2014/6/4(水)
新聞記事
平成26年6月4日 建設通信新聞



動き出す
改正品確法<3>

公共工事契約適正化委員会事務局長
脇 雅史 参議院議員

契約の本質に近づいた




――品確法改正のポイントは

「公共調達を会計法や地方自治法の規定に治って進めてきたが、法律だりで適正な契約ができるようにはなっていない面があった。契約の本質に立ち返り、どのような契約をすべきか行政側で模索し始めたのが、今回の改正の端緒といえる。その意味で画期的な改正になったと思う」

「モノを購入する際に、公共事業以外では安さだけで判断していない。サービスや店の雰囲気、ブランドなども価格を決める要素になっている。そうしたことを踏まえないと適正な契約はできない。契約の中身や特徴により、契約の当事者がさまざまな要素を考慮して契約できる多様性が必要だ。その意味で言うと今回の法改正は、契約そのものの本質に近づいた」

――品確法に「適正な利潤」を盛り込むことはこれまでの考え方では難しかったが、ターニシグポイントは何だったのか

「契約の本質論に目を向け、行政や企業など多様な主体が全員で真摯(しんし)に考えた結果である。会計法や地方自治法を杓子定規に運用して業界を疲弊させた面があり、その反省もある。また、若年層の入職が減るとともに技術・技能の継承もできず、企業の余裕がなくなることで技術開発にも手が及ばなくなる。そうした状況への危機感も法改正につながった」

――法律の運用に当たり、市町村など自治体はどう対応すべきか

「現場ごとに、それぞれの問題意識を整理し、解決する方法を見いだすことが必要だろう。法律の精神に照らし、いかに精神を生かせる努力ができるか、それぞれの自治体が本気で考えなければならない」

「まずは自治体でどう対応したいのか意思を持つべきだ。その上で実現するのに能力が足りない部分がはっきりすれば、初めて国などの支援ができる。改正された法律を読み込んで考えていくことが重要となる。全国それぞれの地域で地域の実情を踏まえながら、多様な法律の枠組みの中で、いかに予算を確保して事業を円滑に進めるか。契約についても適正な対応を考えている地域では担い手の地元企業が健全になる。逆に安ければいいと考え、工夫しない自治体では事業が滞る」

――法律の中に企業の適正な利潤が盛り込まれたことについて、どう考える

「公共事業には市場原理だけで動かない部分がある。発生者でも、少なくともまず直轄工事で率先して地域の建設産業を良い方向に導くことが必要だ。今回の法改正を契機に、安ければいいという精神を転換してほしい」

「公共工事を受注できるかどうかは企業の経営を左右する。会社の規模に対して1つの重罰のウエートも大きいから、安定的な事業の確保が重要になる。そうとらえると、発注者の精神として単に自分たちがいま仕事(発注)をしていればいいというだけではなく、企業の利潤確保も考えなげればならない。公共事業には特殊性があるから、今回の法改正も必要になった。この特殊性を踏まえて、今後何をすべきかを明らかにしたのが今回の法律改正である」