさん問題あるんですけれども、除染の問題ですね。

昨日、答弁聞いていますとあたかも少しずつ進めるかのようにおっしゃっていますが、進みません、今のままでは。みんな検討中なんですよ。

例えば、下水の汚泥の対策も、それから、これは下水の汚泥の対策も物すごく大変なことになります。柏や流山でも下水の汚泥がもうこれ以上置けないような状況になってきています。もちろん福島県内そうです。だから、どういう処理するかというのを早く出さなきゃいけません。それから、農地にしても住宅地にしても校庭にしても、除染というものをどういうふうに効果的にやるか。いろんな手段があります。このいろんな手段、とにかく仮置場もないわけですから、置場をどうするか、いろんな手段がこういうふうにありますというのを具体的に出しながら進めていくという、費用は全部国が持ちますと、この二つ。この二つは是非やっていただかなくちゃいけないので大急ぎでやっていただきたいと思いますが、これはもう答弁要りません、要望にいたします。

ありがとうございました。