新聞記事
令和6年2月19日 建設工業新聞
建設工業新聞

労務単価決定
賃上げ強く働き掛け
斉藤国交相
上限規制導入に準備を

斉藤鉄夫国土交通相は16日の閣議後会見で新しい公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価などを発表し、今回の単価上昇が建設各社の賃上げと次なる単価引き上げの好循環の実現につながるよう「各社の賃上げを強く働き掛けていきたい」と強調した。4月に適用する時間外労働の罰則付き上限規制に対応するために必要な費用を単価に反映させたことから「建設業界に時間外労働規制の導入に向けた準備を着実に進めるよう強く促す」とも話した。

前年度を上回り過去10年で最大の伸び率となった背景として、斉藤国交相は「おおむね5%」の賃上げ目標を掲げ建設業界と一体で取り組んだことが「反映された」との認識を示した。

能登半島地震での建設業関係者の尽力に触れ「災害復旧の最前線を担っていただいた。国民生活や社会経済を支えるだけでなく、災害対応にも当たっていただいている重要な産業」との認識も改めて強調。適切な労務費の行き渡りを実現するための建設業法改正案などを今国会に提出するなどして、「建設業の担い手確保と持続可能な建設業の実現に全力を尽くしていきたい」と決意を述べた。

一方、現状の賃金水準は「まだ全産業平均に追い付いていない」とも指摘。まずは公共工事の単価引き上げで「われわれ官から取り組んでいく」と話し、業界全体への波及に期待した。

引き上げ評価も物価高騰分反映課題
佐藤議員、足立議員

自民党の佐藤信秋、足立敏之両参院議員が日刊建設工業新聞の取材に応じ、12年連続となる公共工事設計労務単価の引き上げを歓迎した。両議員は全国・全職種単純平均で前年度比5.9%増となる引き上げ水準を評価。ただ佐藤氏は「インフレ分の反映が十分とはいえない」との見解も示した。

本年度分も含め3年間で15%増+物価高騰分の引き上げを主張してきた佐藤氏。具体的に今回の3月以降適用分と25年度に前年度比で7%程度の引き上げを呼び掛けてきている経緯も踏まえ「関係当局で努力されたと評価するが手放しで喜ぶわけにはいかない。インフレ分を十分足し込んでほしい」と訴えた。

足立氏は「能登半島地震で苦労されている建設業の皆さんにとっても報われたと感じてもらえる水準の伸び率で歓迎したい。業界全体として賃上げが実現されることを期待したい」とのコメントを寄せた。