2022/2/10(木)
新聞記事
令和4年2月9日 建設通信新聞
建設通信新聞

賃上率 基本給でも認定
中小、給与総額以外も評価
賃上げ加点は弾力的運用実現
佐藤品確議連幹事長

政府調達の工事や役務など全ての公共調達で4月から適用される「総合評価での賃上げ企業に対する加点」枠組みについて、自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)の佐藤信秋幹事長(参院議員)は8日、今回の枠組みで、賃上げ意欲がある多くの企業が加点を受けるため間口を広げることを財務省が認める運用通知を各省庁に発出したことを明らかにした。佐藤議員が、建設産業界からの要望を引き取る形で行ってきた枠組み運用を巡る財務省らとの交渉が決着したことになる。

佐藤議員は総合評価の加点を行うための確認・評価の具体的枠組みで、賃上げ表明を行うことが出来る間口の広い多様な賃上げ方策を認める、今回に財務省の運用通知を「大いに歓迎」と最大限の評価をした。

最大限評価は、これまで中小企業が大半を占める地方建設業界から、賃上げ確認で使われる枠組みでは、賃上げの実効可能性に問題があるとの指摘が相次いでいた。

佐藤議員はこれまでに、分断する方向で無く、賃上げに意欲のある企業の皆さんが全て、加点を受けるための要件である賃上げの表明が出来るような間口の広い多様な賃上げ方策が必要と強調していた。佐藤議員の主張はほぼ実現した形。

さらに佐藤議員は、「コロナ禍に伴う一時手当の扱いなど詰めて欲しいものはまだあるし、下請け・専門工事業の皆さんへの波及などの課題を解決していく必要はあるが、運用方針としては良いものにしてもらった」と話す。さらに「運用は上半期で実行状況の確認をし、必要があれば翌年度に運用変更を行う必要がある旨強く財務省と国交省に伝えている」とする。

政府調達の対象企業の賃上げ促進を目的にした「総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置とペナルティ」の枠組みは、岸田政権が昨年11月、新しい資本主義実現へ向け公的部門における分配機能強化として打ち出した、賃上げのための政府調達手法検討が発端。

昨年12月には制度全体のまとめ役の財務省が各省庁に基本的な条件などを送付。国土交通省は12月24日付けで、加点や確認手法、入札説明書への記載例などを各地方整備局などに通知していた。

これに対し建設産業界からは、財務省がまとめた基本枠組みは全産業が対象のため、建設業特有の事情が考慮されていないことの問題指摘が相次いでいた。

佐藤議員はこうした声を引き取る形で問題・課題を財務省らに提起。1月31日には日刊建設通信新聞社の取材に対し、「多くの企業が(賃上げに)手を挙げることができるよう間口を広げなければ認めない」とし、枠組みの運用改善へ向けた検討が大詰めであることを示唆していた。


佐藤議員によるポイント

  1. 一人当たり賃上げ率では、全従業員でもあるいは継続従業員の賃上げ率でも可
  2. 一人当たり賃上げ率では、賃金総額、あるいは基本給あるいは所定内賃金賃上げ率などでも可
  3. 中小企業も総人件費でなくても、一人当たり賃上げ率でも可
  4. 通知に示した賃上げ実績の確認方法で従業員の給与を適切に考慮できない場合、適切に控除や補完が行われたもので評価することも可