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2011/2/3(木)
第3回公共調達適正化研究会(平成23年2月1日)
平成23年2月3日 建設通信新聞

全建ら5団体
いずれも上限拘束撤廃を


二段階選抜導入も提案




与野党の参議院議員で構成する公共調達適正化研究会は1日、全国建設業協会、日本土木工業協会、日本道路建設業協会、日本橋梁建設協会、建設産業専門団体連合会の5団体が提出した提案内容を明らかにした。過剰な競争環境で横行するダンピング(過度な安値受注)を背景に、建専連を除いた元請団体は、いずれも予定価格の上限拘束性を撤廃し、標準価格的な位置づけに変更するよう要望。合わせて、低入札調査基準価格の引き上げや二段階選抜方式の導入を提案する団体も多く、建専連は法定福利費と安全経費などの別枠支給を要望した。

各団体いずれも、予定価格や一般競争入札を前提としない公共調達制度の構築を望んでおり、予定価格に対しては、全建が標準価格への移行を求め、上限拘束性は、会計法の改正により撤廃するよう要望した。ただ、留意事項として、上限拘束上の予定価格のあり方にも言及し、その価格を標準価格に変化率を乗じて算出することを提案。変化率は、積算基準と現場状況との隔たりを踏まえ、工種別に過去の入札実績などから定める。

予定価格から標準価格への移行は、土工協、橋建協、道建協も提示し、予定価格(標準価格)以上でも契約可能とするよう求めた。

全建、土工協、橋建協の3団体は、調査基準価格の引き上げも提案。現在の調査基準価格は、予定価格の内訳に対する直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の70%、一般管理費の30%の合計額に100分の105を乗じて算出しているが、土工協は、現場管理費30%では適正な利益を確保できないため、ともに100%の評価が必要と指摘した。

うち一般管理費については、30%では企業の正常な営業活動や技術開発が行えず、将来の社会資本整備に対しても大きな課題を残すため、95%に引き上げるよう求めた。これにより、調査基準価格は現行の85%から90%となる。

全建、土工協は、予定価格の見直し、調査基準価格の引き上げに合わせ、予定価格の事前公表禁止・廃止、失格基準の導入も提案した。

入札参加者数を段階的に絞り込む二段階選抜方式は、全建、土工協、道建協の3団体が要望した。全建は、真の競争性を確保するため、大中規模工事に二段階選抜方式を採用し、応札者2、3社程度とするよう提案。同時に工事規模が1億円を下回る要件には、災害対応や除雪などで地域貢献している地元企業を認定し、その認定企業を優先指定する地域保全型入札制度を導入するよう求めた。

一方、土工協は、総合評価方式の技術提案書作成と積算作業が多大な労力と経費を要しているため、二段階選抜方式を導入し、施工計画書や技術提案概要書などによる一次選考で5社程度に絞り込むよう提案した。

道建協は、一般競争入札を廃止して、複数の業者から設計・施工方法などの提案を募り、比較上位のものを選定し、その業者と費用なども含めて協議して決定する二段階選抜方式の原則化を要望した。

また、土工協は官公需法を意識しすぎた非効率な小割り発注や過度な地域要件の設定など、行き過ぎた地元優遇措置は、公共工事の競争性確保や効率的執行の観点から好ましくないと指摘。どの上で、適切な発注ロットや地域要件の設定が可能となる制度づくりを求めた。