2014/9/17(水)
新聞記事
平成26年9月17日 建設通信新聞



事業の特性 技術提案・交渉
自治体向けに指針案
国交省、発注者懇に提示






国土交通省は、16日の「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」に、地方自治体が多様な入札契約方式を導入する際のガイドラインの考え方を提示した。ガイドラインは「事業の特性等に応じた入札契約方式の適用」と「技術提案の審査および価格等の交渉による方式(技術提案・交渉方式)」のそれぞれで策定する。年度内にまとめる方針だ。

「事業の特性等に応じた入札契約方式の適用」では、事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式(案)として、▽設計・施工一括発注方式▽詳細設計付工事発注方式▽施工を単独で発注する方式▽維持管理付工事発注方式▽設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)――の5つの方式を提示した。

契約方式の選択にあたって、対象プロジェクトの難易度や、施工技術を設計に反映させることが有効か否かといった施工の制約度、特殊な製作・施工技術を反映させる必要があるかといった設計の細部事項の確定度、施工段階で相当程度の設計変更が想定されるかどうかといった工事価格の確定度合いに応じて選択するという考え方を示した。

また、技術提案交渉方式では、発注者が最適な仕様を選定できない工事(優先交渉権者の提案により仕様を確定する場合)と、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事(優先交渉権者が設計に関与して仕様を確定する場合)という2つのパターンそれぞれの適用事例を提示した。

発注者が最適な仕様を選定できない工事は、通常の工法などでは施工条件・事業目的を満足できず、施工者固有の技術の導入が必要であるが、コンサルタントによる設計では最適技術の選定が困難な工事や、発注者のこれまでの経験などをもとに作成する標準案以上に適した技術が存在する可能性がある工事などを想定。

このケースでは、概略設計の時点で、技術提案時に発注者が参考価格を提示し、価格交渉と技術提案で優先交渉権者を決定。交渉期間を経て、予備設計の段階で予定価格を設定して価格交渉の結果でマネジメント契約を締結、施工者が予備設計と詳細設計、施工を実施するという流れになる。

一方、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事として例示するのは、仕様を確定するための条件把握が困難で施工条件・構造物の状況に合わせた工法の選定が必要となる工事や、災害からの復興事業など、調査・設計・施工の事業プロセス全体で発注者・設計者・施工者の技術を集約する必要がある工事など。

概略設計が完了した後の予備設計の段階で、技術提案のみで優先交渉権者を決定。価格交渉と並行し、優先交渉権者が予備設計の途中から詳細設計に関与する。ただ、価格決定と契約は、施工の直前となる。

今後、参考価格の提示方法や、優先交渉権者が設計に関与する際の責任の考え方などの検討を進める。