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2014/8/29(金)
新聞記事
平成26年8月28日 住宅産業新聞


「住宅政策の鳥瞰図」作りを
着工100万戸の安定供給が必要

政界
佐藤 信秋
自民党・参議院議員
環境委員長





――住宅のあるべき姿についてのお考えから。

佐藤 国民生活にとって必要なものとして、衣食住と言いますが、衣食はいいところまで来ています。さて、住宅はどうかといえば、30年以上前にEUから”ウサギ小屋”と揶揄されましたが、今も当時とそれほど変わっていないというのが、国民の皆さんの実感ではないでしょうか。日本で一番、住宅床面積の広いのは富山県(平成20年の住宅統計調査で151.37平方メートル)だといわれますが、一家4〜5人で住むという状態を考えれば、そのくらいの広さを日本の水準にしたいと思っているのが、我々の感覚です。無論、都心の一等地でその面積の住宅ができるかといった議論はありますが、基本的には1人当たり30平方メートルぐらいの住宅の床面積は必要ですねというのが、私たちの頭に描いてきた制度でもあります。

1人=30平方メートル程度というのは、サービス付き高齢者住宅などでも1人当たり25平方メートルというのが最低基準といわれていまずから、住宅の基本的な”質” はその辺にあるのだと思っています。勿論、人生の各段階における住み方というのはいろいろあります。夫婦2人で、子供達が巣立った後も150平方メートルの住宅が必要なのかという議論もありますが、1人世帯、2人世帯、4〜5人で暮らす世帯、あるいは3世代で住む住宅といった一般的な住み方を考えた場合、住み替えというグレードアップを含めて、1人あたり30平方メートルの床面積を目標にする日本でありたいと思います。現状は、住宅の戸数全体では確保できているという面はありますが、住宅の質という面ではモット充実しなげればいけないということです。

住宅のあるべき姿の二つ目ですが、”強靭化”との関係でいえば、特に街の強靭化という面では耐震性を飛躍的に上げていく必要があります。戸建住宅も合めて、個々の住宅建築物の強度を上げることと、震度7で大丈夫ですという住宅戸数は全体の7割程度ですから、この数字を上げていくことが大切になります。住宅・建築政策は、都市づくりとも結びつくわけで、木造密集市街地の改造というのは強靭化の大事な目玉でもあります。

――そのための具体的な計画のポイントは。

佐藤 今、行政部局に対してお願いしているのは、住宅政策全体を整理して鳥瞰図を作ってくださいということです。住宅の総ストック数は6063万戸で、そのうち820万戸が空き家だと言われています。そうした中にあって、量的な面、質的な面の両面から見て、住宅政策が向かわなければいけない方向性を整理しておく必要があるということです。つまり、ストック住宅6063万戸の中で耐震性という面、あるいは木造密集市街地のような街としての耐震性、対災害性といった面、さらには後10年、20年たった時の老朽度、耐震性能といった面のそれぞれから、本当は更新しなければいけない住宅―空き家住宅を含めてですが、そうした点の整理をする必要があるのではないかということです。長期優良住宅のように補修をすれば長く持たせられるものや、新しく作り替えなければ使えない住宅。さらに、中古住宅市場の活性化という面から賃貸住宅として借り易く、貸し易い仕組みを組み合わせていく―というのが全体の鳥瞰図です。これが今、ない。例えば、新築住宅ですが、太田国交大臣は常々、年間110万戸の着工が必要だといっておられます。私は、年間約100万戸程度の着工で安定的にやっていくのが良いのではないかと考えています。もう一つの問題として、住宅ストック全体の老朽化や耐震性を考えたとき、そのストックの中でどれだけの戸数を更新していかなければならないのかということになります。さらに住まい方の変化や工夫でもっと小さな家でいいですとか、サ高住でもいいですとなります。見直し方によってその目標は、新築住宅になったり、中古住宅の活性化になったり、不動産業の活性化であったりとなるわけです。ここでもある程度の鳥瞰図的、長期的な目標と全体像を作っていこうということを関係部局に訴えていきたいと思っています。

――年間100万着工のお話を詳細に。

佐藤 ストック6036万戸の住宅のうち、10年後、20年後に良いものがどれだけ残っているのか。住宅ストックも寿命が古くなれば耐震性がダメになります。あるいは、街としても作り変えなければならない。ストック住宅全体の中で耐震に問題のある住宅がどの程度あるかですが、平成20年の住宅統計調査頃までは1050万戸のストックに問題があると見られていました。今回、820万戸の空き家ですから、1050万戸から820万戸を差し引いても、まだ足りません。その上、老朽化による耐震性や対災害性を考えると、ストック全体は40年から50年で建て替えられる住宅が中心であり、年間125万戸〜150万戸となります。すでに積み上がった長期優良住宅を考えても年間100万戸程度の着工に戻すのが一つの方向として大事になります。

少子高齢化だから住宅が余っているというのではなく、良いものをきちんと揃えていこうとすれば更新需要、新築需要が毎年100万戸、110万戸求められるのです。中古住宅市場の活性化も含め、ライフステージに応じた住み方を国民ができるような、そんな豊かな往生活を目指してやっていこうと呼びかげていきたいと思っています。


佐藤 信秋
自民党・参議院議員
環境委員長
さとう・のぶあき 1947年新潟県出身。72年京都大学大学院修士課程修了。同年建設省入省。国土交通省道路局長、事務次官を経て2007年参議院選初当選。参院国土交通委員会理事、党国土・建設関係団体議員会委員長、国交部会部会長代理等を歴任。現職は参院環境委員長、東日本大震災復興特別委員、党国土強靭化総合調査会筆頭副会長、国土交通部会副部会長。参院全国比例区、当選2回