183回国会 参議院本会議 賛成討論 議事録
2013年2月26日(月)
 
本日の会議に付した案件
◇平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)
◇平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)
◇平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)

議長(平田健二君)

討論の通告がございます。順次発言を許します。佐藤信秋君。

〔佐藤信秋君登壇、拍手〕

佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋です。

私は、自由民主党・無所属の会、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十四年度一般会計補正予算、特別会計補正予算、政府関係機関補正予算、以上三案に対しまして賛成、野党四会派提出の修正案に反対の立場から討論いたします。

安倍内閣が誕生して二か月、この短い期間ですが、大きく日本は変わりつつあります。安倍内閣は、経済再生を最優先に掲げ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、これら三本の矢と言われる政策を強力に推し進めています。

昨年十二月二十六日に安倍内閣が成立、一月十一日には緊急経済対策、そして、一月十五日には補正予算を閣議決定するという、かつてないスピード感で政策対応を進めてきました。さらに、二十二日には、日本銀行との間でデフレ脱却と持続的な経済成長の実現を目指す共同声明を取り結び、二%の物価上昇率目標を明確にしました。政府が日銀と一体となって政策運営することを内外に示したのであります。

こうした動きを受けて、マーケットではアベノミクスへの期待、評価が急速に高まっています。株価は上昇し、為替は円安になり、将来に向けて相場の勢いは止まりそうにありません。また、さきのG20では、アベノミクスが参加国から理解、評価されました。先日の日米首脳会談でも、安倍政権の大胆な経済政策が日本国民に評価されているとオバマ大統領から褒めちぎられたとのことであります。

このように、安倍内閣の経済・金融政策は世界からお墨付きをいただいたと言って過言ではありません。今後も自信を持って政策を推進していただくよう、強く願っています。

補正予算の内容に関して、以下、賛成の理由を申し述べます。

まずは、この補正予算が平成二十五年度予算とも合わせて十五か月予算と位置付けられ、切れ目なく経済対策を実施することにつながり、経済活動を活性化する重要な役割を果たすことであります。

補正予算に盛り込まれた緊急経済対策は、国の財政支出が十・三兆円、事業規模では二十・二兆円に上り、実質GDPを二%程度押し上げ、雇用を六十万人創出すると見込まれています。大変な経済効果を発揮するのであります。この緊急経済対策によって、これまで長らく低迷してきた経済活動が大きく転換し、回復から拡大基調に押し上げられる大きな一歩になると予想されます。同時に、デフレからの脱却が軌道に乗ってくると期待されます。

第二に、今回の補正予算は、旧来のばらまき予算とは一線を画した内容になっていることが評価されます。復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化の重点三分野に特化したものになっています。

具体的な項目として、学校の耐震化・老朽化対策、大規模災害等への対応体制の強化、民間投資の喚起、iPS細胞等を用いた再生医療研究の加速、中小企業・農林水産業対策、人材育成・雇用対策、新型インフルエンザ対策、領海警備体制の強化など、必要不可欠な予算の使途に限られ、同時に、今日的な課題に十分対応する政策内容となっています。

第三に、東日本大震災の被害者の立場に立って、本当に復旧・復興に役立つ施策が重点的に措置されていることであります。

被災地は二度目の厳しい冬のさなかにあり、もうすぐ震災発生から丸二年を迎えます。私は何度も現地に足を運びましたが、残念ながら被災者の方々が満足する対応がなされてきたとは言えません。今回の補正予算では、復興関係経費が計上され、被災地の復興と福島の再生を加速させる施策が盛り込まれています。例えば、津波被災地域における住民の定着促進、道路、港湾の整備、被災地における雇用の確保、避難解除区域への帰還の支援、放射性物質による汚染への対応など、被災者の要望に対応し、現地の需要に見合った内容となっています。復旧・復興に向けて大きな進展があるものと期待されます。

第四に、国民の生命と財産を守るために、社会インフラを整備し、拡充する対策が盛り込まれていることが挙げられます。

笹子トンネル事故に代表されるように、日本列島各地ではインフラの老朽化が進んでいます。防ごうと思えば防げた事故が二度と発生しないよう、社会インフラを総点検し、補修、整備することが急務であります。そのために、本補正予算では、老朽化対策、事前防災対策などを目的に、命と暮らしを守るインフラ再構築として一・二兆円が措置されております。

同時に、関連して、公共事業等の追加によって地方の負担が過大とならないよう交付金が予算措置されている点は極めて適切な対応です。地方負担の総額の八割に相当する一・四兆円が地域の元気臨時交付金として創設されているのであります。

なお、野党四会派提出の修正案につきましては、地方のインフラ整備、経済活性化を阻害するものであり、とても認めることはできません。

最後になりますが、参議院では、野党の多くの皆さんも、本音ではこの補正予算を一日も早く成立させたいと思っておられるでしょう。年度末が迫っての補正の成立により、多額の予算が年度をまたいだ執行にならざるを得ない状況にあります。政府におかれては、迅速かつ円滑な発注に向けた入札契約の取組などを推進するとともに、予算の年度繰越しの手続をできるだけ簡素化し、地方自治体を始め、関係者の皆様の負担を少しでも軽くしていただきたいとお願いしておきます。

私のホームページの巻頭句は、「今こそ強くしなやかな国土をつくろう」であります。この視点に立って、十年、十五年の将来を見据えて、震災からの復興を確かなものにし、国民の生命と財産を守るための防災、減災のための国土強靱化をしっかりと進める必要が今こそ高まっています。

安倍内閣には、この補正予算をきっかけとして、美しくしなやかな日本を我々の子孫に残すために、大局的な国土政策を将来にわたり推進いただくように期待とお願いを込めまして、私の討論といたします。(拍手)