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179回国会 国土交通委員会 議事録(1)
2011年10月27日(木)午前10時開会
 
本日の会議に付した案件
◇国土の整備、交通政策の推進等に関する調査



佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋でございます。

尊敬する前田大臣始め、副大臣、政務官に初めての御質問を申し上げさせていただきますが、所信に対する質問でございますので話が少し広めになろうかと思います。その分だけ、一つ一つを突き詰めるというよりは、問題提起をさせていただきながら次なる展開に向かっていろんなことを御議論させていただきたいと、こう思うわけであります。

最初に、三月十一日の大震災発生以来復旧等が大変遅れている、こういう評価を国民からはいただいておりました。我が党はいろんな御提案を申し上げましたが、復興基本法を始め、議員立法のような形で瓦れきの処理法案であるとか、あるいはまた原子力の仮払い法案であるとか、それから二重ローン、これは残念ながらまだ成立していませんが、二重ローンの救済法案であるとかいろんな御提案を申し上げました。そしてまた、多くは多少の修正をしていただきながら成立させていただいてきたところであります。

私自身は実は三月二十日以来、東日本大震災の被災地に、新潟、福島の水害も含めますと、合計で、大体週に一回、三十回ぐらいは行ってまいっております。そのときに市町村長や知事たちと話をしますと、やっぱり一番問題なのは、国が責任も費用もきちっと見るからやれることをやってくださいと、これがなかなか当時の政府、国から出てきてなかったと。遅れる一つの原因というのはここにあるんじゃないかなということで、ずっと地方の負担というものが大変厳しいから地方負担実質ゼロにしましょうよということを随分お願いも申し上げました。今度の三次補正で何とかそこをクリアしていただける、こんなふうな御答弁も総理からもいただきましたので、これはこうしたことを機会にこれから進んでいくことになるだろうと。

もう一つは、被災地の人たちは自分たちは頑張りますと、こう言っているんですね。全国元気で頑張っていただいて初めて自分たちも被災から復興へ向かうことができるだろうと、こういうこともありまして、公共事業等の五%留保というのも早めに解除すべきであると、こんなお願いも申し上げて、この十月初めに解除していただいたところであります。

そういう意味では、自民党としては、できるだけ政治的対立といいますか、そういったことよりはとにかく復旧復興第一と、こういうことで取り組んでこさせていただいたつもりでありますし、これからもまたそんな方向で一生懸命御協力できるところは手を合わせて御協力すると、これが基本の姿勢であります。

その中で大臣の御決意を一つ伺いたいんですが、予算の問題も大事なんですね。予算の問題も大事ですが、もう一つは、いろんな仕組みが十分に動き切れないというところもあるんですね。平時の動きで、平時の法律、平時の運用規則でやることと、今回のような大震災、原発事故、津波、こうしたことに対応してやろうとすることと、やっぱりどこか違うところがありますね、違わなきゃいけないところがありますねという問題がもう一つ、制度、仕組みとしてあるんだと思うんです。予算と制度、仕組み、これをそろえていって、復旧復興を大急ぎでやっていきましょうと、こういう議論だと思っています。

この前は大臣に高台への移転等について、集団防災移転事業や災害公営住宅事業をがっちゃんこした上で運用規則を少しずつ緩めていくと、新たな法律がなくても現地ではいろいろな工夫ができるだろうと、そんなこともお願い申し上げたところでありますが、大切なことは、そうした実際に現地が動けるような予算と仕組みをこれからも工夫していただくということが必要だろうと思っています。

そういう意味で、東日本大震災始め水害も、台風十二号、十五号もあります。そうした災害に対して大臣がこれからどんな御決意で復旧復興に向かわれるか、最初にその御所見をお伺い申し上げたいと思います。

国務大臣(前田武志君)

まさしくこの面では一番の専門家であり、むしろ先輩である佐藤委員からの御質疑であります。

まず、ちょっと具体的な制度のお話、私これ非常にこの段階に来て、どういうような仕組みをいかに組み合わせて効果的にやっていくかというこの制度の問題というのが非常に重要になってきたと思います。先般の委員会でも御指摘されたようなことを応用編として是非やってまいりたいと思います。

それで、実際には、もちろん直轄事業的な基幹的なものについては、これは国交省東北地方整備局を中心に、もちろん全国が集まって、例えばテックフォースというようなよりすぐりの技術陣でバックアップもしますから、ここは万般大丈夫だと、むしろ既に先行的にどんどん成果を上げております。

しかし、何といっても地元の新しい町づくりといいますか、被災を受けたところが立ち上がってくるには、地元のその自治体の持っている力、それは潜在能力、大変な犠牲を出して、あの悲劇の中から立ち上がるわけですから、ここにどういうふうに制度、それを実行するというのは人事、組織ということにもなるわけです。予算はおいておいて、その仕組みというものをいろいろ考えております。既にやっているのは、結局はその自治体ごとの復興町づくり計画というものについて、国交省からも専門家を送り込んで継続的に相談にあずかるというようなこともやっております。

そして、予算の面でも、御指摘のように、補助事業、この町づくり、復興というのは補助事業が非常に多くなるわけです。そして、復興庁という統括的な組織もできてまいります。この復興庁についての御議論もいろいろ特別委員会でなされているわけなんですが、私は、どうしても縦割りになっている国の機関というものを一つに調整する強力な機関として大きな期待が寄せられるわけですが、具体的に事業としてあらゆる面で下りていって、それを使いこなして町づくりをやるのが自治体でありますから、そこにはやはり国土交通省関係の、都市局関係であったり、あらゆる部局の、補助事業が中心になりますが、その支援というのが重要になってくると思うんですね。

それからもう一つ、その一つの町づくりの事業、例えば都市局関係を取ってみても、いろんな制度があり、またこの復興に対して法改正をやったりしております。自治体から見ると、制度が非常に複雑多岐で、何をうまく組み合わせて使えばいいかという制度的な面でかなり難しい面が出てきておるように思うんですね。その辺が本当に的確に利用できるように丁寧な具体的な支援をする必要があると、このように省内で申しておりまして、今のところはそういう専門家を送り込んだりしておりますが、何らかのもう少し組織的なものを考えたいと、このように思っております。

予算等についてはもう御承知のとおりでございます。しっかりこの三次補正の中で確保してまいる所存であります。

佐藤信秋君

ありがとうございます。

今度の三次補正に関連していろんな法律の改正等も御準備なさっておられるというふうにも聞いておりますので、できるだけ使いやすい、そして応用しやすいような制度、仕組みに是非変えていくべきものは変えていく、こういうことでお願いしたいと思いますし、必要であれば私どもも議員立法を用意させていただいたりしながらやっていきたい、そんなふうに思っております。

そこで、全国で元気を出さなきゃいけないと。ここの部分が、全国を回っていますと、今度は、いや、経済も大変だ、雇用も大変だと、大震災の被災地あるいは被災地、水害等、予算等を寄せなければいけないというのは分かるけれど、元々が随分と公共投資削られてきましたと。そうすると、地域の経済、建設産業も含めて大変疲弊していますというのが、今度はまた大きな声で、全国を回りますと聞こえます。

ここはそのお願いで、資料の一にちょっと数字を用意しましたが、民主党は、マニフェストとしてはたしか四年間で公共事業を一・三兆削らせてくださいと、削りますよと、こういうお話だったと思うんですが、これは残念ながら一年目に一・三兆削って五・八兆にして、そして二年目はこれを更に五兆、一括交付金が〇・五兆ですから、この一括交付金抜けば二・一兆を切ってしまっているという。この一括交付金がインフラ整備といいますかに回るんだと、同じように使えるんだというふうにしたとしても一・六兆のマイナスという状態でありますから、全国で、いやこれは大変だといって悲鳴が上がるのもこれはまたもっともな話なんですね。

私自身は、全国行かせていただきながら、被災地の皆さんが全国頑張ってくださいとこう言っているんだから、みんなで遠慮せずにインフラ整備一生懸命やっていこうよという声を出しましょうと、こう申し上げています。

アメリカもこの前、九月ですか、リーマン・ショック以来随分世界的に経済対策一生懸命やっていますが、アメリカ、この前も四千八百億ドルぐらいですかね、経済対策やると。その中で、まあ大体どのくらいの割合かはっきりしませんが、インフラ整備という観点から経済対策としての公共投資をやるんだと、こういうことを公表したりしています。

そういう意味では、実は資料の二に経年変化として、日本の場合にはインフラ、IGの部分が高過ぎるというんで、GDPに対して、削れ削れと、これは自民党政権時代にも毎年三%マイナスと、こんな感じでやってきたわけですが、世界中で比較しますと、いずれも、どこの国もこの割合というのは大体一定、あるいは増やしてきている。日本の場合には、大幅に下げ続けてしまって、平成二十年度の暦年ですが、二十の暦年ですが、三%を切ってと、こういう状態になってきて、世界の標準よりもこのままでしたらどんどん下がる。ところが、日本の場合には、それこそ防災対策、震災対策と、こういう面からいくと、あらかじめのコストというのが一%ぐらいはほかの国よりは必要だろうと。

したがいまして、私自身は、そういう面からいっても、三%から四%というのは必要最小限の、GDPに対して、IG、公的資本形成が要るんだろうと、そんなふうに思っておりますが、いずれにしましても、マニフェスト以上にお切りになっておられるんで、これちょっと戻していただくということが必要なんじゃないかと思うんですが、公共事業費ですね、大臣のお考えをお願いします。

国務大臣(前田武志君)

三次補正を含めて来年度の予算等具体的なお話と、マクロに長期の各国との比較の二点のお話がございました。

まず、前半について申し上げますと、三次補正等ではかなり目いっぱいの要求をしておりますし、また復興交付金等についても基盤が、基盤整備ということが、あるいは町づくりが中心になるんだから国交省で大いに取ろうと号令を掛けておりまして、どこかでそんなことをしゃべったところ、マスコミに何だというような批判をどこかでされたことも覚えておるぐらいでございまして、いずれにしろ、合計で前年度比一・二六倍、五兆三千七百八十三億円ですか、その程度の要求になっているかと、このように思います。いずれにしろ、所要の予算獲得に向けて頑張るつもりです。

それから、委員御指摘の、この表もこれ眺めていたわけなんですが、確かに平成八年を一〇〇とするともう五〇だと、先進国で一番低いんじゃないかという御指摘ですね。これはもう委員も御存じのように、九〇年代からあのバブルの時代と言われる時代、世界から、特にアメリカの景気がちょうどIT景気になる前で、もうアメリカの公共施設が傷んでいた、ニューヨークのリンクリン道路でさえ穴が空いていて通れなかったという時代ですから、前川レポート等で日本もっと公共投資やれと。たしか十年計画で、最初は四百三十兆円、続いて、それを改定して六百四十兆円だったですかね。まあ当時は事務次官、あるいはその枢要の場におられて、もうあっぷあっぷされるぐらいの予算が付いた時代なんですね。それから比べると、確かに今、日本は、もちろん財政の問題もありますが、維持、修繕、更新の時代に入ってきていて、こういうことにならざるを得なかったということは、いよいよ維持、更新という、また事業を長期化するということも含めて反転の時期が来ているのではないかと、私はそのように感じております。

佐藤信秋君

誠に同じ思いの部分の多い御答弁をいただきました。

そこでなんですね、実は、もちろん二十四年度も頑張っていただくという方向でしっかりとした、公共事業というとなかなか、なるほどと、こういう話にならない方が多いものですから、インフラ整備とか、インフラの整備管理のような言い方をした方がいいのかもしれませんが、いずれにしても予算科目としては公共事業費なんで、頑張って是非しっかり勝ち取っていただきたいと思うわけでありますが。

実は、資料の三に地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金というのの使い道を書かせていただきました。これは整理していただいたものを出しただけでありますが、内閣府の方でですね。これは、政策目的きちっと、こんなふうな政策目的で、目標がこうでというような形で使えていると、こういうふうに理解できるかどうか、内閣府の方でどうお考えでしょう。

政府参考人(小鞠昭彦君)

国庫補助金等の一括交付金化につきましては、地方公共団体の自由度を拡大し、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにする地域主権改革における重要な取組として導入したものでございます。対象事業につきましては、先ほど先生のお配りになった資料三に掲げてある九事業でございますが、この交付金につきましては、この対象となる事業の範囲内で、各府省の枠にとらわれずに地方が自由に事業を選択する仕組みとなっております。

そういうことで、また、配分につきましても、今年度は予算の九割程度は継続事業の事業量等も考慮して行っているところでございまして、これによって地域の実情に即した事業が実施されるものと期待しているところでございます。

佐藤信秋君

というのは、これは物の考え方はいろいろあるかとは思いますが、交付税とどういうふうに違っているかというような議論にだんだんなっていくんだと思うんですね、この一括交付金というのは。

もっとこういう形ではなくて交付税を増やせばいいんじゃないかとか、あるいは地方の市町村長、知事もそうですが、元々自分たちが言っているのは補助金の一括化というよりは財源移譲だと、地方にもっと財源くださいと、話はそこから出ているので、公共事業費を言ってみれば切り込んで一括交付金にしたと、こういう形に結果としてはなっているんですが、それは自分たちが望んでいる方向ではないよというのが正直な答えの首長さんたちが多いと、私はそういうふうに聞いております。聞いておるというのはいろんな知事や市町村長からですね。本音の部分はそうなんだ、財源移譲だよ、本当はと。それが、結果として公共事業費をこれだけ切られて、切られた中から更に切り出せと、こういうことで一括交付金だと言われても、それはうまくないなというのが本音と、こんなふうにも聞いています。

そういう意味では、内閣府の方でまずは制度設計しているわけですから、その中でこの一括交付金というものは政策目的をきっちりした補助金やあるいは社会資本整備総合交付金的に、目標はこれでこういうふうに近づいていきましょうというような交付金にするということが、私なんかには有効な予算の使い方としてはそっちじゃないかなと、こんなふうにも思うんですが、内閣府、検討状況はいかがでしょう。

政府参考人(小鞠昭彦君)

この地域自主戦略交付金の来年度でございますが、来年度に向けましては、地域主権戦略大綱等に沿いまして、地域主権戦略会議での御議論を踏まえつつ、その拡充に向けて検討しているところでございます。

都道府県へのメニューの拡大や市町村分への導入など、今後の制度の在り方については地方からの御意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。

佐藤信秋君

お手元に付けましたけれども、これは衆参共に内閣府設置法の一部を改正する法律案に対してこの三月に附帯決議を付けているんですね。それで、参議院の方は内閣委員会で、その存続の是非も含めて平成二十四年度以降の取扱いについて検討して、二十三年中に結論を得る、こういうことで決議もなされているわけであります。

これの趣旨は、そのときはやっぱりみんなそれぞれ議員各位が思っていただいたのは、結局、どういうことにきちっと使っていこうよと、こういう部分が薄過ぎるというか、まあ第二交付税というふうにして交付税を増やして配るのならともかく、公共事業費を削った上で政策目的が極めて曖昧になってしまっている。そうすると、例えばこの大震災等への関連した手当て、関連したですよ、復旧そのものは災害復旧費でやる、あるいは瓦れきの処理は廃掃法の世界でやる、それでいいわけですが、この関連したいろんな仕事をやろうとするときに、ふわっと一括でと、こういう形ではなかなか、逆に政策目的が明確でなくて、どれだけの有効性を持ち得るか、こういうような議論でこういう附帯決議が付いた、こういうふうに私自身は理解しています。

こんなことも含めまして、一括交付金の見直しそのものは、やはり国土交通行政としてもしっかり取り組んでいただいて、できれば社会資本整備総合交付金あるいは補助金と、こんな形でやり直していただくのがいいんじゃないかと、私なんかにはそう思えますが、政府の中でいろいろこれから検討されるんだと思いますが、大臣、一言御所見をいただければと思います。