トップページ > 活動レポート(2020年)
 > 設計労務単価、設計技術者単価等引き上げ > 令和2年2月17日 建設工業新聞記事




2020/2/17(月)
新聞記事
令和2年2月17日 建設工業新聞
令和2年2月17日 建設工業新聞

設計労務単価
最高値更新 2万円台に
有休取得義務化踏まえ費用反映

国土交通省は14日、公共事業の積算に使う新しい公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価を発表した。労務単価は全国・全職種の単純平均で2・5%、技術者単価は全職種の単純平均で3・1%それぞれ引き上げ、3月1日から適用する。労務単価、技術者単価とも単価公表を開始した1997年度以降で最高値を更新した。


3月1日から前倒しで適用

赤羽一嘉国交相は同日の閣議後の記者会見で、新しい単価が2019年度補正予算による発注工事にも適用できるとし、「公共工事の円滑な施工に万全を期すとともに、施工時期の平準化を進める」と述べた。

直轄工事の積算に適用する公共工事設計労務単価について、国交省は19年4月施行の改正労働基準法で有給休暇の取得が義務化されたことを踏まえ、義務化分(年5日)の休暇取得にかかる費用を反映させた。

新しい労務単価は、全職種の加重平均(日額)で2万0214円(単純平均2・5%上昇)。最高値を更新し、2万円台に達した。東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)は全国平均に上乗せし2万1966円(単純平均2・9%上昇)とした。通常は4月からの新単価の前倒し適用は7年連続。自然災害からの復旧・復興の加速や、防災・減災、国土強靱化の強力推進を盛り込んだ19年度補正予算を円滑に執行する狙いだ。

労務単価は、国交省と農林水産省が毎年10月に実施する公共事業労務費調査の結果を反映。13年4月からは実勢の反映に加え、技能労働者の社会保険加入を徹底するため法定福利費相当額を加味する形で改定してきた。13年4月に全国単純平均で過去最大幅となる15・1%(被災3県21・0%)の引き上げを実施。その後も14年2月、15年2月、16年2月、17年3月、18年3月、19年3月と引き上げている。

今回も同様の方法で新単価を決定。対象51職種のうち、サンプル不足で未設定となった職種(建築ブロック工)を除く50職種について都道府県単位で単価を設定した。上昇に転じる前の12年度単価と比較した上昇率は、全国単純平均が51・7%。被災3県単純平均が68・8%となった。

都道府県別で単純平均の上昇率をみると、高知県が5・0%、愛媛県は4・9%、徳島県も4・8%となり、西日本エリアで上昇幅が大きくなった。職種別ではトンネル世話役5・9%、トンネル特殊工4・9%、トンネル作業員4・1%と、トンネル関係の職種で上昇幅が大きくなった。


技術者単価3・1%引き上げ、8年連続上昇

2020年度設計業務委託等技術者単価の全20職種の平均は前年度より3・1%上がって4万0260円となった。全職種平均の単価は8年連続で上昇した。  業務別の平均は設計業務(7職種)が4万8543円(2・6%上昇)、測量業務(5職種)が3万3600円(3・0%上昇)、航空・船舶関係業務(5職種)が3万8080円(4・2%上昇)、地質調査業務(3職種)が3万5667円(2・8%上昇)。20職種のうち日額が最も高いのは設計業務の主任技術者の6万9800円だった。

技術者単価は、国交省が発注する公共工事の設計業務として実施するコンサルタント業務、測量業務などの積算に用いるもので、毎年実施している給与実態調査結果に基づいて決める。今回の改定で12年度単価に比べて28・8%上がったことになる。

単価は、所定労働時間内8時間当たりの基本給相当額、諸手当(役職、資格、通勤、住宅、家族、その他)、賞与相当額、事業主負担額(退職金積み立て、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、児童手当)で構成。時間外、休日、深夜の労働に伴う割増賃金、各職種の通常の作業条件や作業内容を超えた労働に対する手当は含まれていない。

このうち割増賃金の算出に用いる「割増対象賃金比」は、20職種のうち10職種で変更となった。割増賃金は、各単価を1時間当たりの額に割り戻した上で、時間数と割増対象賃金比を掛けて算出する。


電気通信2・4%、機械設備6・3%引き上げ

2020年度電気通信関係技術者等単価の全5職種の平均は前年度より2・4%引き上げとなった。全職種平均の単価は9年連続の上昇。今回の改定で12年度単価に比べて20・0%上がったことになる。

職種別の基準日額は、電気通信技術者が3万1800円(割増対象賃金比66%)、電気通信技術員が2万1400円(66%)、点検技術者が3万1800円(65%)、運転監視技術者が2万4500円(65%)となった。

機械設備工事積算に関する標準賃金(日額)は、機械設備制作工が2万5300円(割増対象賃金比は未設定)、機械設備据付工が2万4000円(0・690%)。2職種の平均は前年度より6・3%引き上げとなり、8年度連続の上昇。今回の改定で12年度単価に比べて17・1%上がったことになる。