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2013/4/4(木)
新聞記事
平成25年4月1日 建設通信新聞




国交省 13年度設計労務単価
全区分上昇、全国16.1%増
被災地単純平均1万9373円







国土交通省は3月29目、2013年度公共工事設計労務単価を公表した。全国51職種2247区分すべてで上昇し、平均値は加重平均で16.1%増の1万5175円(単純平均15.1%増の1万8998円)となった。東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)は、25.5%増の1万6503円(単純平均21%増の1万9373円)。4月1日以降の入札から新単価を適用する。今後は単純平均値は採用しない。

13年度の単価は労働市場の実勢価格に加えて、社会保険未加入対策の一環で個人負担の法定福利費相当額も反映した。事業主負担分は12年4月に現場管理費率式を見直して対応している。

特に今回は被災3県で、労働需給のひっ迫から労務費が上昇し、入札不調が増加していると認められる場合に単価を引き上げる新たな仕組みを導入。ただ、ひっ迫が解消されると判断できる状況になった際は、上昇分を引き下げる。

13年度からは、全職種の平均値を算出する際に、人数の重みを加味して実態に近い金額を把握できる加重平均を採用。労務費調査の有効標本数は全職種約11万5000人。

結果、51職種の全国平均は前年度比16.1%増の1万5175円(単純平均15.1%増の1万8996円)。このうち5%前後が個人負担の法定福利費相当額に当たるため、実勢価格からの上昇は10%程度となる。

被災3県は25.4%増の1万6508円(単純平均21%増の1万9873円)。法定福利費相当額での上昇と入札不調対応での上昇がそれぞれ3%前後となるため、20%程度が実勢価格からの上昇となる見込み。

国交省の分析によると、技能労働者の不足傾向は09年の春ごろから始まっている構造的問題であり賃金も震災以前から徐々に上昇し現在は全国各ブロックで顕在化していると指摘。

一方、2012年の建設業の賃金を1999年と比較すると、全産業の4・5倍に当たる27%下落し、若年入職者の減少や高い離職率の要因となっている。このため、震災復興や将来の災害対応などに支障を及ぼすおそれもあることから、総合的に勘案して単価を設定する必要があると判断した。


若年入職者確保促す

同日、建設業団体、公共、民間各発注者に対して技能労働者への適切な賃金水準を確保するよう通知した。

元請けや下請けなどの建設業団体に対して、雇用する技能労働者の賃金水準を引き上げ、社会保険への加入も徹底することで、若年入職者を積極的に確保するよう求めた。同省は労働者への支払い状祝も確認していく考え。

民間発注者には、いま以上に技能労働者の減少を招かないように必要経費を含んだ適立な価格による工事発注に努めることや、労働者負担分、事業主負担分の法定福利費を適切に含んだ金額で工事を発注するよう求めている。

公共発注者に対しては、新単価を早期に適用するとともに、低入札価格調査制度と最低制限価格制度を活用してダンピング(過度な安値受注)対策を徹底することなどを要請した。