2014/10/17(金)
新聞記事
平成26年10月17日 建設通信新聞


納期分散は「発注者の責務」

佐藤信秋議員
改正品確法受け関係機関に要請








佐藤信秋参院議員は、関係各機関に発注・納期の分散化を視野に、適切な工期設定のあり方について検討することを要請していることを明らかにした。ことし6月に施行された改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)で新たに、発注者責務として「計画的発注」と「適切な工期設定」が盛り込まれたことが理由。自民党で改正品確法案の素案づくりの座長を佐藤議員が務めたことから、改正品確法の実効性を担保するために検討を要請した。対応は行政が行うものの、具体的には単年度工事でも、契約段階で年度末完成の納期を翌年度に延ばすことを明記することなどが念頭にあるとみられる。

佐藤議員は関係各機関に具体的対応の検討を要請した理由について、「適切な工期設定は、改正品確法で新たに発注者の責務として盛り込まれたもの。施行された法律が、(適切な工期設定を)呼び掛けていることを行政は理解すべきだ」と説明。

その上で、「現実的に(総合評価方式などで)発注手続きの事務量も増加しており、第2四半期以降に発注が集中する傾向が強い。ただ単年度予算制度上、発注者は無理な工期設定(年度末納期)にせざるを得ないケースもある。しかし施工者側からすると、発注者から努力しろと言われても無理だし、改正品確法の大きな柱でもある適正利潤の確保の障害になりかねない」と指摘した。

具体的な対応について佐藤議員は「行政が検討し対応する問題」とし、「過去には包括的国庫債務負担行為設定もある。行政には知恵と工夫で対応してほしい」と述べた。

具体的対応として俎上(そじょう)に載るのは、複数年契約が可能な国庫債務負担行為や、繰り越し制度がある。

佐藤議員は、「施行された改正品確法では発注者責務として、計画的発注、適切な工期設定、適正な設計変更、発注者間の連携推進が明記されている。無理な工期設定を見直す対応策として、納期を年度末から翌年度にずらすことは当然考えられる」と前置きした上で、「その場合、契約段階で納期がずれることもきちんと明示することも必要」との見解を示した。

既に国土交通省は、公共工事で閑散期となっている第1四半期での現場稼働によって、年間通じた稼働効果につながるとして、発注・納期を分散化させる検討に入ることを表明している。

■改正品確法の発注者責務
改正品確法によって発注者責務として、公共工事を施工する者の担い手の中長期的確保・育成と適正な利潤確保など6項目が新設。「計画的発注と適切な工期設定」や「設計図書への適切な施工条件明示、設計変更に伴う請負代金変更と工期変更」が明記されている。